第200話:作戦会議


 アークデーモンのサウラスが、魔神シャンピエールがシンたちを捕縛したと伝えに来た日。

 もう遅い時間だから『伝言メッセージ』で、状況だけを伝えて。翌日、作戦会議を行うことにした。


 魔神シャンピエールは2日後に指定した場所に、俺1人で来いと条件を出したけど。別に約束した訳じゃないし、馬鹿正直に従うつもりはないからな。


※ ※ ※ ※


 翌日。魔神エリザベートの城に集まったのは、俺とグレイとセレナに、魔王アラニス。

 魔神エリザベートと腹心である魔将たちも会議に参加している。


 アラニスに話した理由は、シュタインヘルトはアラニスの臣下だし。シンとガルドもアラニスの客人扱いだからだ。

 それに客人という意味では、俺たち全員が魔神エリザベートに魔界に招かれた客人だからな。エリザベートに黙っている訳にもいかないだろう。


「魔神シャンピエールの奴め、舐めた真似を……私の客人をさらうとは、この魔神エリザベートに喧嘩を売ったということだな」


 魔神エリザベートが嗜虐的な笑みを浮かべる。エリザベートは魔人ニルヴァナと戦争中だけど、魔神シャンピエールはその隙を突いて来たってことか。

 いや、ニルヴァナはエリザベートとの戦いを、暇潰しのじゃれ合いだと言っていたからな。ニルヴァナはシャンピエールを誘う出すために、エリザベートに宣戦布告したのかも知れない。


 魔神エリザベートに、魔神シャンピエールの戦力について説明して貰う。

 エリザベートの配下に魔将たちがいるように、シャンピエールの配下にも強力な力を持つ悪魔たちがいる。だけどエリザベートの魔将たちに比べれば、シャンピエールの配下の悪魔たちは、そこまで強くないそうだ……1人を除いて。


「エリザベート陛下。シュタインヘルトは私の臣下で、シンとガルドは私の客人でもある。魔神シャンピエールはアリウスを名指しして来たことだし。ここは私とアリウスたちに任せてくれないか」


 魔王アラニスの言葉に、エリザベートが面白がるように笑う。


「なるほど。今のアラニスとアリウスたちならば、魔神シャンピエールに一矢報いることくらいはできそうだな」


 アラニスも鍛錬しているという話を、以前にエリザベートがしていたけど。確かにアラニスはしばらく会わないうちに、確実に強くなっている。


「魔神エリザベート陛下、俺たちもアラニスと同じ考えだ。俺たちは売られた喧嘩は買う主義だからな」


 俺とグレイとセレナは事前に話し合って。魔神シャンピエールの戦力を確かめた上で、可能性があると判断したら。自分たちでシンたちを取り戻すつもりでいた。


 エリザベートにシャンピエールの戦力を説明して貰って。結論としては、今の俺たちが魔神シャンピエールに勝てるなんて己惚れていないけど。アラニスが参戦するなら、戦いようはあるとは思う。


「良かろう。おまえたちに何かあれば、私が骨を拾ってやる。シャンピエールと存分に戦うが良い」


 エリザベートの言葉に、ハイネルフォードを筆頭にする魔将たちが驚いている。俺たちが魔神シャンピエールと戦うことを、エリザベートが認めるとは思っていなかったみたいだな。


「エリザベート陛下、本当によろしいのですか? 私もアリウスたちの実力は認めますが、相手は魔神シャンピエールです。陛下の客人であるアリウスたちを、むざむざ殺されることになりますが」


「ハイネルフォード。たとえ相手が魔神シャンピエールでも、今のアリウスたちが何もできずに殺されるようなことはなかろう。それにシャンピエールが何か良からぬことを仕掛けて来るなら、私も黙ってはいない」


 何かあればエリザベートに助けて貰うとか、そんな甘いことは考えていないけど。シャンピエールが何を仕掛けて来るか解らないし。エリザベートが目を光らせてくれるなら心強いな。


「アリウス、グレイ、セレナ。おまえたちと共に戦う日が来るとは思っていなかったが。私はおまえたちになら、背中を預けられると思っている」


 アラニスが楽しそうに笑う。


「ああ。アラニス、俺もおまえと一緒に戦えるのは嬉しいよ」


「そうだぜ、アラニス。あんたみたいな強者と共闘できるなんて最高だぜ」


「油断するつもりはないけど。魔神シャンピエールに一泡吹かせてあげるわよ」


 グレイとセレナもやる気満々だな。


 俺たちはシャンピエールと配下の悪魔たちのさらに詳しい情報を、エリザベートと魔将たちに訊いて。シンたちを取り戻す具体的な作戦を話し合った。

 俺たち4人それぞれの役割と、想定できる状況に応じた行動パターン。それに予想外の状況が発生した場合の対処の仕方について。


 まあ、予想外の状況になったら、結局は臨機応変に対応するしかないけど。決めごとをしておけば、判断に迷わないからな。


 アークデーモンのサウラスが言っていた2日後の夜――もう翌日だから、明日の夜になるけど。指定した日を待たないで、こっちから仕掛けることも考えた。

 だけどシンたちの居場所が解らないからな。魔神シャンピエールがシンたちを傍に置いているとは限らないし。


 当日にシャンピエールがシンたちを連れて来ない可能性もあるけど。『索敵サーチ』と『鑑定アブレイズ』でシンたちがいないことが解ったら、即撤退することにした。

 シンたちを取り戻すことができないのに、向こうが準備万端で待ち構えている状況で戦うメリットなんてないからな。


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書籍版の方はマイクロマガジン社様より発売予定。

イラストレーターはParum先生です。

情報公開第二弾として、ソフィアのデザインを近況ノートとTwitterに公開中です。


https://kakuyomu.jp/users/okamura-toyozou/news/16817330661793862317

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