フォルミスティー〜星の守護者〜
@furuhoshi
第一章
第1話
ここは、天の川銀河から遠く離れた銀河にある一つの星。名を『アステリティア・エイピーゾ』と言う。この星には、戦士の力が受け継がれていた。
戦士になるには、『WTEI』を卒業する必要がある。しかし、入学するのがまず難しい。それに加えて、定員は百人となっている。それでも、戦士を志すものは多い。
この街にも一人、戦士を志すものがいた。彼女の名は『イータ・セプテム』と言い『アリヒ』に住む、中学三年生である。
イータは毎週日曜日に、町外れにある森『ダサキ』に住む『カロス・ディダスコ』のもとを訪れていた。カロスは、アリヒを守る戦士であり、イータの先生でもある。
今日は、日曜日。イータは早朝に家を飛び出し、ダサキへ向かっていた。
「すみません、先生はいますか?」
イータは、ダサキにあるカロスの家の前に立っていた。周りは、木々に囲まれており、日の光もあまり差し込んではいなかった。
「やぁ、イータ。朝早くから、精が出るね。さぁ、中に入って」
カロスは、イータを家の中へと迎え入れた。イータは、そそくさと中へ入っていった。
「先生!早くしましょうよ」
今日は、ついに星技を実践する日だ。実践すると言っても、簡単なことではなかった。
星技には、スターエナジーを使う必要があるのだが、まずそれを扱うのが難しい。何故かは分からないが、スターエナジーを感じ取れるようになるのが十五歳からで、それを体内に取り込む器官ができるのも十五歳からだった。
イータは、十五歳になってからそんなに経ってはいない。それなのにも関わらず、戦士であるカロスから、実践訓練を受けられる域までいっている。本来ならば、知識を身につけてからするものだが、イータはそれを全て短期間でやってのけた。それをするだけの理由が、イータにはあった。
イータとカロスは、家の外に出ると開けた場所まで移動した。そこには、自作の訓練道具が沢山置かれていた。
「スターエナジーの感覚は、掴めたかい?」
実践訓練その一は、スターエナジーを感じとること。スターエナジーを感じれなければ、扱うことはできない。これは、基礎をする上で必ず必要となることだ。
「はい、体に触れているものだけなら感じれます」
カロスは、驚いていた。十五歳になってすぐに、ここまで出来るのは、才能と言わざるを得なかった。なかには、十五歳以下でも星技を使えるものがいるらしいが、その理由はわかっておらず、制御も出来ていないらしい。つまり、事実上最速でここまできたと言っても、過言ではない。しかも、星技を使えるものも多くないという。イータは、使えるかも分からなかった星技を学び、実際にやってのけた。まさに、天才だ。
次は、身体強化の訓練だ。これは、星技を使えるものなら、誰でも使える能力だ。
「やり方は教えたけど、もう一度おさらいしておく?」
カロスはイータに、自分の知ることを全て教えた。その中には、身体強化も勿論あった。
「たしか、スターエナジーを体内でめぐらせることで、身体能力を強化するんでしたね」
「正解、よく勉強しているね。それでは、実践してみようか」
聞いてみれば、簡単に聞こえるがそう甘くはいかないのが現実だ。スターエナジーは、何故かは分からないが体内でしか操作することができない。皆は、血液を操れるだろうか?スターエナジーを操るとは、それをするぐらい難しいことなのだ。だが、イータはそんなことも無かったかのように、簡単にやってのけた。
ここまでくると、カロスも驚かなくなっていた。
「すごいね、私が知る限りでは初めてだよ」
一般に、スターエナジーを感じとれるようになるのが、十八歳から。身体強化ができるようにるのが、二十代からと言われている。イータは、それほどの偉業を成し遂げたのだ。
「うわぁぁぁぁぁぁ!!」
「「!?」」
悲鳴が聞こえる。それに伴い、地響きがした。木々が揺れ、葉が宙を舞う。
「何事だ?この森には、強大なエンサルは居ないはずなんだが.....」
エンサルとは、スターエナジーと相反するジャネジーから生まれる怪物だ。エンサルの強さは、元となるジャネジーの量で決まる。ジャネジーの量が多ければ多いほど強くなり、その強さはA〜Eまでランク付けされている。そして、ダサキの森にはランクCまでのエンサルしかいない。しかし、今この森にいるエンサルはランクC以上であることは、二人とも感じ取っていた。
「逃げるんだ、イータ」
「逃げるって、先生は?」
イータは、逃げない。それは、カロスにもわかっていた。だが、いくら天才のイータであっても、敵わない敵もいる。それに、十五歳で身体強化が使えるといえども、少し上をみれば身体強化を使えるものなど、ごまんといる。さらに、イータは星技の固有能力を発現させていない。星技においては、固有能力の有無だけでも倍の戦力差がつくこともある。
「私は、戦いに行く。それが、戦士としての使命であり、私がここにいる理由だからだ」
カロスがこの森に住む理由は、森で生まれたエンサルを倒し、街に被害がいかないようにするためだ。だから、カロスは戦いに行く。たとえ、どれほど強大な敵でも。
「なら、私も.....」
「だめだ!今の君では、敵わない相手だ。いいか?街まで走るんだ。わかったな?」
カロスはそう言うと、悲鳴がした方へと走っていった。
イータは、迷った。街に戻るべきか追うべきか。そして、イータは考えた。彼ならこんな時、どうするかと。その答えは、一瞬で出た。
イータは、カロスを追って走った。たとえ自分が役に立たずとも、見ないふりはできない。だから、イータは忠告を破り森の奥へと進む。
イータの後ろ姿は、数秒で森の陰影に溶け込んでいった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます