第490話

 雪崩が起こった影響で雪山に積もっていた雪の大半が雪山の麓へと向かい、雪山は地肌を剥き出しにしていた。


 「それにしても凄い音だな。」


 『うん!凄いよね!ドバーンだよ!』


 『あれってー!僕がー起こしちゃったんだねー!ズーンドーン!!』


 凄まじい音を立てながら集まって来ていたモンスターやモンスターの亡骸を雪崩が押し流していく様子を見て、ヒスイとプルンは興奮して結界の足場をピョンピョンと跳ねている。


 『巻き込まれなくて良かったわぁ。』


 『雪崩に流されたら絶対痛かったモー。』


 「私たちなら雪崩に巻き込まれても死にはしないでしょうからね。」


 コッコロやミルクは雪崩を面倒ごとだと判断している様で、雪崩の様子を見て嫌そうな表情していた。


 雪崩が収まるまでの間、辺りの警戒をしながらアイシクルドラゴンが動くかを確認していると、アイシクルドラゴンは雪崩が起こっている雪山のある方向を一瞥してからまた眠りに付いていた。


 「本当にアイシクルドラゴンは眠ってばかりだな。」


 「今日は太陽が出ていますからね。日向ぼっこしているのでしょう。それよりも雪崩が起こった雪山を見てください。」


 「雪山に何かあるのか?」


 ナビィに言われてハルトたちは雪山を一斉に見る。すると、雪山の地肌には積もっていた雪に隠された洞窟が幾つもあった。


 「穴が空いてるな。」


 「モンスターの棲家に利用されているでしょうが、ああ言う場所になら雪の影響が少ないので珍しい素材があるかも知れません。」


 洞窟の中なら雪が積もる影響はないから確かに何か素材になる物があっても可笑しくはないな。


 ハルトは全員に洞窟の中に入るかどうかを聞くと、満場一致で洞窟の中に入ることになった。


 そして雪崩が収まってから適当な洞窟を選んで、その洞窟の中に足を踏み入れ入っていく。


 「早速モンスターだな。みんな、洞窟内に影響がある攻撃は厳禁だぞ。流石に崩落したら危険過ぎる。」


 『『『『はい!』』』』


 洞窟の入り口に向かって移動して来るモンスターを待ち構えていると、飛んで来ているモンスターはアイスケイブバットが飛んでくる。


 寒さに高い耐性を持っている夜中や吹雪の中を飛んで移動するモンスターであるアイスケイブバットを、ハルトたちは迎撃していく。


 「数が多いな。」


 「ここはアイスケイブバットの棲家の一つだったのでしょう。共生関係のモンスターも居ませんし、このアイスケイブバットの群れを倒し終われば、あとは探索だけです。」


 「それは良いことを聞いたな。みんな、このまま数を減らして行くぞ!」


 洞窟の壁や天井を破壊しない様に世界樹の棒を器用に攻撃の度に変化させながら、ハルトはアイスケイブバットを攻撃していく。


 そしてアイスケイブバットの数が半分以上減った時、サイズの大きなアイスケイブバットがこちらへと向かってくる。


 「あのアイスケイブバットはデカいな。他のモンスターなのか?」


 「いえ、アイスケイブバットです。ただ大きく成長した個体なのでしょう。他のアイスケイブバットよりは強いはずですが、簡単に倒せるモンスターです。」


 大きさ以外は他のアイスケイブバットと同じくらいのスピードで飛行している事からも強いモンスターなのだろうが、そんな大きなアイスケイブバットはヒスイの触手による刺突で殺され地面に落下する。


 他のアイスケイブバットもプルンの剣による斬撃や、コッコロの翼や足の装備から繰り出される斬撃に、ミルクの周囲の洞窟の壁や天井から生える石の杭による串刺しで、洞窟の奥から飛んでくるアイスケイブバットはどんどんと倒されて行った。


 「これで最後か?」


 「洞窟の奥にはまだ居ても可笑しくはないですが、とりあえず向かって来ていたアイスケイブバットは最後ですね。」


 そうしてハルトたちはアイスケイブバットの群れを倒し終わると、大きなアイスケイブバットと比較的綺麗に倒しているアイスケイブバットのみをアイテムボックスに収納した。

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