第七章 罠と疑惑と ー前編ー

 ふと、近くで異界の者の気配を感じた。


 これぐれ者ではない。

 ぐれ者を狩る為に派遣されてきた討伐員だ。

 人口の増加にってぐれ者を討伐する者も徐々に増やされているのだ。


 討伐員は手当たり次第に草をんで食っていた。

 秋も大分深まっているから生えている草はほとんど残ってない。


 不意に足音が近付いてきた。

 何時いつも自分に食べ物を持ってくる少女だ。


 の辺りの人間も大分前から水田で稲作をするようり農繁期はあまり採集などには来なくなった。

 今は農繁期は過ぎたが採取出来るものも無くなったので普通の人間は来ない。


 しかの少女は採集に来たとき自分を見付けて以来よく食べ物を持ってくるようった。

 驚いた事に家畜ではない動物に餌をるのが好きな人間は意外とた。


 大抵は子供だが。

 しかしかも家畜でもない動物に食べ物を持ってくる少女が同時期に複数いた事は無いから恐らく同じ人間が生まれ変わる度に同じ事を繰り返してるのだ。


 馬鹿な人間は何度生まれ変わっても馬鹿なままらしい。

 今日も自分に食べ物を持ってきたのだろうが討伐員がる所で姿を見せる訳にはいかない。

 気配を殺したまま影から様子をうかがった。


 討伐員が草に手を伸ばしたとき少女が駆けてきて、

駄目ダメ!」

 と言って草を払った。


「何をする!」

の草は毒だよ」

「俺は平気だ」

 討伐員は草に手を伸ばした。

 少女がの手を掴む。


駄目ダメだよ」

「邪魔をするな!」

「お腹減ってるなら、これ

 少女が袋から肉の欠片を出した。


「肉は食えない」


 の言葉に愕然がくぜんとした。

 の者は、討伐員は人間以外の動物なら食ってもいと言う説明を受けていないのか。


 落葉樹ばかりの所で動物を食わずに如何どうやって冬を越すもりなのか。

 もうきのこの類も残ってないしほとんどの木の葉が落ちているから後は木くらいしか食えるものはない。


「お肉じゃなければいの?」

「ああ」

「なら、村に来れば有るよ」

 の言葉に討伐員はそっぽを向いた。


 どうやらこんな所で草を食っていたのは人間達と上手くっていけないかららしい。

 上の者も少し考えれば人に合わせられない者が人間界こちらで暮らすのは無理な事くらい分かりそうなものだが。


 異界の者の愚かさには呆れるばかりだ。

 他所よその人間が流れてくる事は珍しくないから村に住み着くのは容易たやすい。


「もうの辺に採れるものは残ってないし、お肉が駄目ダメだと食べられるものが無いよ」

 討伐員は少女の言葉には耳を貸さずに黙って立ち去った。


 の者の担当区域は知らないが冬でも草や葉が茂っているほどの南方までは入ってないだろう。

 そもそもの前に海に突き当たるから渡海とかいしない限りそんな場所へは行かれない。


 まぁ、どうせの少女は明日からの者の分の食べ物も持ってくるに違いない。

 村での暮らしをほとんど経験していないのだとしたら、の食い物は少女が自分の分を食べずに残して持ってきている事には気付かないだろうが。


 昼休み――。


 六花は五馬と屋上にた。


「卜部君、鬼と戦ってるから休みなんだよね?」

「うん」

「今までは学校に来てたのにずっと休んでるのはなんで?」

「今、鬼が沢山いるんだって」

「どう言う事?」


「理由は分からないけど鬼が増えたって」

「じゃあ、今日も戦ってるの?」

「多分」

 六花は曖昧あいまいに答えた。


「どこで戦ってるの? 綱さんも一緒?」

「さぁ?」

「ね、戦ってる所に差し入れ持っていってあげたら喜ぶんじゃない? 綱さんが一緒なら私も行きたい」

「どこにるのか聞いてないの。ごめんね」


 行き先、聞いてなくて良かった。

 五馬ちゃんに嘘きたくないし。


「そっか、残念。早く会いたいね」

 五馬はそう言うと話題を変えた。


 放課後――。


 六花と五馬が図書準備室に向かっていると女子生徒の一人がぶつかってきた。


「きゃ!」

 六花は思わずよろけた。

「大丈夫!?」

