第66話
6ー3 タフな女
わたしは、朝、ご主人様のお世話をすますとご主人様を執務室へと送り出す。
その後は、ジェイムズさんがご主人様のサポートをしてくれた。
わたしは、ご主人様の用意してくれた伯爵家の家紋の入ったわたし専用の馬車で治療院へと毎日通ってそこで治療院の仕事を夕方までして、また馬車で屋敷へと戻り部屋へと戻られたご主人様のお世話をすることになっていた。
この新しいルーティンになぜか、エミリアさんが絡んできた。
毎日のようにわたしの治療院への通勤に同行しようとしてくるのだ。
目的は、街へとでかけることかな、とかわたしは軽く思っていたのだが、そうでもないらしい。
わたしは、毎日治療院へとお弁当の入ったバスケットを持ったライザと一緒に通っていた。
ライザは、別に来なくてもいいんだが、ライザ本人がそれを望んでいた。
「私は、あなたの助手なんでしょ?トガー」
ライザは、そう言ってわたしと一緒に治療院へと通うようになった。
本当は、ライザももう10才なので、そろそろ家庭教師について勉強をはじめなくてはいけない年齢なのらしい。
しかし、本人がそれを望まず、わたしの助手をしていたいというのだからな。
本当に、変わり者だ。
わたしとご主人様は、ライザのことについて相談してもうしばらく様子をみることにした。
そうしたらエミリアさんまでもわたしにひっついてくるようになってしまった。
だが、正直、エミリアさんになつかれてわたしは、困っていた。
はっきり言って、エミリアさんは、役立たずだ。
うん。
ライザよりも役に立たない。
ライザは、意外と役に立っている。
ちょっとしたお使いとかもこなしてくれるし、なによりかわいい。
だけど、エミリアさんは。
だいたいがお貴族様の奥様が出入りするようなところではないのだ。
豪華なドレスも美しく磨かれた爪も必要のない場所。
それが今の治療院だった。
わたしがそれを伝えると、さすがにエミリアさんもへこんだらしい。
次の日からは、もうついてこないだろうとわたしは、思っていた。
しかし、彼女は、ある意味貴族でありながら雑草なみにタフな女だった。
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