第371話

 ハルトが開けた結界の穴にコッコロが卵爆弾を投擲する。投擲された卵爆弾はそれほど大きくない穴を通り抜けて多重に張った結界の外に出る。


 それを視認したハルトは急いで開けた結界の穴を塞ぐと、その後すぐにハルトたちを覆うようにミルクが土属性魔法を発動して土のドームが形成された。


 そして、多重に張られた結界が一枚、また一枚とアースドラゴンが吐き出した鋭い岩の棘に破壊される中で、結界の外に投擲された卵爆弾が爆発を起こす。


 ドーーーーーーーーン!!!!!!!!!


 まだ幾つも結界が残っているそんな中で、コッコロの卵爆弾の爆発の影響が結界を直撃して残っていた結界すべてが破壊される。


 結界が破壊されたことで、ミルクの作り出した土のドームが爆発の影響により出された衝撃やアースドラゴンの吐き出した棘の破壊された欠片を受け止める。


 『ハルト、結界を張りますよ。追加でアースドラゴンが岩の棘を吐き出すブレスを再びしてくる可能性がありますからね。』


 「分かった。ミルク、結界を張り終えたら、この土のドームを解除してくれ。」


 『分かったモー。結界を張ったら、土のドームを解くタイミングを教えて欲しいモー。』


 「すぐに張るから、もう解いても構わないぞ。」


 ハルトは結界を先ほどと同じように多重に張る間に、ミルクも土のドームを解いていく。


 そして、土のドームが無くなり周囲の確認が出来るようになると、周囲には大きな岩の棘が柱のように突き刺さっている景色に変わっていた。


 「俺たちの周りはコッコロの卵爆弾のお陰で岩の棘が突き刺さってないけど、これは今後の移動が大変だぞ。」


 『皆さん、すぐに移動を開始してください!アースドラゴンが動き出しました!!』


 ナビィの焦ったような念話が届き、ハルトたちはアースドラゴンが居る方向を見ると、ナビィの言った通りアースドラゴンがハルトたちの方へと向かい動き出していた。


 「全員、ミルクに騎乗しろ!!すぐに移動を開始するぞ!!!」


 ハルトが指示を出しながらミルクに騎乗すると、ヒスイたちもミルクの上に騎乗した。


 『移動先の地面を整地します!私が整地した方向へ向かってください!アースドラゴンを止めるつもりですが、止まらないでしょうから気を付けて!』


 「ああ、分かった!ミルク、行くぞ!!」


 「モーーー!!!!」


 周囲に張った結界を解くと、ハルトの号令の元、ミルクは走り出した。


 ハルトの魔力を使って、アースドラゴンの吐き出した岩の棘のブレスの影響で、地面に突き刺さっている小さなミルクの踏みそうな岩の棘を、ナビィが土属性魔法で整地していく。


 そのナビィが整地した地面を突き進みながら、大きな柱のような岩の棘を躱して進み続ける。


 走り出したハルトたちの距離の遠い後方ではハルトたちを追おうと動き出したアースドラゴンと、そのアースドラゴンを追わせまいと動くゴーレム六号機がアースドラゴンに六号機と同じサイズの大剣を振り下ろした。


 振り下ろされた大剣は、ゴーレム六号機を避けるように通り過ぎようとしたアースドラゴンの背中に命中し、アースドラゴンの背中の鱗や皮を切り裂く。


 「グギャアアアアアア!!!!!!」


 遠くでアースドラゴンの叫びが聞こえる中で、ハルトたちは柱のように突き刺さる岩の棘を避けて進む。


 「ナビィ、アースドラゴンの悲鳴が聞こえるけど、まだ俺たちをアースドラゴンは追い掛けているのか?」


 『はい、そうです。アースドラゴンの背中を切り裂いてダメージを与えたのですが、それでもミスリル砲弾の威力が脅威だったようで、ゴーレム六号機を無視してこちらを追ってきています。』


 「そうか……それならヒスイ、プルン、コッコロ。お前たちにやって貰いたいことがある。コッコロは卵爆弾の用意を、ヒスイとプルンはコッコロの投擲した卵爆弾は風属性魔法を使ってアースドラゴンに攻撃してくれ。出来るか?」


 『やってみる!プルン、コッコロ、きょうりょくまほう、がんばろうね!』


 『うん!きょうりょくしてー、たまごをとどかせればいいんだねー!』


 『ドラゴンに効く爆弾を作るわぁ。くふ、楽しみねぇ!!』

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