第61話
5ー9 抽選開始ですか?
「盛況そうだな」
隣のテントから工業ギルドのギルド長が顔を出す。
わたしは、ギルド長に笑顔で訊ねた。
「そっちは、どうなんです?たこ焼きの売れ行きは?」
わたしは、工業ギルドのルイーズさんに頼んでたこ焼き用の鉄板を作成してもらった。
といっても前日になってタコが手に入らないことがわかったので、かわりに中に果物を入れたカステラを作ってもらうことにした。
本当は、もうたこ焼きじゃないんだが、ついついそのままたこ焼きとよんでいるわけだ。
「めっちゃ売れてますよぉ!」
ルイーズさんと車イスに乗ったクラウスさんが仲良く夫婦でカステラ焼いてる。
微笑ましいな、まったく!
「そろそろ抽選の時間ですよ!」
裏方のリーダーを頼んでいるジェイムズさんがわたしを呼びに来たのでわたしは、つけていたエプロンを外してルルに渡した。
「ちょっと行ってくる!」
「しっかりっ!」
「がんばってください!トガー様」
アエラさんたちに見送られてわたしは、舞台へと向かった。
今日は、私もおよそゆきだった。
ジェイムズさんが選んでくれたブルーのドレス姿だ。
いつもは、ひっつめている髪も下ろしてライザがプレゼントしてくれた光沢のあるブルーのリボンを編み込んで後ろでまとめている。
ライザは、舞台の袖にご主人様と一緒に並んで座っていた。
その隣には、ソルジュさんとエミリアさんもいる。
わたしは、深く深呼吸すると舞台の上へと上がっていった。
わたしが現れると、観客たちがどっと拍手をして向かえてくれる。
「お集まりの紳士、淑女のみなさん!今日は、このフェブリウス領初の宝くじイベントに来てくれて、ありがとうございます!」
わたしは、笑顔を浮かべた。
「どうか、みなさん、楽しんでいってくださいねぇ!」
観客がわぁっと歓声をあげる。
わたしは、まず舞台上に工業ギルドのギルド長を招いた。
ギルド長は、手に大きなバグパイプのような楽器を抱えていた。
それは、この辺りでは珍しい楽器だった。
なんでもギルド長の故郷のものらしい。
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