第463話
冒険者ギルドを出たハルトはナビィたちと合流すると、そのままイガルマを出てドワーフの国であるガンミーアの王都を目指して移動を開始した。
「これは移動が大変そうだ。結界の足場を作って移動だな。」
「一時間置きで交代して進みましょう。」
「そうだな。最初は俺から始める。」
街道に積もっている雪を見ながらハルトは結界魔法を発動して移動の為の足場を作り出す。
足場を作り終えると、ミルクに全員で騎乗して結界の足場をミルクは駆け出した。
「いっそのこと真っ直ぐに王都を目指すか?」
「それも良いですね。そうすれば三つ日も掛からずに王都にたどり着けます。ですがそうするとあまりにも早く王都にたどり着くのでどうやって移動したのかで怪しまれてしまいますが、どうしますか?」
「今の俺たちなら大抵の事も何とかなるだろう。それなら早い方が良いし、一気に王都まで向かおう。」
そうしてハルトは早く王都にたどり着く事を優先する為にミルクが移動する為の足場を上空を目指す様に生成していく。
街道脇の森の木々よりも遥かに高い位置までたどり着いたハルトたちは、障害物の一切ない上空を移動して王都を目指し始めた。
雪は降っていないが、それでも気温が低い季節で更に上空を移動している為、冷気に対して耐性を獲得する寒冷耐性スキルを取得していても若干肌寒い。
そんな中を移動するハルトたちの結界の足場の下にある地表の森の中に集落が目に入った。
「あんなところに集落があるぞ。」
「本当ですね。この辺りに人類の集落があったとは記憶していないのですが?」
「そうなのか?」
「ええ、しかもそれなりに大きな集落です。怪しいですね。調べますか?」
思考系スキルを使用して一瞬の間にどうするかをハルトは考えると、今回は調べない事にした。
一応ナビィにあの集落を作ったのはモンスターではないかを確認するが、あの集落を使用しているのは人間たちだった為、怪しいが探るのは止める。
「そうですか。盗賊の可能性もありますから調べるのもありだとは思うのですけどね。」
「その可能性もあるのか。それなら被害を減らす為にも調べた方が良いな。ナビィ、調べるのにどれくらいの時間が掛かる?」
「五分ほど頂ければ問題ありません。」
「なら調べてもらうか。どうせ王都にたどり着くのもまだ日にち的には問題ないしな。」
ミルクに止まる様に指示を出すと、ミルクはすぐにその場に静止すると、ミルクが止まったと同時にナビィは怪しい集落を調べ始める。
それから五分ほどの時間が経ち、ナビィがあの怪しい集落を調べた結果を話し出す。
「あの集落は盗賊の一団の棲家ではない様です。」
「それなら何なんだ?」
「どうやら昔の帝国から逃亡した奴隷の集団が作った集落の様ですよ。百年ほど前なので今は奴隷は居ないですけどね。まあでも、ガンミーアからすれば厄介者ではあるんでしょう。税も支払っていない一団ですから。」
盗賊の一団が住まう集落なら対処する為の行動を取らないといけないが、この場合はどういった行動をするべきなのだろうか?
「それでナビィ、この場合はどうすれば良いんだ?」
「この辺りを治める貴族の町にある冒険者ギルドに報告するのが正しいと思います。その場合ですと、案内をしなければ行けなくなるので時間を使ってしまいますよ。」
「そうか……よし!それなら見なかった事にして王都に向かうぞ。ミルク、出発だ。」
『分かりましたモー。』
これなら盗賊の一団が住まう集落だった方が対処するのも楽だったと思いながら、ハルトはミルクを走らせて王都に向かわせる。
それから土の世界樹の木のあるイガルマを出発してから二日後の午前中に、ハルトたちはガンミーアの王都にたどり着くのだった。
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