 備品室の戸に手を付くのと五馬が六花を支えたのは同時だった。


 その瞬間、悪寒がして慌てて数歩後ろに下がった。その拍子に五馬の手も離れる。


 中に鬼がるのかな。


 そっとドアを開けて隙間から中を覗いたが何もなかった。


 気のせいかな。


 六花は首をかしげながらドアを閉めた。



 四天王はネットカフェに来ていた。

 季武達に感知出来ないほど巧妙こうみょうに気配を消せるとしたら歩き回って捜すのは時間の無駄だ。


 そこでネットで情報を集める事にしたのだ。

 四人が住んでるマンションにはパソコンが一台しかないし、スマホは画面上に表示出来る情報量が少ないのでネットカフェでそれぞれがSNSやニュースなどを調べていた。


 不意に季武のスマホが振動した。

 ポケットからスマホを出すと六花からだった。


 スマホの時刻表示を見ると、もう放課後だ。

 本来なら迎えに行っている時間だがうっかりしていた。

 しかし六花イナは催促などせず黙って季武の迎えを待つ。そう言う性分だ。

 大した理由も無いのに掛けてくるはずがない。


 季武はスマホを耳に当てた。

 車が通り過ぎる音しか聞こえない。


「六花?」

 と呼び掛けてみたが無言のまま切れた。


 急いで掛け直したが繋がらない。

 GPSで場所を調べてみると学校から少し離れたビルの裏手だった。

 多少の誤差はあるだろうからビルの前の歩道にるのだと思いたい。


 だが校舎の外にるなら通話に出られない理由は無いだろう。

 たった今掛けてきたのだからだ手に持っているはずだ。

 着信音や振動に気付かないとは思えない。


 GPSで表示されている辺りにはファーストフード店やコンビニなどは無いから道端みちばたに立ってると言う事になる。


 もし表示通りビルの裏にるとしたら倒れているのかもしれない。

 二十年前、目の前で倒れた綾の姿が脳裏をよぎる。

 季武はネットカフェから飛び出した。


 ビルの前に六花の姿は無かった。

 建物の間を通って裏へ回る。


 そこにもない。

 不安がつのってくる。

 もう一度GPSで調べようとしたとき背後で風を切る音がして咄嗟とっさに前にんだ。

 後ろに目をやると鬼が刀を振り下ろした所だった。


 季武は着地と同時に地面を蹴ると上に跳んだ。

 そのまま両側の壁を交互に蹴りながら屋上まで上がる。


 羽の音がしたかと思うと茨木童子が上空から斬り掛かっていた。

 後ろへ跳んで間一髪でける。


 背負っていた弓を手に取ると茨木童子に矢を放った。

 他の鬼達が次々に屋上に上ってくる。

 属性の鬼ばかりだ。


 季武は床を蹴って階段室の上に乗ると茨木童子に立て続けに矢を放った。

 他の鬼達が階段室に飛び乗ってくる。


 季武は茨木童子に矢を射掛いかけながら隣の建物の屋上に飛び移った。

 その合間に他の鬼にも矢を放つ。


 ビルからビルへ飛び移って他の鬼をけながら茨木童子に矢を次々に放っていく。

 上空を飛び回って矢をけている茨木童子を狙っているとき古いビルが視界の隅をよぎった。


 季武は茨木童子を集中攻撃して近付けないようにしながら建物から建物へと飛び移って古いビルの屋上へと移動し階段室の上に立った。


 他の鬼達が季武を追い掛けてくる。

 次々に季武のるビルの屋上にやって来るが階段室に登ろうとした鬼以外は無視して茨木童子だけを狙い続けた。


 ほとんどの鬼が屋上に集まった頃合いを見計らって弓を背中に戻すと高置水槽こうちすいそうに繋がっている鉄パイプから金属性の大太刀を取り出した。

 鬼達に背を向けると大太刀を思い切り振り下ろしてから真上に跳ぶ。


 両断された高置水槽こうちすいそうから大量の水があふれて鬼達を押し流した。


 季武目掛けて突っ込んできた茨木童子の刀を大太刀で受けると互いにはじき合って後ろへ飛んだ。


 屋上の鉄柵のそばに着地すると大太刀を捨てて背中の弓を再度手に取った。


 向かってくる茨木童子に狙いを定めて限界まで弓を引きしぼる。

 茨木童子は狙いが定まらないように上下左右に動きながら向かってくる。


 見切った!


