第502話

 冒険者ギルドの二階に向かったハルトは丁度空いていた受付へと向かう。


 「おはようございます。あの依頼の報酬は準備出来ていますので案内しますね、ハルトさん。」


 「お願いします。」


 ドラゴン系モンスターの、それも弱いドラゴン系モンスターではないアイシクルドラゴンの素材の納品を行なった報酬を受け取りに向かう。


 「おお、遅かったのう。それでこれが今回の依頼の報酬じゃ。」


 ギルド長室へと案内されたハルトを待っていたのはギルド長だった。そして、ギルド長が金庫の中から大袋を四つ持って来ると、ドサッとテーブルに置いた。


 その際にズッシリとした物が置かれた際に聞こえる音がテーブルに聞こえて来るのだから、この大袋の中に入っているのはかなりの量だろう。


 「本当に苦労したぞい。金貨で報酬支払いなのじゃからな。集めるのが難しいかったのう。」


 もの凄い苦労したと言外に伝える表情と言葉でギルド長が伝えてくるが、大白金貨などで受け取る事になっても使い難くて困るからな。


 「確かに貰いました。」


 置かれた四つの大袋をアイテムボックスに確認せずに収納する。


 「中を確認せずによかったのかのう?」


 「態々ここで小細工なんてしないでしょう?だからですよ。」


 「まあそうじゃのう。お前さんに勝てる者はカイントスには誰もおらんしの。」


 ギルド長は納得してくれた様だ。まあ、ここで何かしらの細工を行なった場合、昨日の威圧スキルよりも強い威圧を放っていた事だろう。


 「それでお前さんはこれからどうするのじゃ?」


 「今日中にカイントスを出るつもりです。」


 「そうか、それは残念じゃのう。上位ランクの冒険者の依頼が溜まっておるから依頼を受けて欲しかったのじゃがのう。」


 本当にこのギルド長は図太い神経をしている人の様だ。昨日、あれだけ威圧スキルで怯えていた様には見えない。


 「じゃあ報酬も貰ったのでもう行きますね。」


 「仕方ないのう。それではいずれまた会えたら。」


 それからハルトは案内してくれた受付嬢に挨拶をしてから冒険者ギルドを後にした。


 冒険者ギルドを出たハルトは冒険者ギルドに備え付けられた厩舎に向かうと、ナビィたちを迎えに行く。


 「お待たせ。じゃあカイントスから出るぞ。ナビィ、最初にたどり着いた町の……何だっけ?」


 「リコプスですよ。」


 「そう!それだ!!そのリコプスに向かうから案内して頼んだ。」


 「分かりました。」


 そしてミルクに騎乗したハルトたちはカイントスの町を出ると、今度はハルトが転生して最初にたどり着いた町であるリコプスを目指して進んで行く。


 もう一つの世界樹の迷宮の攻略を終えた事で、ラマーリャ山脈の様な魔境でもない限り街道を進むことにしたハルトは、騎乗したミルク名乗って雪の積もった街道を駆け抜ける。


 道中で行商人とその行商人を護衛している冒険者パーティーや大規模な行商人たちが集まった団体と遭遇する事もあったが、問題なく通り過ぎていく。


 そうして街道を進んだ先にある村や町に寄り道しながら進んで行き、夏になる前にはリコプス近くにある魔境ゴブリン森林が近くにある町にたどり着いた。


 その町で一泊してからハルトたちは魔境ゴブリン森林へと向かって進んで行く。


 流石に森の中ではミルクの上から降りて移動するが、ヒスイとプルンは久しぶりのゴブリン森林だからと少しはしゃいでいた。


 『ゴブリン発見!!』


 『攻撃だー!!』


 見つけたゴブリンをヒスイとプルンが積極的に倒すから、ハルトたちは何もせずに歩くだけだった。


 途中で水蜜桃やポルゴの実が生えている木々を見つけては懐かしくなりながら、見つけ次第ハルトは採取していく。


 そうしてゆっくりと様々な物を採取しながらゆっくりと進んでいると、この魔境ゴブリン森林の魔力の源泉である泉にハルトたちはたどり着いた。




昨日投稿する事が出来なかったので、今日は二つ投稿しました。

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