第487話
あれからハルトたちは幾つかの雪山を登っては降りてを繰り返しながらラマーリャ山脈を進んで行き、ラマーリャ山脈の奥地まで来ていた。
「だいぶモンスターの強さも強くなって来たな。」
「魔力の源泉が近くなったからですね。あそこの低い山の山頂付近が、このラマーリャ山脈の源泉ですよ。」
「あそこか。」
まだ距離があるが、ナビィが指差した標高の低い山には五十メートルサイズのドラゴンが横になって眠っている様だった。
「なかなか強そうなドラゴンだよな。百レベル超えているんじゃないか?」
「超えていますよ。アイシクルドラゴン、レベル123のドラゴン系モンスターです。まあそれでも対策しないでもハルトたちなら一対一でも勝てるモンスターです。」
「一対一でも勝てるのか。でも戦うのなら素材のことも考えないといけないからな。一匹しか居ないみたいだし。」
「そうですね。ドラゴン系モンスターの素材は貴重ですから。」
雪山の頂上でハルトたちは遠くの方に見えるアイシクルドラゴンを見ながら、どんな風に戦うかを話し合っていると、晴天の雪山の山頂という姿がバレやすいせいでハルトたちはあるモンスターに襲われる事になる。
「はぁ、またブリザードワイバーンか。」
「源泉に近い魔力の濃い場所ですからね。それにしてもやはり世界樹の木の活性化のせいで新しく生まれたのでしょうね。」
「これ、世界中の世界樹の木を活性化させたら、大変な事になるんじゃないか?」
全ての世界樹の迷宮を攻略して頂上にたどり着けば、世界各地の魔境でスタンピードが起こりそうな気がする。
「星全体の魔力が活性化するという事ですからね。人類としては大変でしょうが、星に取っては良いことですよ。それより誰がブラザードワイバーンと戦いますか?」
「そうだな……ブリザードワイバーンもかなり倒してアイテムボックスの中に入ってるし、ここはコッコロに任せるか。アイシクルドラゴンの時は素材を傷付けない様にする為に卵爆弾は使わせないし。」
『折角あんな大きなドラゴンを爆破出来ると思ったのにぃ。まあ、良いわぁ。ブリザードワイバーンは爆破しても構わないのよねぇ?』
「ああ、構わないぞ。どんな倒し方をしてもな。」
『くふ!くふふふふ!!!それなら肉片になるくらいの爆発を見せて上げるわねぇ!!』
コッコロは卵爆弾の用意をすると、生成した三つの卵爆弾を魔法も使用してブリザードワイバーンたちに向かって投擲を行なった。
風の通り道を魔法で作り出しながら投擲された卵爆弾は、勢いよくブリザードワイバーンへと向かって飛んでいく。
三つの卵爆弾はそれぞれ三匹のブリザードワイバーンへと一つずつ命中すると、爆発音はブリザードワイバーンを包む風で少量しか音が届かなかったが、ハルトたちのところまで爆風や衝撃が届いた。
そしてコッコロの卵爆弾を受けたブリザードワイバーンたちがどうなったのかと言うと、鱗や皮に肉が粉々になるほど威力を発揮して辺りに飛び散っており、ブリザードワイバーンだった物が空中から地上に降り注いでいく。
『どうかしらぁ?工夫して爆発音をさせない様にしようと思ったのだけどぉ?』
「良かったぞ。あとは完全に音を遮るのと衝撃や爆風への対処だな。」
「コッコロの場合は卵爆弾の威力の上げ過ぎが原因だと思いますよ。ブリザードワイバーンを倒すのにそこまでの威力は必要ありませんし、ブリザードワイバーンを倒す程度の威力なら問題なく音も衝撃も爆風も抑える事が可能なはずですからね。」
ナビィにそう言われると、コッコロも分かっていたのか顔を背けていた。
食べる事と爆発が好きなコッコロに取っては、これでも爆発関係は色々と抑えているのだろうから、ハルトからはとやかく言うのは止める事にした。
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