第370話

 ミスリル弾頭が身体の奥深くまで突き刺さり怒り狂うアースドラゴンの攻撃を回避する為、ハルトたちはミルクの上に乗って逃げ出した。


 『ハルト、ヒスイ。アースドラゴンが土属性魔法をハルトたちを足下から狙っています。地面に土属性魔力を流して防いでください!!』


 「やっぱり下から狙って来るか!!ヒスイ!」


 『ぼうがいするね!!』


 世界樹の棒に魔力を流し、ハルトは走るミルクを中心にして地面に土属性魔力をヒスイと一緒に流して送る。


 「うっ!(かなりの衝撃だぞ。それに、どんだけ魔力操作のスキルレベルが高いんだ!アースドラゴンは!!)」


 『そ、それいじょう、すすませないよ!!』


 アースドラゴンの土属性魔力がハルトとヒスイの土属性魔力と衝突を起こすと、アースドラゴンは魔力の遠隔操作で土属性魔力をハルトたちの土属性魔力を押し込もうとして来る。


 ハルト、ヒスイVSアースドラゴンの魔力の押し合いは両者譲らずの対決になっている。


 「こっちがヒスイと二人がかりで守っているのに、どんだけ強いんだ!!!」


 『そんなにもたないよ!!』


 『ハルト、ヒスイ。もう少し抑えてください!アースドラゴンに一発入れます!』


 大盾と片腕でアースドラゴンを抑えていたゴーレム六号機が、抑えていた片腕をアースドラゴンから話して、大盾でアースドラゴンにシールドバッシュを行なった。


 六号機が繰り出したシールドバッシュに、アースドラゴンは対処出来ずに頭部に直撃する。


 すると、今まで押され気味だった魔力同士の攻めぎ合いは、アースドラゴンの魔力が緩んだことで弾き飛ばし、縮まっていた魔力の範囲が広がっていく。


 「助かった。ナビィ。」


 『ありがとう!ナビィ!』


 『それよりもまだ集中を!アースドラゴンが次の攻撃をしようとしています!!』


 ナビィがハルトたちに注意を促していた時、アースドラゴンは頭部を持ち上げて斜めにするとアースドラゴンの口に魔力が集まり出していく。


 『攻撃が来ます!ブレス攻撃の可能性がありますから、注意してください!!』


 「防御だ!!全員で結界を張るぞ!!」


 すぐにハルトは結界魔法で周囲に結界を張ると、それに続くようにヒスイたちも結界魔法を使って防御結界を張る。


 ナビィが操作するゴーレム六号機も大盾を構えて、アースドラゴンからの攻撃から身を守ろうとした時、アースドラゴンは大口を開くと、その口から鋭い岩の棘を大量に飛ばして来た。


 ゴーレム六号機の大盾に仕込まれた魔結晶の魔力を使い大盾に纏われる魔力の壁に、アースドラゴンの吐き出した岩棘が次々と突き刺さる。


 『空から降って来ますよ!!上空からの攻撃に備えてください!!!』


 ナビィからの念話に、ハルトたちは空中から降り注いで来る大量の岩の棘の防御の為、その場から動かずに結界に魔力を注いで結界を強化していく。


 降り注いだ岩の棘が結界に衝突する中、ハルトたちの張った結界は一枚一枚破壊される。


 『あわわ!このままじゃ、ぜんぶこわされちゃう!!』


 『どうするればいいのー!ハルトおにいちゃん!!』


 ヒスイとプルンが縋るような念話でハルトに伝えて来る中で、ハルトもどうするのかを考えて指示を出す。


 「今から俺が結界を多重に張る!コッコロは卵爆弾を投げてくれ。爆発の衝撃で岩棘を吹き飛ばす!ヒスイとプルンは水魔法で爆発の衝撃を減らしてくれ!ミルク、お前はコッコロが投擲したら、魔法で土のドームを作って最後の守りを作るんだ!!」


 『わかった!』


 『ヒスイおねえちゃん!がんばろー!!』


 『岩の棘なんて全て吹き飛ばす爆発を生み出してみせるわぁ!!』


 『さ、最後の守り!!精一杯頑張らせて貰いますモーー!!!』


 指示後、ハルトは世界樹の棒に魔力を込めて多重に結界を張り続け、その多重に張ったほんの結界の一部に穴を開けた。

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