第2話

 時は少し遡り、ここは、ダサキの森の深層部。一人の男が、息を切らしながら森を走っていた。

「はぁはぁはぁ。聞いてないぞ、あんな奴がいるなんて」

 男は、齢十四といったところだった。

 何故男がこんなところにいるのか。それは、男にもわからなかった。気がついたら、ここに居たのだ。

「くそ、なんでこんなことに.....」

 男は、悩む暇さえも持っていなかった。それほど、切羽詰まった状況なのだ。

「うわっ」

 男は焦るばかりか、木の根につまずいて地に伏せてしまった。

 起きあがろうとするが、腰が抜けて立ち上がれない。後方から、ものすごい殺気がするからだ。男は、恐る恐る後ろを振り向いた。

 そこには、怪物が口を大きく開けた姿があった。

「うわぁぁぁぁぁぁ!!」

 男は、目を瞑った。死を悟り、全てを投げ出した。

 数秒経ったが、男は生きていた。何故だかわからない男は、ゆっくりと目を開けた。目の前には、一人の剣を持った女がいた。

「大丈夫かい?少年。ここは私に任せて、君は逃げたまえ」

「わ、わかりました。ありがとうございます」

 男はそう言うと、走り去ってしまった。街とは、反対の方向に。

 女は、不思議に思いつつも目の前の敵に、集中する。

「まさか、こんなものになるとはね.....」

  目の前の敵は、今までの敵とは全く違うものだった。しかし女は、不適な笑みを浮かべた。その後、爆音が森一帯をこだました。

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