3-2章 勇者と魔王(改訂版)
第40-2(1)話:授業をサボり始めて
この章は書籍版2巻以降に掲載予定の部分の修正版を再アップしています。
途中から再度修正した関係で、色々と中途半端な点は申し訳ありません。
本編の続きは次の9章になりますので。興味のない方は、この章を飛ばして読んでも問題ありません。
物語内の時間ですと、アリウスたちが学院の1年生のときに、ダンジョン実習で襲撃事件があった後。アリウスとミリアがお互いに転生者だとカミングアウトした後のタイミングです。
話数は、例えば40話の再アップなら『40-2話』と記載します。ボリュームが大きく増える場合は、今回のように(1)とか使って、修正前と話数を合わせるようにしています。
――――――――――――――――――――
最難関ダンジョンに出現する魔物としては、並みのサイズだけど。5階層の魔物だから当然、4階までに出現する魔物よりも強い。
翼がないのに、超高速で空中を駆け抜けて。石柱のような長槍と、4つの蹄で攻撃してくる。槍も蹄も膨大な魔力を纏っているから、直撃すればHPをゴッソリと削られる。
そんな『殲滅の騎士』が1,000体以上、広大な空間に同時に出現して。逃げる場所も隠れる場所もなく。殲滅するまで戦いは終わらない――これが最難関ダンジョンだからな。
『殲滅の騎士』たちが一斉に長槍を投擲する。1000本以上の魔力を纏う槍が、ドリルのように回転して、空気を圧し潰しながら高速で迫って来る。
俺は『
高速移動と『短距離転移』を繰り返して、『殲滅の騎士』の群れの中を駆け抜けながら、攻撃と回避を同時に行う。360度全方位から同時に攻撃されるから、全てを躱し切ることはできないけど。
俺は多重展開した『
俺は感覚を研ぎ澄まして、『
判断を間違えれば、『殲滅の騎士』に取り囲まれて集中砲火を浴びる。多重展開した『絶対防壁』を一気に全部突破されて、俺は確実に死ぬだろう。
一瞬でも気が抜けない、魂を削るような戦い――ホント、堪らなく楽しいよな!
ギリギリの戦いを続けることで。今この瞬間にも、自分が強くなっていくことが実感できる。
俺は1,000体を超える『殲滅の騎士』を殲滅するまで、戦い続けた。だけど、これで終わりじゃない。
『殲滅の騎士』が消えた広大な空間に、天井から光の柱が落ちて。出現したのは、体長25m級の金色の鎧を纏う巨大な『殲滅の騎士』。
5階層の階層ボスは『
当然、パワーもあって。『殲滅の闘将』の攻撃を2発食らえば、俺のHPは全損するだろう――だけど、所詮は1体だからな。
俺のMPには、まだ十分余裕がある。幾ら硬くてHPが膨大でも、攻撃を続ければHPを削り切ることができるし。
躱すスペースは十分あるからな。相手が1体なら、俺が攻撃を食らうことはない。
『殲滅の闘将』が光のエフェクトと共に消滅して、巨大な魔石だけが残る。俺は1時間ほど掛けて、『殲滅の闘将』を倒した。
※ ※ ※ ※
俺がソロで最難関ダンジョン『太古の神々の砦』の攻略を始めてから。一番のネックは、学院の毎日授業に出ることだった。纏まった時間がないと最難関ダンジョンは攻略できないからな。
だから俺は、ダンジョン実習のときに襲撃して来た
金曜日か月曜日の授業を全部サボれば、3日間連続でダンジョンに挑めるし。午後の授業をサボるだけでも、半日は攻略に集中できる。
時間ができたら、さらに攻略に集中するようになって。放課後も門限ギリギリまで攻略しているから。夕飯は事前に買って、寮の部屋で食べるようになった。
おかげで『太古の神々の砦』の攻略も、5階層まで進んだ訳だけど――
「ねえ、アリウス。ちょっと授業をサボり過ぎじゃない?」
「そうね。最近、合同授業でアリウスを見ることがあまりないわ」
昼休みの学食。俺はミリアとソフィアに挟まれる形で座って、昼飯を食べている。
まあ、2人が言いたいことは解るけど。ちょっと、距離が近くないか?
ミリアとは、どういう訳か、一緒に昼飯を食べることが多くなった。まあ、別に断る理由はないから、構わないけど。
ソフィアは今でも派閥の取り巻きたちと、一緒に昼飯を食べているけど。こうして俺とミリアが一緒にいると、途中から俺たちのテーブルに来るようになった。
「両親の許可を取ってあるし。単位は確実に取るから問題ないよ」
座学なら内職で本を読んで過ごせるけど。実技の合同授業だと、さすがに本を読んでいる訳にいかないからな。優先的に合同授業をサボることになるのは、仕方ないだろう。
「単位を取るからって、そういう問題じゃないでしょ」
ミリアが頬を膨らませる。
「じゃあ、どういう問題なんだよ?」
学院に通うことは、父親のダリウスとの約束だし。『
「ミリアは、授業でアリウスに会えないことが寂しいのよ」
「ちょ、ちょっと! ソフィア、何を言っているのよ。そんなんじゃないから!」
顔を赤くして慌てるミリアと、クスクス笑うソフィア。ホント、この2人は仲が良いよな。
「まあ、ミリアと俺はクラスが違うからな。授業中だと、合同授業以外で会うことはないし。だけどこうして、昼休みは結構一緒にメシを食べているよな?」
「だから、私は寂しいとかじゃなくて! アリウスが授業をサボって、ボッチにならないか心配しているのよ!」
まあ、俺は学院に知り合いが少ないし。友だちと呼べるのは、ミリアとソフィアと。後はエリクにバーンに、ノエルくらいだからな。
「俺は別に他の奴がどう思おうと構わないし。知り合いが多ければ良いって訳じゃないからな。それに友だちなら、ミリアやソフィアたちがいれば十分だよ」
貴族社会で経験を積む必要があることは、解っているし。社交界に顔を出すことが、授業をサボることの交換条件だからな。それなりに、こなすつもりだけど。
俺にとっては、ソロで最難関ダンジョン『太古の神々の砦』を攻略することの方が、優先だからな。
「私たちがいれば十分とか……」
今度はソフィアまで顔を赤くしている。周りの女子たちの黄色い声がうるさいんだけど。
「私はアリウスの
ソフィアが何を言いたいのか、何となく解るけど。
ソフィアたちが友だちなら十分だと、思っているのは本当だからな。
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