 季武が矢を放つ。

 茨木童子は咄嗟にけたが予想より速く飛んできた矢が脇腹を裂き翼を貫いた。


 茨木童子がバランスを崩す。

 立て続けに飛んで来る矢をかろうじてけていたがこのまま戦い続けるのは無理だと悟ったのか向きを変えると飛び去っていった。


 季武はビルから飛び降りると、屋上から水に流されて落ちた鬼を残らず倒した。

 火属性だったため大半の鬼は消えるか、残っていてもダメージを受けていたので簡単に一掃いっそう出来た。


 辺りに鬼の気配が無くなったのを確認すると、もう一度GPSで六花のスマホの位置を調べた。

 やはりさっきと同じ所だ。


 季武は再度GPSのす場所に向かってビルの間に入っていった。

 様々なゴミが落ちていて地面を隠している。


 季武は六花のスマホに掛けてみた。

 スマホの振動音が背後から聞こえてくる。


 振り返るとビルの壁とその横に置かれた古いダンボール箱の隙間からかすかな明かりがれている。

 スマホを切ってダンボールを退けると六花のスマホがあった。


 スマホに手を伸ばしたとき画面に明かりがいた。

 六花のスマホに電話が掛かってきたのだ。


 季武は六花のスマホを手に取った。

 画面に「八田五馬」と表示されている。

 季武は通話のアイコンを押した。


「あ、もしもし……」

「六花!」

 季武が声を上げると六花も驚いたように、

「季武君!? なんで、季武君が私のスマホ持ってるの!?」

 と言った。


「六花、今どこだ? どうして八田のスマホから掛けてきた?」

「学校だよ。スマホが見付からなくて探してたら、五馬ちゃんが着信音鳴らしたらってスマホ貸してくれたの」

「無事なんだな」


「うん……季武君、今、学校に来てるんじゃないよね?」

「六花は学校のどこだ?」

「教室だけど……」

「そこで待ってろ。今から行く」

 季武は電話を切ると通話履歴を見た。

 ついさっき季武に掛けた履歴が残っていた。


 季武が教室に入っていくと六花と五馬がた。

 季武は六花にスマホを手渡した。


「ありがと。どうやって見つけたの?」

「GPSで」

「あ、そっか。五馬ちゃんのスマホでGPS使わせてもらえば良かったんだ」

「他人のスマホじゃ出来ないぞ」

 季武がGPSで探せたのは頼光と四天王は六花のスマホを探せるように設定してあったからだ。


「六花ちゃんのスマホ、どこで見付けたの?」

「近くの路地で」

「六花ちゃん、あの子がやったんじゃない? 階段から……」

「い、五馬ちゃん!」

 六花が慌てて五馬を遮った。


「あ、あの、階段はホントに私が足を踏み外したから落ちたんだよ。スマホは……イタズラかもしれないけど、誰がやったのかまでは……」

「帰ろう」

 季武は六花を遮って言った。


 六花は五馬に礼を言って別れを告げると季武にいて歩き出した。


「今まで学校にたのか?」

 季武が六花に訊ねた。

「うん。あのね、スマ……」

「授業の後、ぐに民話研究会に行ったのか?」

「うん」

「スマホが無い事に気付いたのは?」

「民話研究会が終わって、スマホ見ようとした時」


 落ちていたのは学校の近くの路地だったし嫌がらせでクラスメイトが持ち出して捨てたと言う可能性はあるだろう。

 階段から落ちたのは本当に足を滑らせたのだとしても、季武を怒らせないように六花が隠していただけで嫌がらせは続いていたのだ。


 気付かなかったのは迂闊うかつだった。

 イナは昔から争い事が嫌いで、特に季武が怒りそうな事は隠す傾向があった。


 だが六花は最後の授業が終わると鞄からスマホを出してスカートのポケットに入れるのが習慣化していた。

 習慣というのは無意識にやっている事が多いからまず忘れない。


