第468話

 ギルド長のマツーダから様々な情報を教えて貰ったハルトたちは、従魔も泊まれる宿屋をマツーダから紹介されて、この日は紹介された宿屋に泊まった。


 それから一週間の間、いつスタンピードが起きても可笑しくないからと、ハルトたちはクロームの町で待機する様に命令が出されて待機する。


 その一週間の間はクロームの町の散策をしたり、クロームを拠点にしている冒険者や受付嬢から聞いたオススメの飲食店などを回ったりしながら過ごしていた。


 そうした一週間をハルトたちが過ごしている間に、スタンピードの偵察に向かった複数の冒険者パーティーがクロームの町に戻って来た。


 すると、スタンピードで押し寄せてくるモンスターの群れがいつ頃に来るのかなどの話が冒険者たちの間で話される様になる。


 「招集か。スタンピードがいつ頃起こるのか分かったのか?」


 「そうでしょう。初めてのスタンピードが大規模なモンスターの群れですが、大丈夫ですか?」


 「ガイアドラゴンと戦うよりも苦戦するか?」


 「しませんね。問題があるとすれば気温ですが、それもここ数日の間でヒスイたちも含めて慣れて来ている様ですし、問題はないでしょう。」


 そうして冒険者ギルドの一室に招集されたハルトは、ナビィと宿屋の部屋で別れると、一人で冒険者ギルドへと向かった。


 冒険者ギルドの中に入ると、この一週間の間でハルトがAランク冒険者だという事は知られており、絡んでくる冒険者は一人も居ない。


 そんな冒険者ギルドの二階に上がり、受け付けで招集された冒険者は何処に行けば良いのかを聞いたハルトは、教えられた部屋に向かって行った。


 そうして多くの招集された高ランク冒険者たちが集まる事になる部屋に入ると、既に何人か部屋で待っている状況だった。


 ここ一週間の間で知り合った冒険者もおり、ハルトはその冒険者たちに挨拶してから他の冒険者たちと交流しながら過ごしていると、団体で冒険者たちが入ってきた。


 初めて見る姿に話をしていた冒険から聞くと、その集団はクロームで一番大きなクランの様で、クラン名は氷結の牙、今回のスタンピードの偵察に向かった冒険者たちらしい。


 そうしてこのクラン氷結の牙の冒険者たちが最後の様で、その後ろから入って来たギルド長のマツーダが席に座ると、スタンピード対策会議が始まった。


 今回の偵察で分かったスタンピードの概要を話す前に、それぞれの自己紹介と何が出来るのかを話す事になる。


 そこで今回集められた冒険者たちの情報を得ながら、ハルトも自身とナビィや従魔たちが出来る事を教えられる範囲で伝えていく。


 そうして全員の自己紹介が終わると、改めて氷結の牙が偵察して得られたスタンピードの情報と、その情報を基にして作られた作戦が全員に伝えられる。


 まず、今回のスタンピードの規模は二万のモンスターの群れを相手にする事になりそうだと言う事だ。


 流石にこれには他の冒険者たちも唖然としていて、何故そんなにモンスターの数が多いのかとギルド長のマツーダに問い詰める冒険者も多かった。


 「(二万のモンスターの群れって多過ぎないか?定期的にラマーリャ山脈のモンスターを倒しているはずだろう?)」


 『確かに多いです。これは何か異変があったのか、それとも……私たちが原因の可能性もありますね。』


 「(俺たちのせい?)」


 スタンピードの原因になる様な事をやった覚えがない為、困惑してしまう。一体ナビィは何故そんな事を考えたのか、それが分からず聞いた。


 すると、帰って来た答えは世界樹な迷宮を攻略したからだという事だった。


 どうやら世界樹の迷宮を久しぶりに攻略した事で、土の世界樹の木そのものが活性化してより多くの魔力を宇宙から取り込み、取り込んだ魔力を星に流した結果、大量の魔力により魔境が生み出すモンスターの量が多くなったのではないか。それがナビィの考え出したスタンピードの原因だ。

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