第297話:言いたいことは解っている
俺は暇があるときにB級冒険者アルとして、
戦闘中は『
俺が師匠のグレイとセレナとパーティーを組んで、初めて攻略したダンジョンも
1階層から攻略するほど時間はないから。『
40階層で『
40階層で最初に遭遇した魔物は
地面を蹴って距離を詰めると、骸骨蜈蚣は無数の鎌状の足で攻撃して来る。だけどこいつの動きは見切ったからな。
俺は最小限の動きで全部躱すと、骸骨蜈蚣を剣で真っ二つにする。
剣に魔力を込めた訳じゃない。俺のステータスなら素手で殴るだけで、
だから思い切り力をセーブして、
返す剣でもう1体の骸骨蜈蚣を真っ二つにすると。2体の魔物は光のエフェクトと共に消滅して魔石だけが残る。
その後。ドラゴンの上位種やアークデーモン、グレーターリッチなどの魔物と遭遇した。 『オルフェンス廻廊』は魔物の種類に偏りがなくて、バラエティーに富んだ様々な魔物が出現する。まあ、全部一撃で仕留めたけど。
物理系アタッカー2人にタンク。斥候と魔法系アタッカーにヒーラー。典型的な6人パーティーで。年齢は全員20歳前後のA級冒険者たちだ。
俺の『|索敵(サーチ)』の効果範囲は半径10kmくらいあるから。こいつらがいることは、初めから気づいていたけど。
「あんた……この階層にソロで挑むなんて。S級冒険者なのかい?」
バンダナを巻いた赤い髪の女子が訝しそうに言う。装備は曲刀にハーフプレート。物理アタッカーの1人だ。
「ライラ。俺はこいつのこと知っているぜ。最近B級冒険者になったばかりのオールドルーキーだ」
もう一人の物理系アタッカー。癖っ毛の男が馬鹿にしたように笑う。
「最下層にB級冒険者がソロでいるとか。大方、テレポートトラップで飛ばされたんだろうが。ソロで攻略するとか、おまえはダンジョンを舐めてんだよ。全部、自業自得だろう。俺たちは助けるつもりはないぜ」
癖っ気の男は、俺が泣いて助けを求めると思っているみたいだけど。
「ああ、その通りだな。だから俺のことは気にするなよ」
俺がパーティーの横を通り過ぎようとすると、赤い髪の女が俺の肩を掴む。
「ちょっと、待ちなよ……大体のことは解ったけどさ。あんたに死なれちゃ、あたしの寝覚めが悪くなるんだよ」
躱すのは簡単だったけど。こいつに悪意がないことは解っていたからな。
「なあ、ライラ。そんな馬鹿、放っておけって!」
「シグル。あんたが言うことは、もっともだけどさ。救える命を見捨てるのは、あたしの主義に反するんだよ」
このライラって女子は良い奴だな。他のパーティーのメンバーも、癖っ気のシグルって奴以外は、俺を助けることに同意する。
「じゃあ、そういうことだ。あたしたちが、あんたを助けてやるよ。だけどこれに懲りて、ソロでダンジョン攻略は止めにするんだね。こんなことしてたら、命が幾つあっても足りないよ」
ライラが言っていることの方が、真面なのは解っているし。今の俺はB級冒険者だから、シグルって奴が言うように全部自業自得だ。
だから俺を助けてくれようとしたライラたちには申し訳ないけど。
「ライラ、おまえたちの気持ちは嬉しいけど。悪いな、急用ができた」
俺は『|短距離転移(ディメンジョンムーブ)』を発動して。中層部の22階層に向かう。
冒険者ギルドで俺に声を掛けた栗色ポニーテルのノルンたちC級冒険者パーティー『暁の明星』が、22階層に出現することは稀なヴァンパイアロードに襲われていた。
『暁の明星』の5人のメンバーのうち、すでに3人の意識がなくて。ノルンともう1人、冒険者ギルドで俺に絡んで来たバルトが、必死に仲間たちを守ろうとしている。
冒険者は基本自己責任。シグルが言ったように、ダンジョンで死んでも自業自得だ。 だけど死んだら終わりで、反省することもできないからな。
だから甘いと言われるのも。こんなことをしたら、ノルンに付きまとわれることも。バルトに目の敵にされることも解っているけど。
「おまえら……本当に次はないからな」
俺はパンパイアロードを『汚い花火』に変えた。
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