第359話

 五十階層に拠点を作ってから一ヶ月経った。この一ヶ月の間はスキルのレベル上げとステータスの強化に努めて、三日に一度のペースで拠点周囲のモンスターを倒してハルトたちは過ごしていた。


 かなり魔力の濃いこの場所での修行で幾つかのメインで上げているスキルはレベルに追い付き、ステータスも高負荷を掛けて鍛えたお陰で一ヶ月前と比べると、今のハルトたちは別人かと思うほど変わっている。


 更に新規でゴーレムを幾つかハルトとナビィは製造した。


 そんなハルトたちは、更に強くなる為、生命が関わるような大規模なモンスター狩りをこれから行なう。


 「大体こんなもんかな?」


 『そうですね。今現在のハルトたちが行なえる中で考えると十分な出来です。早速、モンスターを誘き寄せましょう。』


 築き上げた陣地には数多くの罠が仕掛けられ、結界魔法をメインに複数の魔法で作り上げたモンスターを透過してダメージを結界を陣地全体に多重に張られている。


 そして、ナビィと共に作り上げたモンスターを誘き寄せるドラゴン系モンスターやリザード系モンスターにのみ、美味しく感じる特殊な臭い漬けをした肉を築き上げた陣地の中で焼き始める。


 『まだかな?まだかな?』


 ヒスイは東側から攻めて来るモンスターを迎撃する為に結界で作られた高台に乗ってモンスターが来るのを待ち。


 『もうそろそろくるー?』


 プルンは南から迫るモンスターの迎撃をする為、身体を揺らしながら待ち。


 『爆発も解禁ですからね。楽しみですわぁ!!』


 コッコロは陣地中央にある複数の結界の高台の一つに座り、爆発を早く見たいと待ち望み。


 『僕、いっぱい頑張りますモー!!』


 ミルクは西側から迫るモンスターとの戦いに気合い十分に魔力を滾らせる。


 そしてハルトは北側から迫るモンスターの迎撃の為に世界樹の棒に魔力を込めて、モンスターが来るのを待っている。


 因みに三号機以外のゴーレムを東西南北に一機ずつ付けており、更に遠距離攻撃型の新規に製造した弓持ちゴーレムがすべての方角に十機ずつ待機している。


 ヒスイたち従魔も今か今かとモンスターが来るのを待ち侘びていると、ナビィがモンスターを発見した。


 『感知範囲にモンスターが入りました。皆さん、モンスター素材は気にせずに全力を持って迎撃してください!!』


 「(攻撃準備は出来ているな!罠に引っ掛かったモンスターから順に全力攻撃で一撃で倒していけ!!!次から次にモンスターは来るからな。ポーションは小まめに飲んでおけよ!)」


 ナビィからの念話の後、ハルトも全員に念話を送り、いつでも攻撃を行なえるように備えていく。


 ハルトが居る北側から、迫るモンスターの大群が見えたがヒスイ、プルン、ミルクの居る方角からも大群でモンスターたちは迫って来る。


 「まだか、まだか……来た!」


 北側から迫る大群のモンスターの先頭に居たスティールリザードが木属性魔法で製作した罠に引っ掛かり、木の根に縛り上げられる。


 世界樹の棒をライフル銃に見立てて木属性魔法をハルトは発動した。


 世界樹の棒の先端から生成射出された木の実の弾丸は、身動きが取れなくなったスティールリザードの頭部に命中すると、魔鋼の皮や鱗を突き破り頭蓋骨を割って頭部の深くに突き刺さる。


 スティールリザードもこれには堪らずに、罠を壊そうと暴れていた身体の動きを止めるが、まだスティールリザードは生きていた。


 「発芽しろ!!」


 ハルトが声を出してそう言うと、スティールリザードの頭の中にある木の実から芽が発芽して、スティールリザードの頭の中を芽からの伸び成長していく根っこが蹂躙していく。


 そして、先頭のスティールリザードは地面に倒れ伏し、ピクピクと痙攣していたがその内動かなくなった。

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