第2話

────そんな最悪の初対面を経てしまったが故に、俺たちは今、誰もが知る犬猿の仲になっていた。


「よおオフィーリア。また真面目に試験勉強か? 今度こそ俺に勝って一位を取れるといいな」

「あらオリバー。そう言っていられるのも今のうちよ? 次こそは私が勝つわ」


 教室で机に向かっていたオフィーリア。

 俺は彼女の目の前に立ち、バチバチと火花を散らして見つめ合う。 


 このやり取りの始まりは、俺たちがこの学園の初等部に入学し、初めてテストを受けたときまで遡る。

 俺がつい「オフィーリア、君は何点だったんだ? 九十八点? すごいじゃん。まあ俺は百点だったけど」なんて、また残念な台詞を吐いてしまったがために、それ以降オフィーリアは俺に負けないようにと必死に勉強している。

 ……まあでも、彼女が俺に負けて悔しがっている姿も最高に可愛いのだ。だからオフィーリアには悪いが、俺も俺で彼女に負けないよう必死に勉強して、俺がテストで負けたことはないのが現実。そして高等部二年となった現在に至るのだ。


 あと他には、パーティでの言い合いなんかもある。

 俺が「何そのドレス。子供っぽいな」と口にしてしまうと、オフィーリアも「あなたこそ。服に着られてるんじゃない?」と言い返してきて、まさに売り言葉に買い言葉。


 最初は俺たちの言い合いをハラハラと見つめていた周りの人たちも、今では「やれやれまたやってるのか」と微笑ましく見守ってくれている。


 まあそれと言うのも、



「……オリバー。お前、そろそろオフィーリアに告白したらどうだ?」

「んなっ!?」



 俺がオフィーリアを好きなことと、好きなのに……いや、好きだからつい彼女にひどいことを言ってしまうことが周りの大半にバレてしまっているのだ。

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