第482話
深々と雪が降る中をハルトたちは降り積もった雪を踏み締めながら山を登って行く。
「これ歩くのしんどいな。ナビィ、魔法を使っちゃ駄目なのか?」
「下手に雪を溶かしたりして進むと雪崩の原因になりますから。ですので、歩き辛くても徒歩での移動ですね。どうしてもと言うのならミルクに全員で騎乗しての移動です。」
膝上まで降り積もる雪の中を移動するのはかなり大変だが、理由も理由な事もあり、魔法を使って歩きやすくするのは駄目な様だ。
それに全員でミルクに騎乗して移動するのなら、戦闘は一人ずつで行なう事も難しくなるし、それはみんな嫌だろうから、仕方なく歩いてラマーリャ山脈の山をハルトは登って行く。
「それにしても元気だな。ヒスイとプルンは。」
『楽しいもん!ね、プルン!』
『うん!楽しいよー!ハルトお兄ちゃんもー、雪の中に踏まれてみたらー!』
「それは雪が服の中に入るから止めておくよ。」
ヒスイとプルンはピョンピョンと跳ねたり、雪の中に埋もれながら移動したりして楽しそうに移動していた。
そんな二匹の様子とは裏腹にコッコロは羽毛に雪が付くのが嫌な様で、周囲の環境に影響が出ない様にしながら、全身を火魔法で雪が付着する前に溶かして溶けた水を蒸発させて空を飛んで移動するが、ミルクは俺と同じ様に膝上まである雪の中の移動に苦戦していた。
そうして苦労しながらハルトたちは移動していると、モンスターをハルトたちの感知系スキルが発見する。
発見したモンスターの群れの方を見ると、積もっている雪の上には何も居ないが、モンスターが雪の中を移動した結果、移動する度に雪が盛り上がっていくのが確認出来た。
「雪の中を移動しているな。ヒスイ、相手は雪の中を移動しているからな。戦う時は気を付けろよ。」
『はーい!』
ヒスイだけで雪の中を掘り進めて移動して来るモンスターの対処を任せたハルトは、自身の周りに集まる様にヒスイ以外の従魔たちに指示を出すと、ヒスイの戦闘をヒスイ以外の全員で観戦する。
ピョンピョンと跳ねて雪の中を移動しているモンスターの群れへとヒスイは接近すると、一際大きく飛び跳ねて、空中から下側で未だに雪の中を移動しているモンスターの群れへと触手を勢いよく伸ばしてモンスターを見えない状況だが突き刺した。
ヒスイが雪の上に着地したと同時に、逆にヒスイが突き刺したモンスターの群れを雪の中から取り出して、どんなモンスターだったのかを確認している様だ。
「ナビィ、あのモンスターは?」
「あれは雪掘モグラですね。雪の中や土の中を移動するモグラのモンスターです。鋭い爪の攻撃は魔鋼の防具すらも切り裂きますよ。」
ヒスイが持ち上げた雪掘モグラの情報をナビィからハルトたちは聞きながらヒスイの元まで移動する。
雪掘モグラの身体から滴り落ちる真っ赤な血液が雪を赤く染めていく。
身体を串刺しにされていても、まだ生きている雪掘モグラだけを空中に放り投げると、ヒスイはトドメを刺す為に今度は触手を急所に突き刺してトドメを刺した。
雪掘モグラの群れを自身のアイテムボックスに収納すると、ヒスイもハルトたちに合流するために移動して来た。
それからヒスイにも先ほどナビィから聞いた雪掘モグラの情報を伝えながら、ハルトたちは雪が降る雪山を登って移動して行く。
だが、雪掘モグラの群れとの戦闘後、それほど時間が経つ前にまたモンスターからの襲撃をハルトたちは受けることになる。
「あれはユキヒョウですね。群れで行動しない為、ラマーリャ山脈内ではそこそこの強さですよ。頑張ってください、プルン。」
『頑張ってくるよー!』
今度は順番通りにプルンがアイテムボックスから剣を取り出しながら、ユキヒョウの元へと向かって行った。
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