第496話

 アイシクルドラゴンの赤ちゃんが眠りに付くと、ハルトたちはこのアイシクルドラゴンの赤ちゃんの名前をどうするのかを話し合う。


 そして決まったのがツララと言う名前にする事が決まり、あとは寝ているアイシクルドラゴンの赤ちゃんに確認すれば決まりだ。


 アイシクルドラゴンの赤ちゃんが目覚めるまで、ハルトはアイシクルドラゴンの赤ちゃんを抱っこしていないといけない。


 その為、アイシクルドラゴンの卵の殻の回収を頼むと、集まったアイシクルドラゴンの卵の殻をアイテムボックスに収納する。


 「起きたみたいだな。」


 「きゅー!」


 スリスリと手のひらに頭を擦り付けてくる仕草から、これはやっぱり鳥みたいに刷り込みが起こっているのだろうか?


 ハルトはアイシクルドラゴンの赤ちゃんの頭を撫でながら、この疑問をナビィに聞くと、稀に起こる現象なのだと言っていた。


 「ハルト、契約してください。」


 「そうだね。」


 胡座をかいているハルトの足の間にすっぽりと収まっているアイシクルドラゴンの赤ちゃんと契約する為に、ハルトはスキル契約を発動する。


 「きゅ?きゅー!きゅー!!」


 「落ち着け、大丈夫だから。」


 アイシクルドラゴンの赤ちゃんにスキル契約を発動すると、スキル契約の光がアイシクルドラゴンの赤ちゃんを包み込んでいく。


 この光は何なのかと暴れているアイシクルドラゴンの赤ちゃんを宥める様に撫でて落ち着かせると、スキル契約の光は効果を発揮したのか光は消えて行った。


 そうしてハルトはアイシクルドラゴンの赤ちゃんとの間に契約間の繋がりを感じると、アイシクルドラゴンの赤ちゃんはジッとハルトの顔を見て来る。


 「これからよろしくな。」


 「きゅー!!」


 尻尾をブンブンと振りながら喜ぶ仕草をするアイシクルドラゴンの赤ちゃんを撫でると、ハルトはみんなで決めたアイシクルドラゴンの赤ちゃんの名付けを行なっていく。


 「これから君の名前はツララだ。嫌なら教えてくれるか?」


 「きゅーきゅ!」


 何を言っているのか分からないが、ナビィがアイシクルドラゴンの赤ちゃんの言葉を翻訳してくれる。


 「嫌じゃないそうですよ。」


 「そうか。なら、これからお前はツララだ。よろしくなツララ。」


 「きゅ!」


 アイシクルドラゴンの赤ちゃんの名付けが終わると、ハルトはナビィやヒスイたち従魔をアイシクルドラゴンの赤ちゃんに紹介して行った。


 「まずは俺からだな。俺はハルトだ。」


 「きゅきゅー!」


 「私はナビィです。よろしくしますね、ツララ。」


 「きゅー!」


 『ヒスイだよ!よろしくね!!』


 「きゅ!」


 『ぼくはープルンだよー!これからー、よろしくねー!!』


 「きゅ!」


 『私の番だねぇ。私はコッコロ、よろしくねぇ。』


 「きゅう!」


 『僕の名前はミルク。これからよろしくモー!』


 「きゅう!」


 全員がツララに自己紹介すると、ガシッとハルトにくっ付いていたツララは、ほんの少しの間で小さな翼をパタパタさせて、今度はナビィの元へと向かって飛んでいく。


 「氷属性のドラゴンだからか、冷たいですね。」


 「きゅ!」


 みんなの間を行ったり来たりするツララを可愛がりながら、ハルトたちは当分の間は魔力の源泉であるこのアイシクルドラゴンの寝床で過ごすことになった。


 それからハルトたちはアイシクルドラゴンの寝床で過ごしながら、代わる代わるツララの食事である氷属性魔力を用意するなか、ツララはよくハルトの氷属性魔力を欲しがる様になる。


 「やっぱり魔力自体に好みがあるのか?」


 「そうなのでしょうね。それとハルトが好かれているからと言うのもありますよ。きっと。」


 「それもあるのか。それでどうする。このままここにいる訳じゃ行けないし。ツララも戦闘訓練くらいした方が良いのか?」


 「普通は生後半年くらいは戦闘をしませんが、良質な魔力を食べているツララなら戦闘訓練をしても構わないでしょう。」


 それから一週間の間、ハルトたちはツララに戦闘訓練を行なうと、アイシクルドラゴンの寝床から出てラマーリャ山脈の移動を開始するのだった。

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