第481話

 頭と胴体が離れているホワイトオウルをアイテムボックスに収納したプルンが戻って来ると、ハルトたちは移動を再開する。


 ヒスイ、プルンと順番に従魔たちが遭遇したモンスターを倒しながら進んで行き、コッコロとミルクの時はスノーウルフとポーラーウルフの群れを相手にしていた。


 そして、ナビィの番になった時に新しいモンスターと遭遇する。


 「私の相手は樹氷トレントの様ですね。では、いってきます。」


 ガイアドラゴンと世界樹の木の素材で作られた大きな斧を、ナビィは軽々と扱いながら樹氷トレントへと歩みを進めて行く。


 自身に迫るナビィの様子を確認した樹氷トレントは、樹氷への擬態が気付かれてある事に気気付かれていると判断したのか、樹氷トレントは姿を表してナビィへと尖って細長い氷柱を何本も魔法を使って飛ばして来た。


 勢いもありBランク以下の冒険者なら躱す事も防ぐ事も出来ない威力とスピードの氷柱を、ナビィは斧を一振りするだけで破壊してしまう。


 氷柱を破壊したナビィはそれでも樹氷トレントへと走らずに歩いて距離を詰めて行くが、そんなナビィに樹氷トレントが氷魔法や自身の木の根を使って攻撃を仕掛ける。


 同じ様に氷柱を斧で破壊し、足元から突き出された木の根を踏み砕いて、ナビィは樹氷トレントへと歩いて行く。


 ナビィが樹氷トレントとの距離を詰めると、樹氷トレントの攻撃方法に枝の振り下ろしや突き刺しが追加されるが、それすらもナビィが斧を振るうだけで破壊する。


 そして、樹氷トレントの木の幹の近くまで接近したナビィは、大きな斧を振りかぶると一撃で樹氷トレントを両断して切り落とした。


 両断された樹氷トレントが雪の積もる地面へと倒れそうになった瞬間に、ナビィは即座に両断された目の前の樹氷トレントの上側をアイテムボックスに収納する。


 「終わりましたよ。こっちに来ても大丈夫です!」


 「分かった!みんな、行くぞ。」


 ハルトたちはナビィが切り株をアイテムボックスに収納するまでの間に、ナビィとハルトたちは合流して樹氷の森を進み続ける。


 「雪が降って来始めたな。」


 「山脈に近付いて来ていますからね。今度はハルトの番です。相手はスノーマンの様です。」


 ハルトたちが向かう方向から向かって来ている筋肉ムキムキの腕と足を持つ雪だるまをハルトたちは見据える。


 「じゃあ行って来る。」


 世界樹の棒を魔力を注ぎながらスノーマンの群れへと、ハルトは駆け出して行った。


 接近したハルトに向かって、スノーマンは武器は持たずに筋肉ムキムキの腕や足から繰り出される拳や蹴りを使用してくる。


 スノーマンの動きを観察しながら、ハルトは世界樹の棒をスノーマンの特に魔力が集まっている場所へと向かって突き出した。


 スノーマンの一番上の丸い雪の中央に世界樹の棒が突き刺さり貫通すると、スノーマンはピタリと身体の動きを止めて動かなくなる。


 「そこが弱点だな。なら他のところを攻撃するとどうなるんだ?」


 スノーマンの腕や足をすれ違い様に破壊すると、まだ手足がなくても身動きをして動いているスノーマンを放置してハルトは次のスノーマンを攻撃しに向かう。


 そうしてスノーマンを次々に破壊して倒したハルトは、手足の四肢を全てなくしたスノーマンへと向かうが、どうやらスノーマンには回復や魔法を使うことが出来ないと分かった。


 そんなスノーマンにトドメを刺したハルトは、ハルトの戦いを観戦していたヒスイたちを呼んでから、倒したスノーマンたちをアイテムボックスに収納して行った。


 それからも遭遇するモンスターを倒して行き、極寒の環境にある珍しい素材の採取を行ないながら、それから二日掛けてハルトたちは樹氷の森を突破した。


 草原から始まって樹氷の森を抜けた魔境のラマーリャ山脈の探索は、いよいよ雪が降り続ける極寒の山へとハルトたちは踏み入れる。

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