第488話
コッコロの卵爆弾を受けて爆散したブリザードワイバーンたちの肉片はすぐに凍結したが、それでも鼻の良いモンスターに取っては嗅ぎ取れる様で、こちらに向かって来るモンスターを感知系スキルが感じ取る。
「いろんな方向から来ているな。」
集まって来るモンスターの数は五十匹以上は居るのが分かり、流石にこれほどの数が集まると戦闘も激しくなってしまうだろう。
若干コッコロに任せたのは失敗だったかと思ってしまう。
「まあ良いか。集まってくるモンスターを倒して行くぞ。ナビィ、綺麗に倒した方が良いモンスターは発見したらすぐにみんなに伝えてくれ。」
「分かりました。私は戦闘に参加せずにモンスターの見極めをします。」
「任せた。みんな、集まってきたら交代交代で倒して行くぞ。最初はヒスイからだ。」
『ヒスイの番だね!分かったよ!!』
ピョンピョンと跳ねて攻撃が行ないやすい位置を探して移動すると、ヒスイは良い位置を発見したのか、そこで止まり魔力を隠蔽しながら魔力を高め始めた。
随分と器用な事をしているヒスイを真似して、ハルトたちもモンスターに発見されない様に隠蔽系スキルで隠れ始める。
そうして隠れながら見ていると、ようやくモンスターが団体でやって来るのが見えた。
一つ目はスノーウルフやポーラーウルフの群れだが、一匹だけ大きく角が生えた狼系のモンスターが居る。二つ目は雪に隠れられる様な真っ白な熊のモンスターであるポーラーベアーの親子だ。三つ目はアイスコンドルが上空からやって来ている。今のところ集まっているモンスターはこんなところだ。
「ヒスイ、ホーンブリザードウルフはあまり傷付けない様にしてください。」
『あの角が生えた狼?』
「そうです。一番大きな角の生えた狼がホーンブリザードウルフです。」
『分かった!あれだけ綺麗に倒すね!』
ヒスイは高めた質の良い魔力を使用して集まって来ているモンスターの群れに攻撃を仕掛けた。
この冷気にただの水魔法では凍結してしまう為、ヒスイは水魔法単体で使用せずに幾つかの魔法を混ぜた水の弾丸をそれぞれのモンスターの頭部に放つ。
勢いよく空気を切り裂きながら進む水の弾丸に血の臭いに惹かれて集まって来ていたモンスターの中でも高位のモンスターは、ヒスイの放ったそれに気が付いて回避行動を取った。
だが、ヒスイの放った水の弾丸は途中まで隠蔽も掛けられており、そのせいで気付いてすぐに回避行動を取っても完全に躱す事は出来ていなかった。
ホーンブリザードウルフ以外のモンスターはヒスイの最初の攻撃で重傷か即死していて、追撃にもう一度放たれた水の弾丸でトドメを刺されていく。
「ポーラーベアーも子供を庇わなければ、ヒスイの攻撃をどうにかする事が出来たでしょうに。」
「それは親子だからだろうな。それにしてもホーンブリザードウルフは二回目も躱したぞ。」
二回目の攻撃でホーンブリザードウルフ以外のモンスターは立っている物は居らず、大体のモンスターは死んでいる。
そしてヒスイの三回目の攻撃の前に、ホーンブリザードウルフは逃走し始めた。
背を向けて逃げ出したホーンブリザードウルフに向かって放たれたのは、先ほどまでの水の弾丸ではなくて、更に形を細くした水の弾丸がホーンブリザードウルフの頭部を狙って放たれる。
先ほどまでの水の弾丸よりも威力が下がってしまうが、より隠蔽性能が上がって速度を増す様な形になった水の弾丸がホーンブリザードウルフの頭部に突き刺さった。
形を変えた水の弾丸が命中して頭蓋骨を貫通しそうになるが、威力を落としたせいで貫通する事はなかった。
だが、ホーンブリザードウルフはこの一撃で、少しの間だけ身体の動きが止まってしまい、そこをもう一度ヒスイが水の弾丸を放ってホーンブリザードウルフは倒された。
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