第464話

 ドワーフ国ガンミーアの王都にたどり着いたハルトたちは王都の中に入ると、まずは宿屋を探しに向かった。


 「ここがそうか。」


 門の兵士から聞いた従魔も泊まれる宿屋にたどり着くと、そこで今日の宿を取ってから宿にナビィたちを置いて、ハルトは冒険者ギルドへと向かう事になる。


 「何かあったら念話してくれ。」


 「はい。ハルトもいつでも何かあったら聞いてくださいね。」


 「そうするよ。」


 宿屋を出たハルトは冒険者ギルドへと向かった。王都の冒険者ギルドは土の世界樹の木があったイガルマの冒険者ギルドと同じくらい大きい。


 そんな冒険者ギルドの中に入ると、ハルトは辺りを見回して二階にあるAランク冒険者専用の受け付けに向かった。


 「本日はどの様なご用件でしょうか?」


 「依頼を受けて王都の冒険者ギルドに届けに来た。だから、ギルド長に会いたいんだけど、すぐに会えますか?」


 「それではその依頼書を見せてもらえますか?」


 アイテムボックスから依頼書を渡すと、それを確認した受付嬢はすぐに受け付けから離れて受け付けの奥へと向かって行った。


 それから少しして戻ってきた受付嬢の案内の元、ハルトはギルド長室へと向かい、ギルド長室の前に着くと、受付嬢は扉を叩いて入室の許可を取って中に入る。


 「こちら、Aランク冒険者のハルトさんです。」


 「ハルトです。イガルマのギルド長からの依頼の品を運んで来ました。」


 「ああ、分かっている。それにしても速い到着だな。イガルマからここまで三日も経っていない。どんな道のりを通ったのかを聞いても?」


 開口一番に女性のドワーフと思われるギルド長からイガルマから王都までの道のりを聞かれてしまう。


 本当の話をするべきか、それとも冒険者としての機密だと言うべきか悩むところだ。


 たとえ言ったとしても問題にはならないと思うが、それは俺からしたらだろう。一応、ナビィからどうするべきかを聞いてみるか?


 スキル思考加速を行ないながら、ハルトは先ほどギルド長にされた質問をナビィにする。


 『やはり怪しまれましたね。でも、それならどちらでも構わないと思いますよ。』


 『そうか、なら正直に言うべきか。』


 そうしてハルトはギルド長にイガルマから王都までの道のりを正直に教えた。すると、ギルド長はハルトの話を聞いて一瞬疑問に思って惚けた表情していたが、それも一瞬で笑い始めた。


 「ははは!!そんな方法で王都まで来たのか!馬鹿げてるな!!」


 受付嬢からはドン引きされ、ギルド長からは大笑いされるなか、ようやくギルド長が笑うのを終わると、ようやく話が始まる。


 「あー、笑わせてくれたね。私はガンナだな。それで運んで来た物はどれだ?」


 「これです。」


 収納袋をアイテムボックスから取り出してギルド長のガンナに渡した。すると、ガンナは収納袋を開いて中を確認すると、ハルトの方に顔を向ける。


 「確かに入っていたね。依頼書を渡してくれるかな?」


 「はい。」


 手に持っていたアースドラゴンの素材を王都の冒険者ギルドに運ぶ依頼の依頼書をガンナに渡した。


 渡された依頼書を確認したガンナは、机の引き出しから取り出したハンコを使って依頼書にハンコを押した。


 「これで依頼は達成だ。報酬は受け付けで受け取ってくれ。」


 「分かりました。」


 ハンコが押された依頼書を受け取り、立ちあがろうとした時、まだ話があるのか、ハルトにガンナは話し掛ける。


 「まだ話があるから座ってくれ。」


 「?分かりました。」


 まだ何かあるのだろうか?と疑問に思いながらハルトは立ち上がり掛けていた腰を椅子に下ろす。


 「まずは質問だ。アースドラゴンの素材をこのまま冒険者ギルドから国王に渡す形で構わないのか?」


 「貴族や王族と関わり合いにはあまりなりたくないので。」


 正直に王宮の中に入れば貴族や王族に関わる事になるだろう。それは面倒くさいので、ハルトは本音を言う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る