 私服ならポケットが付いてないとか小さくて入らなかったと言う事はあるだろうが制服のポケットは大きさも位置も変わらない。

 中学生に掏摸スリ真似事まねごとが出来るとは思えないし、何かの拍子に落としたのでもない限りスマホを盗むのは無理だろう。


 鞄から取り出すのを忘れた可能性が無いとは言えないが……。


 しかし嫌がらせなら季武に電話しないだろう。

 昔の携帯電話ガラケーと違い、スマホはうっかりボタンを押して電話を掛けてしまうと言う事は無い。


 電話が掛かってこなければ季武が六花を探してあそこへ行く事は無かった。

 茨木童子は明らかに待ち伏せしていた。季武が来ると分かっていたのだ。


 茨木童子は中学生に変身する事が出来るが、小学生に化けた茨木童子に腕を掴まれたとき思わず払ってしまったと言うくらいだからポケットから抜き取れるほど近付かれたら鬼だと気付かなくても距離を取るだろう。


 少なくとも気付かれずに掏摸すりるのは難しいはずだ。

 放課後より前に鞄から盗み出していたなら授業が終わってスカートのポケットに移そうとした時点でスマホが無いと気付いただろう。

 何より盗んだ後、放課後まで待つ理由が無い。


「あの……何かあったの?」

 六花に目をやると考え込んでいる季武を心配そうに見ていた。

「たまたま近くまで来たからどこに居るのかと思ってGPSを使っただけだ」

「そう」

 六花は納得したような表情を浮かべたが瞳が心配そうに揺れていた。

 季武は内心で溜息をいた。


 昔からイナを完全にだませた事は無かったな。


 いつも気付いていても季武が黙っている限り騙されてる振りをしてくれていた。

 多分バレてるんだろうとは思っても気付かない振りをしてくれてるのに甘えていた。


 そう言えばイナとは喧嘩した事が無いな。


 綱達が恋人と派手に喧嘩するのは隠し事をすると彼女達が怒るからだろうか。


「あの、季武君?」

「ん?」

「綱さんが五馬ちゃんに話さないなら季武君達がどこにいるのか私にも言わないでくれる? 五馬ちゃんに聞かれたとき嘘きたくないから」

「分かった」


 二人はスーパーで夕食の材料を買うと四天王のマンションへ向かった。

 キッチンに荷物を置くと季武はネットカフェに戻っていった。


 季武はLINEで他の三人を自分の部屋に集めた。


「どうした?」

 金時が訊ねた。


 季武は三人にいまがた起きた事のあらましを話した。


「茨木童子が待ち伏せてた!?」

「スマホをポケットに入れるのが習慣化してたってのは季武が言うなら間違いないだろうな」

 季武はイナにべったりなだけではなく、常に見ているから習慣などは本人以上に熟知している。


「けど、六花ちゃんは人に化けた鬼が近付いてきたら気付くだろ。茨木童子が化けた餓鬼ガキと手ぇ繋げなかったって言ってたし」

「そう思うが……綱も橋姫と一緒に馬に乗っても気付かなかったしな」

「橋姫に気付かなかったのは美女に化けてたからじゃね?」

 金時の言葉に貞光が同意するようにうなずく。

 綱がムッとした顔で二人を睨んだ。


 季武は六花が鞄を隠された時の事も話した。


「多分、あの後も嫌がらせは続いてたんだと思う。俺が怒るから隠してただけで」

 貞光達は密かに視線を交わした。


「六花ちゃん、良く忘れ物すっか?」

「この前話しただろ。教科書……」

「そのぇだよ」

「無い……」

 不意に季武が考え込んだ。


「どうした?」

「俺があの中学に行くようになってしばらくしてから六花がロッカーに鍵を取り付けたんだ。鍵を掛けてる生徒はほとんどないし、六花もそれまでは掛けてなかったから変だと思ってたんだが……」


