第219話 異世界の馬事情
俺達は馬を目の前にして今の状況に戸惑っていた。
「おい、乗せてくれてもいいだろう?」
マルクスが馬に乗ろうとすると馬が反抗するように顔を背けるのだ。
「マルクスさん大丈夫ですか?」
「ああ、馬は自分が気に入ったやつじゃないと乗せないやつもいるからな」
どうやら急に馬に言っても各々性格があるから難しいらしい。御者も必死に説得しているが馬は怒っている。
それにしても異世界の馬はとにかく大きい。色も真っ黒でどちらかと言えば馬よりは別の種類の生き物に近い気がする。
「こやつ馬じゃなくてバトルホースという魔物じゃぞ?」
「えっ? 魔物なの?」
マルクス達が馬と言っていたから、動物の馬だと思っていたがその正体は魔物だった。
「今は君の力が必要なんだ。よかったら手を貸してくれないか?」
俺が声をかけると耳がピクピクとしているが顔は背けたままだった。
流石にこのままではいけないと思い俺は優しくバトルホースを撫でた。
これでも森で生活をしていたから動物には好かれやすいとわかっている。
「ヒヒン? ヒィーン」
俺はスキルを発動させながら撫でるともっと撫でてほしいのか俺に頭を擦り付けていた。
「ははは、ここが良いのか?」
俺は少しだけバトルホースの立髪をモフモフするとバトルホースはその場でしゃがんだ。
「乗って良いのか?」
「ヒィーン!」
どうやらバトルホースは俺を乗せてくれるらしい。それなら問題はない。
「ヒヒヒーン」
「うぉ!? 急に動くからびっくりしたよ」
バトルホースは飛ぶようにパカパカと足を動かして喜んでいた。
そんな様子を見てマルクスは寂しそうな顔でこちらを見ていた。
「俺本当に必要なのか……」
「マルクスさん早く乗ってくださいよ」
「ヒヒン!?」
マルクスがバトルホースに手を触れると驚いた顔をして離れた。
「嫌かもしれないけど俺一人だと弱いから頼むよ。一緒に王都まで連れてってくれないか?」
俺はさっきよりも強めにスキルを発動させてモフモフするとバトルホースはマルクスの顔を見て嫌そうな顔をしていた。
マルクスを嫌う理由はなんだろうか。
「ごめんね」
「ヒヒヒーン」
再びバトルホースはしゃがみ込むと早く乗れよと言わんばかりの顔でマルクスを見ていた。
「すまん」
マルクスがバトルホースに乗るとコロポが話しかけてきた。
「こやつ雄馬だから男が嫌いらしいのじゃ」
「あー、それなら仕方ないな」
「ああ、そうだな」
バトルホースは単純に女好きの馬だった。
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