第486話
急勾配の崖にある採掘ポイントでかなりな量の鉱石の採取を終わらせると、ハルトは念話を使用して辺りを駆け回ってモンスターをたおしていたヒスイたち従魔を呼び戻すと、ラマーリャ山脈の雪山を移動し始める。
幾つかの魔法を同時に発動してどんなルートで雪山の登山を行なうかを決めながら、ハルトたちは魔法で発見した移動可能なルートを進んで行く。
急勾配の崖を駆け下りて奇襲しようとする山羊の形をした氷像のモンスター。フローズンゴートの群れがハルトたちを襲ってくる。
感知範囲に入っていたが、この急勾配の崖を駆け下りて来るとは思っていなかったせいで、この奇襲に対応するのにほんの少しだけ時間が掛かってしまったが、ハルトたちは全員で攻撃を仕掛けようとしたその時、ナビィから警告が入った。
「強い攻撃は雪崩を起こす危険があります!最低威力でフローズンゴートのみを攻撃して倒してください!!」
「雪崩!!みんな聞いたな!攻撃はフローズンゴートのみに絞って倒すんだ!!」
ナビィから出された警告を聞いて、ハルトたちはフローズンゴートのみを倒す為に狙って攻撃を行なっていく。
急勾配だから雪がそれほど積もっていない崖を駆け下りるフローズンゴートを狙って、ハルトは世界樹の棒の先端に生成した拳大の石礫を高速で射出する。
石礫が空気にぶつかった破裂音を鳴らしながら、石礫はフローズンゴートの頭部を破壊していく。
ヒスイたちもハルトに続く様にフローズンゴートを倒して行き、フローズンゴートの群れは倒されると崖を転がり落ちる。
その転がり落ちるフローズンゴートたちにより、急勾配に積もった雪や崖の脆くなった部分から壊れて落ちる石の欠片がフローズンゴートと一緒に滑落していく。
このままフローズンゴートたちが滑落して行くと、その規模が大きくなって小規模の雪崩が起き兼ねない。
それを防ぐためにフローズンゴートの群れの討伐に参加しなかったナビィの操るゴーレムが魔法を発動する。
発動された魔法は滑落して行くフローズンゴートや石の欠片に雪の一部を浮遊させてると、浮遊させた物がゆっくりとハルトたちのすぐ側に置かれて行った。
「助かった、ナビィ。あのままだと雪崩が起きたんだろう?」
「その可能性が高いです。積もった雪だからならまだしも、崖自体が崩れ始めるとは思っていませんでしたからね。」
そして、滑落しそうな全ての物を浮遊させてハルトたちの近くに置かれた場所から、フローズンゴートをアイテムボックスに収納して回収していると、ヒスイが何かを持ってやって来た。
『ねえ、見て!綺麗なの!見つけたよ!!』
そうしてヒスイが持って来た物を見せて貰うと、キラキラとしている氷の結晶の様な石を見せてくれた。
「本当だ。確かに綺麗だな。ナビィ、これが何か分かるか?」
「どれですか?む、これは珍しい物を見つけましたね。それは氷結晶ですよ。氷が水晶の様に固まって魔力と反応する事で鉱石となった物です。」
それから氷結晶の使い道をナビィから聞くと、この氷結晶は魔道具だけじゃなくて武器や防具にアクセサリーなど用途は様々だと教えられる。
氷結晶が作られた過程を聞いて、氷の様に溶けないのかとナビィに聞くと、どうやら高い高温に晒されない限りは大丈夫なのだと言う。
そんな珍しい氷結晶をヒスイから受け取ると、ハルトはアイテムボックスに収納して、すぐに他にも氷結晶や鉱石などの採取物があるのではないかと、フローズンゴートを収納しながら探して行くことになった。
集まっている雪や崖から落ちた石の欠片をハルトたちは探した結果、氷結晶は三つ発見し、それ以外にも幾つかの鉱石などの素材を発見する事が出来ると、ハルトたちは再びラマーリャ山脈の雪山を登って行くのだった。
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