第467話

 クロームの町に入ったハルトたちは真っ直ぐに冒険者ギルドへと向かった。


 冒険者ギルドにたどり着くと、従魔たちを送還してから、ハルトとナビィは冒険者ギルドの中にはいる。


 クロームの冒険者ギルドは近くに大きな魔境ラマーリャ山脈があり、スタンピードもよく起きるからか、冒険者ギルド自体が堅牢な作りになっており、二階にAランク冒険者の受け付けがある様だ。


 容姿が良いナビィを連れているからか、冒険者ギルドにスタンピード対策の為に待機していると思われる冒険者たちの視線を感じながら、ハルトとナビィは二階の階段を上がって行く。


 「王都のギルド長からの依頼でスタンピードの対処に来たハルトです。ギルド長に会う事は可能ですか?」


 Aランク冒険者の受け付けに真っ直ぐに向かったハルトは、自身のアイテムボックスからギルドカードと今回の依頼書の二つを取り出して受付嬢に渡す。


 「確認しますね……分かりました。ギルド長に会う許可を取って来ます。」


 「お願いします。」


 頭を下げた受付嬢がギルド長に会う為の許可を取りに向かうのを見送ると、ハルトたちは受け付けで待つ事になる。


 その間にスタンピード対策の為に待機していると思われるAランクかBランクの冒険者が話し掛けて来た。


 「アンタらが王都からの援軍か?」


 「そうだよ。王都のギルド長から依頼を受けたよ。」


 「援軍は二人だけなのか?」


 「そこら辺は聞いてないから分からない。でも俺たち以外も来ているんじゃないのか?スタンピードの兆候だってあったんだから。」


 ハルトが言うと、聞いて来た冒険者は顔を顰めていた。その表情からして他のギルドからの援軍の人数は少ないのかも知れない。


 冒険者が他にも質問をしようとしていたタイミングで、ギルド長に許可を取りに向かった受付嬢が戻って来た。


 「ギルド長からの許可を得ました。すぐに会うそうですので来てください!」


 「分かりました。」


 質問して来た冒険者と別れると、ハルトたちは受付嬢の後を付いてギルド長室へと向かった。


 そうしてギルド長室に案内されて中に入ると、ギルド長がハルトたちを待っていた。


 クロームのギルド長は男のギルド長なのだと思っていると、お互いに自己紹介をする事になる。


 「俺はクロームのギルド長のマツーダ。これからよろしく頼む。」


 「俺はハルト。こっちはゴーレムのナビィ。こちらこそ、よろしくお願いします。」


 ナビィがゴーレムだと言う事にはギルド長のマツーダも驚いていたが、それよりも重要なスタンピードの話が始まった。


 そうしてギルド長のマツーダから今回のスタンピードに対する冒険者や兵士、騎士がどれだけ居るのかや、スタンピードが起きた時の行動などの話をしていく事になる。


 「そうか、追加で王都からの援軍が来るかは知らないのか。」


 「すいませんが聞いていません。例年のスタンピードが起こる時にはどれだけ来ていたんですか?」


 「他のギルドからは今の倍ほどだな。今年は特に少ないが、それでも元々クロームに居る冒険者も多い。なんとかなるとは思うぞ。」


 「そうですか。」


 援軍関係の話が終わると、次はスタンピードの時にどうするのかの話になる。


 まず、クロームの町にスタンピードのモンスターたちが押し寄せて来た場合は魔法や遠距離攻撃で接近して来るモンスターたちを攻撃するらしい。


 そうして遠距離攻撃でモンスターの数を減らしてから、クロームの町に接近される前に広い草原で迎え撃つそうだ。


 それでもスタンピードのモンスターを倒し切れない場合は、クロームの町まで後退して城壁から遠距離攻撃を行ない撤退し、それからは籠城しながらモンスターを倒していく。


 その際には町に侵入されない様に空を飛ぶモンスターから優先して倒すそうで、クロームの町では一ヶ月は籠城しても充分な食料があるそうで、籠城しながら他の町や王都から援軍を待って長い期間戦っていくらしい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る