第189話:これからのこと
今の状況をみんなに伝えるために。俺とグレイとセレナは、いったん地上に戻った。
みんなに集まって貰ったのは、ロナウディア王国の王都にある
王国宰相を継ぐ気がないのに、いつまでも実家にいる訳にもいかないから。自分の家を買ったんだよ。
だけど王都にいるときは、結局実家に行くことが多いから。ほとんど使っていなかった。
誰も住んでいないと家が傷むから。一応、1人だけ使用人を雇っているけど。今日は休みを取って貰っている。
集まって貰ったメンバーは、エリス、ソフィア、ミリア、ノエル、ジェシカの5人に。俺の両親のダリウスとレイアに、エリクとバーン。あとは元勇者パーティーのアリサだ。
父親のダリウスは王国諜報部を率いているし。エリクとアリサは、それぞれ独自の人脈と情報網を持っている。
この3人に状況を伝えれば、必要な相手に必要な情報を伝えてくれるだろう。
バーンにはグランブレイド帝国の皇帝代理として、参加して貰った。
みんなは『神たち』のことも、この世界の魔神や神のことも知らないから。俺は順を追って説明する。
まずは俺が『ダンジョンの神』の声を聞いて、これから話すことについて知ったこと。
『ダンジョンの神』はこの世界を創り出した『神たち』の1人で。『神たち』はこの世界を自分の色に染めるために、ルールに基づいてゲームを行っていること。
この世界には『神たち』とは別に、強大な力を持つ魔神と神がいて。魔神は魔界の国で悪魔たちを支配していて、神は天界の国で天使たちを支配していること。
魔界と天界は繋がっているけど。『神たち』のルールによって、魔界や天界の存在は地上に行くことができないこと。
『神たち』の1人である『RPGの神』は、勇者や魔王に力を与える存在で。魔王アラニスという強力な駒がいるから、ゲームに勝てると思っていたこと。
だけど俺が強くなり過ぎたから。『RPGの神』が『ダンジョンの神』と『乙女ゲーの神』が共謀して俺を強くしたと思って。『神たち』のルールを変えて、魔界や天界の存在を地上に解き放とうと画策していること。
だけど他の『神たち』の合意がないとルールは変えられない。
そのタイミングで俺が魔界に行ったから。『RPGの神』は魔界ならルールを変える必要ないと。魔神や神を
「殺そうとしているって……ねえ、アリウス。大丈夫なの?」
ミリアが心配そうに俺を見る。他の4人も俺に視線を集める。
「みんなに心配させて悪いけど。とりあえず今のところは、そこまで深刻な状況じゃないんだ。
魔神の1人のエリザベートが味方になってくれたし。ナイジェルスタットって魔神にも会ったけど。そいつも結局、何もしないで帰っていったからな」
『RPGの神』が唆したところで、絶対的な力を持つこの世界の魔神や神が、言いなりになるとは限らない。
だから俺は魔神と神の出方を窺いながら、『
みんなは納得していないみたいだけど。俺のことを心配してばかりいても、話が進まないから。後でじっくり話を聞くからと、とりあえずは引き下がった。
「魔神や神とか、俄かには信じられん話やけど。アリウスはんが言うことやからな」
空気を読んだアリサが話を戻す。
「うちらにこんな話をしたのは。アリウスはんは最悪、魔神や神が攻めて来る可能性があるって思っているからやろう? 何が起きるか解らんから、覚悟しておけってことやな」
「ああ、そういうことだよ。魔界や天界の奴らが攻めてくるとか、普通は考えないからな。
だけどその可能性があることを、事前に知っていれば、対処のしようがあるだろう」
魔神や神が本当に地上に攻めて来たとして。何も知らなければ、本物の魔神や神だとは思わないで、戦って殲滅されるだろう。
だけど可能性があることを知っていれば、本物かどうか見極めようとするだろうし。戦う以外に逃げるとか降伏するとか、他の選択肢を考えるだろう。
「アリウスが強くなれば、魔神や神にも対抗できるってことだよね。だったらアリウスたちは自分の身を守ることと、強くなることに集中すべきだね。
地上のことは僕たちに任せてくれて構わないよ」
エリクがいつもの爽やかな笑みを浮かべる。だけど目は真剣だ。
「アリウス。こっちのことは俺たちに任せて、無茶だけはするなよ」
「アリウスが傷ついたら、悲しむ子がたくさんいるんでしょう。絶対に無茶はしないでね」
父親のダリウスと母親のレイアに諭される。
ミリアたちが、じっと俺を見る。
「解ったよ。約束する」
何が無茶かって話だけどな。
ダンジョンで命を削るようなギリギリの戦いをするのは、俺にとっては日常だからな。とりあえず俺的には、無茶じゃないってことにする。
グレイとセレナが見透かしたように笑っているけど。2人は俺と同類だからな。
「アリウス、俺は皇帝陛下に今の話を伝えるが。グランブレイド帝国にはカサンドラ姉貴もいるし、問題ないだろう?」
「いや、ルブナス大公が1番の問題だよな」
バーンの姉で、エリクの妻のルブナス大公カサンドラ。カサンドラは隣国のタイラント王国と紛争の真っ最中だ。
タイラント王国から紛争を仕掛けた形だけど。カサンドラが計略で
「カサンドラのことは、僕が何とかするよ。紛争もそろそろ決着がついて、タイラント王国の併合で終わりそうだからね。しばらくは大人しくして貰うよ」
エリクとカサンドラの夫婦なら、もし世界征服を企んでいたとしても驚かない。
だけどエリクは自分の欲で動く奴じゃないからな。大丈夫だろう。
魔族のことは魔王アラニスに任せれば良いし。魔族との交易はエリスが上手く進めてくれる。
地上に何かあれば、直ぐに駆けつけるつもりだけど。取り急ぎ、俺が関わる必要があることはなさそうだな。
話が終わると、空気を察したんだろう。
俺の両親がグレイとセレナに、俺のことをよろしく頼むと言って出て行って。エリクとバーン、アリサも帰って行った。
「アリウス。俺たちは野暮用があるからよ」
「魔界へ戻るのは明日にしましょう」
グレイとセレナが出て行くと。エリス、ソフィア、ミリア、ノエル、ジェシカの5人が残った。
「アリウス、さっきの話だけど。じっくり聞かせて貰うわよ」
エリスの言葉に、みんなが俺を見つめながら頷いた。
※ ※ ※ ※
アリウス・ジルベルト 18歳
レベル:14,119
HP:149,715
MP:228,339
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