第460話
剣を振り回して騒いでいた冒険者が取り押さえられて拘束されると、結界を叩いて結界を解く様な仕草をする警備職員の姿がそこにあった。
「あっ、解いてくれましたか。事情を聞きたいので良いですか?」
「構わないけど、そいつが言い掛かりを付けただけだぞ。煩わしいから結界を張って無視したら剣を抜いて暴れたんだ。」
ハルトから見て聞いた事を警備職員に伝えると、他の様子を見ていた冒険者たちもそうだったと口々に話し出す。
それを聞いていた暴れた冒険者は反論しようとするが、この暴れた冒険者は剣を振り回した為、後ほど聞くとの事で連れ去られた。
それからより詳しい話をしようとした時にギルド長に面会可能かを聞きに行った受付嬢のイリーア?さんが戻って来た。
「ギルド長から許可取りましたよ!あれ?何かあったんですか?」
「イリーアさんか。暴れた冒険者が居たんだよ。それでギルド長とはどう言う事だ?」
「Aクラス冒険者のハルトさんが面会を希望していたので、ギルド長から許可を貰いに行ってました。ハルトさんを連れて行っても構いませんか?」
「今回の騒動はギルド長にも伝える必要があるからな。私も行こう。」
そうしてハルトは受付嬢のイリーアと警備職員のそれも階級が上な様な職員と三人でギルド長室へ向かおうとしたタイミングで、ハルトたちに声を掛ける者が居た。
「ちょっと待ってくれ。それ、俺も行っても構わないか?アイツは獣牙戦闘団のメンバーだったからな。出来れば俺も行きたい。」
「どうしますか?」
「そうだな。ジギルはクランの団長だ。連れて行っても構わないだろう。」
イリーアと警備職員の二人の判断で獣牙戦闘団団長のジギルも連れてギルド長室へと向かう事になった。
そうして四人でギルド長室に入ると、数年前と同じギルド長のガエルが四人も居る事に不思議がっていた。
「何でその二人が居るのかは分からんが、久しぶりじゃの、ハルトよ。」
「久しぶりです。ガエルさん。」
ギルド長のガエルに頭を下げると、それから騒動になった話から始まった。
「ジギル、お前の部下じゃろ。しっかり躾をしておけよ。」
「分かってる。アイツは下っ端だがうちのクランメンバーだからな。クラン側でもペナルティーを与えるのは約束する。」
こうして今回の騒動は決着が付いた。クラン獣牙戦闘団から迷惑料として金貨百枚送られる事になる。
「それでハルト、お前さんが持って来た物を見してくれるかの?」
「ここでですか?」
獣牙戦闘団団長のジギルと警備職員の二人に目線を向ける。
「その二人にも出来ればじゃ。」
「分かりました。」
アイテムボックスからアースドラゴンの鱗を一枚取り出して四人が見える様な位置に置いた。
最初はこれがアースドラゴンの鱗だと気付かなかったが、ジギルはアースドラゴンと戦った事があるからか気が付いた様だ。
「おい!これってアースドラゴンの鱗じゃないか!!どうしたんだよ、これ!!」
「ジギル、落ち着くのじゃ。ハルト、それでこのアースドラゴンの鱗はどうしたのかの?」
「もちろん倒して手に入れた物ですよ。真偽水晶を使って貰っても構いません。」
獣牙戦闘団団長のジギルと警備職員に受付嬢はアースドラゴンが倒された事に驚いているが、冒険者ギルドのギルド長のガエルは静かにハルトを見つめた。
それから鑑定の魔道具と真偽水晶も使って徹底的に調べられ、これがアースドラゴンの鱗だと認められた。
「他にもアースドラゴンの素材はあるのかの?それを冒険者ギルドに売却してくれると
冒険者ギルドとしては嬉しい。」
「構いませんよ。今ある素材から渡します。」
幾つかのアースドラゴンの素材を冒険者ギルドに売却する事が決まり、それから五十一階層以降の階層の話や現れたモンスターに採取素材の話をハルトはギルド長室に居る面々に話して説明して行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます