第466話
ガンナが依頼書の作成を行なっている間に、ハルトはナビィと魔境ラマーリャ山脈の情報を資料を見ながら相談していく。
やはり資料に書かれているスタンピードで現れるモンスターの種類と、ナビィが知っているラマーリャ山脈のモンスターの情報に違いが出て来た。
どうやらスタンピードで魔境の外に出て来るモンスターは、ラマーリャ山脈の中でも比較的弱いモンスターばかりで、ブリザードワイバーンの様な高ランクモンスターはラマーリャ山脈の奥地に本来なら生息するモンスターの様だ。
そうして環境の話を念話でナビィと話している時、依頼書の作成を終えたガンナが話し掛ける。
「これが今回の依頼の依頼書だ。」
「はい。」
依頼書を受け取り内容を確認していく。どうやら依頼内容はスタンピードの収束までクロームの町に待機すると言う依頼だ。
「この場で手続きも行なうからギルドカードを渡してくれ。」
「分かりました。」
アイテムボックスから冒険者ギルドのギルドカードを取り出して、ギルド長のガンナに依頼書と一緒に手渡した。
今回の依頼の手続きを終わらせると、これでハルトはスタンピードの依頼を受けるのだった。
それからハルトは読んでいた資料をガンナに返すと、ギルド長室を出て、冒険者ギルドを後にする。
冒険者ギルドを後にしたハルトは一度宿屋に帰ると、ナビィと連れ歩けるサイズのヒスイとプルンを連れて王都の散策を行なった。
流石はドワーフの国といえるのか、様々な武器屋や防具屋で売られている物は高品質な物ばかりだ。
品質が高くても、それでも今のハルトが作成する武器や防具よりも良い装備は一つも置いてはいない。
その売られている物を見て生産スキルも一流を超えるほどに育ったんだと納得できた。
他にも魔道具が売られている店なども回りながら宿屋に戻り、この日は身体を休ませる。
そして翌日、朝早くからハルトたちは王都を出て、ラマーリャ山脈のスタンピードで一番被害の受ける町クロームへと旅だった。
障害物のない空中を移動するハルトたち。そんなハルトたち一行がクロームの町にたどり着いたのは四日後で、空高くからクロームの町を見渡してまだスタンピードは起きていない事を知る。
「まだスタンピードは起きてなかったみたいだな。」
「間に合ってよかったですね。」
「そうだな。」
空中を走っていたミルクに地表に戻る様に指示を出すと、結界の足場を降って、ミルクは地面の上に降り立った。
そうしてミルクを走らせてクロームの町の門へと街道を走らせると、門付近はスタンピード対策の為か、かなり物騒になっていた。
「あれは門を守る為の仕掛けなのでしょうね。」
金属製の大きな棘が付けられたバリケードを見ながら、走らせていたミルクを歩きに変えて門に向かう。
「そこで止まれ!!」
「ミルク。」
『分かったモー。』
ゆっくりとミルクが停止すると、ハルトはミルクの上から降りてクロームの町を守る門兵が来るのを待つ。
「冒険者なんだろうが、今のクロームに身体の大きなモンスターは入れられない。」
「このくらいのサイズなら大丈夫ですよね。」
ナビィに手を差し出してミルクの上から降りてもらうと、ハルトはミルクに身体を小さくしてもらった。
「あ、ああ、そのサイズなら大丈夫だ。ギルドカードを見せてくれないか?」
「分かった。」
アイテムボックスからギルドカードを取り出して門兵に見せる。すると、Aランク冒険者のギルドカードな事に驚いていた。
「Aランク冒険者の方でしたか!来てくれて本当にありがとうございます!!」
「こっちも依頼だから気にしなくて良い。それよりもスタンピードはどんな感じなんだ?」
「それは私よりも冒険者ギルドで聞いた方が良いかと思います。」
「そうか。なら、そっちで聞こう。」
それからクロームの町の冒険者ギルドの場所を聞いたハルトは、クロームの町に入って行った。
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