第4話 師匠と王都へ
錬金を取得してから1カ月半が経過した。
僕はあれからもひたすら金を作ることに励んでいる。
今は鉄から銀への変質が完了し、銀から金への変質を行っているところだ。
ところどころではあるが、金に変質している。
「アルカ行くわよー」
そして今日は、ついに外出の日である。
まずは王都に行って師匠の作ったポーションを卸す。
その後王都周辺の森で
王都は安全第一ということで強力な魔物の発生しない土地に作られた場所なので、その周辺の
僕は師匠の方へと寄る。
足元を見ると床に魔法陣が刻まれている。
この魔法陣に魔力を込めると、予め設定された場所に転移することができるのである。
僕のMPはまだ355しかないので転移の魔法陣を一回で起動させることはできないが、そこは僕の師匠。
「いざ、王都へ!」
そんな言葉と共に、軽く発動してのける。
魔法陣が光を発したと思ったら、次の瞬間には王都の目の前に居た。
僕らは門を潜って王都の中へ入る。
ちなみに、師匠はVIPカードなるものを持っているらしく、入るために必要な面倒な審査をスキップできるらしい。流石だ。
「じゃあ、私は王様に会ってポーションの納品がてら世間話でもしてくるから、アルカはギルドにポーションを売ってきてくれる?」
「わかりました」
師匠と別れ、僕は冒険者ギルドに向かう。
冒険者達は日々の戦いの中で傷付くことも多いのでポーションは必需品なのだ。そのため常に買取をしており、そこそこいいお金になる。
師匠が作ったポーションは性能が破格なので国家が直接買い取りを希望するほどだが、僕の作ったポーションは普通のやつに毛が生えた程度なのでいつも通りギルドに納品となる。
「こんにちはー、ポーションの買取希望です」
冒険者ギルドについた僕は受付に行ってそう伝える。
「アルカさんお久しぶりです。では、こちらにポーションを並べていただけますか?」
彼女は数か月に一度しか会わない僕のことをちゃんと覚えていてくれる優秀な受付嬢のオフィリアさん。
僕は師匠から借り受けた魔法鞄の中に入れてあるポーションを次々に出していく。
この魔法鞄は師匠が作ったもので、普通の魔法鞄にある空間拡張と重量無視の魔法に加えて、内部の時間の流れを遅くする効果まである。
空間拡張のレベルも破格の性能で、普通のものがリュックサック5つ分くらいなのに比べて、これは家が一つ入るくらいらしい。
「実は最近、
ポーションを並べている途中、オフィリアさんが話をしてくれる。
「へー、そうなんですね。そういえば師匠も魔物が増えてるって言ってました。怖いですねー」
その後も、ポーションを並べながらオフィリアさんと世間話を楽しむ。
僕と師匠は基本的に人から隔絶された空間で暮らしているので、こういう人と話す機会は結構大事なのだ。
「回復ポーション1000本、中級回復ポーション500本、毒消しのポーション100本、MP回復ポーション100本、SP回復ポーション100本、合計で3,025,000ギルとなります。
こちらは通常価格から1割増しされた金額での買取です」
ポーションを並べ終えると、オフィリアさんが会計してくれる。
僕は白金貨3枚と金貨2枚、銀貨5枚を受けとる。
これは一般的な平民の年収に相当する金額だ。
ここから素材費が引かれるとはいえ、モンスター素材以外は森に自生しているので自分で揃えることが出来るし、僕にしてみれば美味しい話だ。
「ありがとうございます。また四カ月後に会えると嬉しいです、それでは」
僕はそういってオフィリアさんに挨拶をしてから移動する。
次は冒険者ギルドのショップに向かう。
ポーションの素材として欠かせない魔石などを仕入れに行くのだ。
「こんにちはー」
ショップの店員さんに話しかける。
「いらっしゃいませ。本日は何をお求めでしょうか?」
「F級魔石1500個と、E級魔石2000個、D級魔石2000個、C級魔石100個、B級魔石50個をお願いします」
販売価格はそれぞれ左から1つあたり150ギル、700ギル、1500ギル、10000ギル、50000ギルだ。
それだけで今日の収入を上回るが、【錬金】スキルを手に入れたことで時間効率が上がったこと、今まで作れなかったアイテムを作れるようになったりもあるので仕方がない。
僕は白金貨を数枚出してちゃんとお金持ってますよー、とアピールする。
「かしこまりました、少々お待ちください」
店員さんは迅速に魔石の入った箱を棚から降ろしてくれる。
「確認します。F級魔石1500個、E級魔石2000個、D級魔石2000個、C級魔石100個、B級魔石50個、以上でお間違いないですか?」
「はい、大丈夫です」
師匠曰く、これだけの量の魔石がポンと買えるのは王都だからこそらしい。
「合計で8,125,000ギルとなります」
僕は不足分のお金を魔法鞄から取り出し、店員さんに渡す。
「ありがとうございましたー」
「ありがとうございます。またお願いしますー」
買った物を魔法鞄に詰めて、僕はショップから出ていく。
ふう、結構な出費だったなあ。
――ピピピっ。
右手に付けているブレスレットが鳴る。
これは師匠が作った魔道具で、離れていても師匠と連絡が取れるというものだ。
『はい、終わりましたか? 師匠』
『ええ、終わったわよ、そっちは?』
『こっちもちょうど終わりました』
『丁度いいわ、お腹空いたし一緒にご飯でもいかない?』
『分かりました、どこに向かえばいいですか?』
『私が行くから、冒険者ギルド前に居てくれればいいわ』
『了解です』
僕は冒険者ギルドを出て、そこで師匠を待つ。
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