第221話 露店
俺達はバトルホースを走らせて王都に着くとそこには普段と変わらない日常があった。
ただ違うのは異様に魔力を感じるということだけだ。
「おい、ケントどこに魔力の反応があるんだ?」
「感じるところは全部で――」
「五カ所じゃ」
俺とコロポの意見は合っていた。一つは貴族街から他には商店街や住居街、そして孤児院や貧困街などにも反応を感じた。
正しく言うなら……王都を囲むように全体的に配置してあるような感じだ。
「まずは回収できそうなところから行くか!」
「では商店街と住居街にお願いします。コロポとビー助は空から見て魔力を感じるところを教えて」
「わかったのじゃ」
コロポはビー助の上に乗ると上空へ飛んでいった。
「よし、俺達も向かうぞ!」
俺はまず商店街に向かった。人通りも多い商店街だからこそ見つかりにくいと俺は思ったのだ。
案の定それは当たっていた。
「すまん、ちょっと通るぞ!」
俺はマルクスに抱えられて商店街を移動していた。
「ケントどっちだ?」
「その角を曲がったところに反応を感じます」
「わかった」
マルクスは勢いよく角を曲がるとそこには小さな露店が開かれていた。
そこには外套を被った少し不気味なおじさんがいた。
「ふへへ、何か買っていくか?」
「おい、ケント……」
「まさかこんなところに売っているとは……」
露店のアクセサリー売り場の中に強制進化の首輪が置いてあった。
「この首輪って買えますか?」
「ふへへ、それはある人からもらった大事なものなんだよ」
「じゃあ売り物――」
「値段次第で売ってあげよう」
まさかの値段交渉で買えるとは思いもしなかった。だが値段交渉できるということは高く売る気なんだろう。
「じゃあ1ゴールドでどうだ?」
「いや……」
「じゃあ10ゴールドはどうだ?」
「いやいや」
「なら……30ゴールド」
「高すぎるわ!」
1ゴールドが日本円で一万円程度にあたるが、30ゴールドだと30万円になる。ここで簡単に出せるマルクスの金銭事情にびっくりだ。
やはり高位ランクの冒険者は稼ぎが違うのだろう。意外にも急に子ども二人を養える人だもんな。
「それでいくらならいいんだ?」
「10――」
「10ゴールドか!」
「だから高いって言ってるだろー! 10シルバーでいいわ!」
10シルバーということは約千円程度だ。普通の首輪でも安い。
「ただこの首輪が触れたらだけどな?」
「わかりました!」
俺は強制進化の首輪を異次元医療鞄に放り投げた。
「本当に触れるのか……」
「どういうことですか?」
「いや、こいつのせいで露店が閉じれなかったんだよ」
どうやら露店の店主は首輪を片付けようとしたら掴めたかったようだ。
「それで誰からこれをもらったんですか?」
「いや、俺にもわからないんだ。突然来て置いていったからな」
話を聞くと突然現れた人に一緒に置いてくれと頼まれて去っていったらしい。
その時は首輪に触れることができたらしいが、突然触れなくなって諦めたところに俺達が現れたらしい。
「じゃあ、約束の10シルバーな」
「毎度ありがとうございます!」
露店の店主はお金を受け取るとすぐに片付けて去っていった。
「よし、次に向かうぞ」
俺達は次の強制進化の首輪の回収に向かうことにした。
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