第220話 進化
「うおおぉぉぉぉい」
馬の速さは俺が思っているよりも想像を超えていた。その速度に体が後ろに持ってかれそうだ。
ちなみにバトルホースを操作しているのはマルクスではなく、コロポとボスだった。
俺はバトルホースに意思を伝えることはできるが、バトルホースの意思を読み取ることができないのだ。
そのかわりにコロポとボスが会話をしている。
そういえばなぜボスは魔物と会話ができるのだろうか。狼であれば狼同士のコミュニケーションはできそうだがバトルホースは完全に他種族だ。
そもそも動物と魔物では異なる存在なのだ。
「なんでボスはバトルホースが言っていることがわかるんだ?」
だから俺はコロポに聞いてみるとコロポは首を傾げていた。
「魔物同士は理性があれば話すことは可能だぞ?」
「ああ、そうなのか」
どうやら魔物同士で共通言語かコミュニケーション方法があるようだ。
ん……?
俺は何かを聞き間違えたようだ。
「魔物同士ってどういうことだ? ボスは狼だよな?」
「いや、この間までは狼だったが今はウルフ系の魔物だぞ」
「うぇ!?」
俺は驚きでバトルホースから落ちそうになった。
「おい、ケント大丈夫か?」
「はい……。マルクスさんはボスが魔物になったことを知っていますか?」
「ん? どういうことだ?」
「コロポが言うにはボスは魔物になったらしいです」
「へっ!?」
普通はこういう反応が正しいと思う。
「動物から魔物になることは可能なのか?」
「あー、稀にそういうことが起きるのじゃ」
コロポの話では動物も人間同様に魔力の器が広がることで動物から魔物に進化することが出来るらしい。
確かに強制進化の首輪はその魔力の器を強制的に広げるものだ。バイオレンスベアーも元々は普通の熊だった。
そう考えればボスが魔物になってもおかしくない。
ただ一般的に魔物に進化する時に理性を失うことが多いため、ボスみたいに理性がしっかりした状態で進化するのは珍しい。
「それにしてもどこで進化したのだろう」
コロポの話では魔力の器を広げないといけないはずだが、ボスは基本的に魔素が多いところにはおらず王都にいた。
「多分ビー助が協力しているはずじゃ。ビー助とボスはいつも一緒にいたからのう」
コロポの一言で俺はすぐに理解した。魔力の容量を増やす物。
それは"魔力蜜"の存在があった。
ビー助がボスに渡していたらそこで魔力の容量を増やすことは可能なはずだ。
「例えばだけど人間が極端に魔力が増えたらどうなるの?」
「んー、それはわしではわからないのう。例えば精霊であれば大精霊になることもできるし、妖精も大妖精になることは可能なのじゃ」
それを聞くだけでカタリーナの強さが既に違う領域にいることがわかる。
それにしてもコロポが大妖精になったらどんな姿になるのだろう……。
小さなおっさんから大きなおっさんに……。
「それはただのおじさんじゃねーかよ!」
「ふぉ! びっくりしたのじゃ」
ついつい言葉に出てしまった。できれば俺はこのままコロポに進化しないで欲しいと願った。
だって大きくなったおっさんと常に移動するなんて俺には無理だからな。
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