第33話

 3ー4 ネグレクト?


 「わたしは」

 ライザが静かな声で話し始めた。

 「この家の要らない子なのよ」

 「要らない子?」

 「そうよ、要らない子」

 ライザは、感情が消えたような表情をしていた。

 「だから、みんな、わたしのこといてもいないふりをしているの」

 なんですと?

 わたしは、ライザの言葉に耳を傾ける。

 ライザは、淡々と話続けた。

 「5年前にお母様がいなくなってから、ずっとわたしは、ここで1人で暮らしてきたのよ。お父様もジェイムズたちも、わたしのこと忘れてしまったの」

 5年前から?

 わたしは、ライザにきいた。

 「あんた、いくつ?」

 「わたしは・・・10才、よ」

 10才?

 わたしは、子供のことは詳しくない。

 だけどな。

 どうみてもこの子は、7、8才ぐらいにしか見えない。

 わたしは、この薄暗い屋根裏部屋をぐるりと見回した。

 まるで、ここは、赤ん坊のための部屋のようだ。

 幼い子供の好みそうな玩具に小さなベッド。

 そして、丈の短い汚れたドレス。

 これって、もしかしてネグレクトってやつじゃね?

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