「盗られたら困るもの入れてんだろうな」

「なら教科書も忘れたんじゃなくて……」

られるか隠されるかしたんじゃね?」


「そうなると尚更なおさら、同級生の嫌がらせと言う可能性も考えられるが……」


 ただ、それだと茨木童子が待ち伏せていた理由の説明が付かない。


「イナちゃん、争い事が嫌いだからな。お陰でこっちは喧嘩したとき取りなしてもらえて助かってたけど」

「でも普通の中学生がポケットからスマホをるのは無理だろ」

「制服のスカートのポケットは意外と深いからそう簡単には落ちないしな」

 何故なぜ綱が制服のスカートのポケットの深さを知っているんだと思ったが、スマホを入れてもはみさないのだからそれなりに深いの確かだろう。


「鬼が生徒の誰かをだますかあやつるかするにしても掏摸スリが出来なきゃ盗めないよな」

 金時の言葉に季武がハッとした表情をした。


 鬼以外……。


「季武、思い当たる事でも有るのか?」

「ちょっと待ってくれ……」

 季武はスマホを出すと六花にビデオ電話を掛けた。


「季武君、どうしたの?」

 六花の背後に四天王のマンションのキッチンが写っている。

 まだ料理中なのだろう。


「六花、最近何か変わった事は無かったか?」

「この前言ってた変な事なら特に……」

「何かに襲われたりは?」

 六花が口をつぐんだ。


「鬼を探す手懸てがかりになるかもしれないんだ」

 季武が重ねて聞く。

ぬえにどこかに連れていかれそうになった事があったよ」


 やはり鵺か……。


 しかし――。


さらわれそうになったのか? その場で殺されそうになったんじゃなく?」

「多分どこかに連れてこうとしたんだと思う。肩をつかんでそのまま飛んでいこうとしたから。あ、でも、この前のミケ? あの子が助けてくれたから大丈夫だったよ。ケガもしなかったし」


「ミケ?」

「うん、季武君がミケって呼んでたのと同じ子だと思う」

「ミケは鵺を倒した後どうした?」

「えっと、始めはその場で食べてた」

「始めは?」


「うん、食べてる途中で急に私にうなり始めて……」

うなった!? 襲われたのか!?」

「そうじゃないの!」

 六花が慌てて否定する。


「注意してくれたの! 多分……」

「注意?」

「うん、喰べてる最中に突然上を見て……それから唸り始めたの。きっと、まだ他にもいるから早く帰るように注意してくれたんだと思う。私が駆け出したら鵺をくわえて中央公園に入っていったから」


「……そうか。六花、そう言う事はちゃんと話してくれ」

「ごめんなさい」

 六花が謝ると季武は通話を切った。


「六花ちゃんが狙われてるって事か?」

「六花ちゃんじゃないだろ。スマホが落ちてた場所で茨木童子が待ち伏せしてたんだし」

「六花ちゃんを人質にしたかったがミケが邪魔して失敗したからなんらかの方法でスマホをったって事か」

「今までぐれ者が異種族と手を組んだ事があったか?」


 ぐれ者は同属で徒党ととうを組む事はあっても異種族と手を組む事はまず無い。


「鬼の手懸てがかりもつかめねぇし、一度頼光様あのひとに判断をあおいだ方がいんじゃねぇか」

「これだけ時間掛けて手懸てがかり無しなんて言ったら絶対怒られるよなぁ」

「土曜に来てもらえばいじゃん」

「土曜まで日が有るし、その間に被害が出たら不味マズいだろ」

 金時はそう言って頼光に連絡した。

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