第364話
ムオールたちと別れて拠点に帰る途中、ハルトたちを遠目で監視する者をナビィが発見し、それをハルトたちへと伝える。
「やっぱり、獣牙戦闘団のところの冒険者だよな。」
『そうでしょうね。十中八九そうですよ。ハルト、コッコロ、ミルク。あなたたちは後ろを見ちゃ駄目ですよ。気付かれてしまいますからね。』
俺とコッコロにミルクは駄目で、ヒスイとプルンは良いのかと思っていると、それはヒスイとプルンも思ったのか、ナビィに二匹は質問する。
『ヒスイはいいの?』
『ぼくもいいのー?』
『貴女たちは頭を振り向くことが無いので行動で気付かれませんからね。ハルトの肩に乗って背後を見てください。居るのが分かりますよ。』
『わかった!プルンはみぎだよ!』
『うん!みぎにのるー!』
ヒスイとプルンが両肩に乗り、追跡している冒険者を確認する。
「居たか?」
『うん!さんにん、みえるよ!』
『くさ、ガサガサしてるー!』
どうやらハルトたちを着けて来ている冒険者は一人のようで、背丈の高い茂みに潜んでハルトたちを追って来ているようだ。
「どうする、ナビィ。このままだと拠点まで着いて来ちゃうぞ。あの冒険者。」
『拠点を探られるのは面倒ですね。ハルト、もう少し進んだ先で特製肉を使いましょう。』
「特製肉をか?…………モンスターを誘き寄せて、俺たちを探っている冒険者を炙り出すのか。」
『そうです。上手くいけばモンスターが排除してくれますし、排除が上手くいかなくてもモンスターが注意を引いて貰えますよ。』
ナビィの案で決定すると、ハルトは移動に走って向かおうと提案する。
「なら、それで行くか。ついでに走って移動するか。」
『いえ、それは相手にも自分は気付いているとバレてしまいますから止めてください。』
「そうか。気付かれたと思われちゃうか。それなら仕方ないな。歩いて進もう。」
それからハルトたちは拠点に離れた場所を目指して進みながら、遭遇するモンスターを倒して行った。
獣牙戦闘団と遭遇した場所からかなり距離が離れているが、それでもハルトたちを着けている冒険者たちは未だに背後をコソコソと着けて着いてくる。
『ここら辺で良いでしょう。ハルト、アイテムボックスから特製肉を焼いたモンスターを誘き寄せてください。』
ナビィに念話で言われたハルトはアイテムボックスから特製肉を取り出すと、世界樹の棒を特製肉に向けて火属性魔法を使い特製肉に火を着ける。
特製肉から五十階層に現れるモンスターを誘き寄せる臭いが発生すると、更に世界樹の棒から階層に広がるように風属性魔法を発動した。
「これで後はモンスターが来るのを待つだけだな。どれくらい掛かると思う?」
『五分くらいで来ると思いますよ。今回は風属性魔法も使ったので、いつもよりも早く来るはずです。』
そうナビィが言っていたように、本当に五分くらいの時間でモンスターが接近して来た。
「最初に向かって来たのはワイバーンか。コッコロ、もう少ししたらお願いな。」
『分かったわぁ。それと、あのワイバーンは殺しちゃっても構わないかしらぁ。』
「殺れるなら構わないから、コッコロの好きにして良いぞ。見られても構わないだろう?ナビィ。」
『そうですね。あの冒険者クランが居なくなるまでは結界の中での修行をしますからね。』
『それじゃあ私だけで倒しちゃうわねぇ。くっくく、そーれ!!!!!』
コッコロは閃光爆音卵爆弾をワイバーンへ投擲すると、すぐに火属性魔力を込めた卵爆弾をもう一度投擲した。
そして閃光爆音卵爆弾がワイバーンの近くで破裂すると、ワイバーンは気絶して墜落を始める。
そんな墜落して行くワイバーンに狙ったように卵爆弾が命中して爆発を起こし、墜落と爆発の威力でワイバーンをコッコロは倒すのだった。
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