第358話

 閃光爆音卵爆弾の効果で墜落したワイバーンたちを、それぞれ分かれてハルトたちは攻撃を仕掛けた。


 二十メートルほどの高度から墜落したワイバーンたちは、その身体に受けたダメージは多いが致命傷とは程遠い状態だが、それでもダメージ量の多いワイバーンにハルトたちが攻撃を仕掛ければ五分も掛からずに倒すことに成功する。


 ハルトたち三組の中で、一番早くワイバーンを倒せたのはナビィが操作するゴーレムたちだった。


 墜落して動けないワイバーンの首と胸部に四号機と五号機のドリル攻撃で風穴を開けたのが致命傷になり、それが原因でワイバーンは倒されていた。


 二番目に早かったのはハルト、コッコロ、ミルクの組みである。ハルトが木属性魔法でワイバーンを拘束し、ミルクが土属性魔法で圧縮した土の装甲を纏い突進からの頭突きを食らわして衝撃でワイバーンの口を開けさせると、コッコロが卵爆弾を口へと投擲して、ワイバーンの頭を爆発で吹き飛ばし倒した。


 最後になったのがヒスイとプルンたちだった。二匹は縮小していた身体を元のサイズに戻してワイバーンを包み込むと、ワイバーンを締め上げながら身体を溶かして吸収して倒していた。


 ワイバーンとの戦闘終了後、その場でワイバーンたちの解体を行なうことになり、ヒスイとプルンが食べ始めたワイバーンはそのままに、残りの二匹の解体を行なった。


 その際にヒスイとプルンを羨ましそうに眺めていたコッコロに、解体した一匹分のワイバーンの肉を食べさせている間、解体したばかりの素材を錬金術で合成してよりランクの高い素材に変える。


 すべての素材を錬金術スキルのレベル上げを終えれば、食事を止めさせてハルトたちはダンジョン探索に戻った。


 ワイバーン自体簡単に倒せるようになったハルトたちだったが、他のモンスターはそうはいかず中々に苦戦を強いられた。


 スティールリザードとの戦いは魔鋼の皮や鱗のせいで硬く、外側からの攻撃に対して耐久力があり、上手く口を開かせて体内からの攻撃を行なうことで素早く倒せると分かるまで時間が掛かった。


 続いて厄介だったのは、ボスとしても現れたアースドラゴンもどきだ。


 このモンスターは群れで行動するモンスターだったせいで、複数体のアースドラゴンもどきが同時に行なうブレス攻撃が厄介だった。


 それ以外では攻撃が通るのでそこまで苦戦はしなかったが、それでも同時に放つブレスには本当に苦戦させられた。


 そんなモンスターが現れる四十一階層から五十階層の間を一階層ずつ進むのに二日掛けて進み、とうとう五十階層にハルトたちは到着した。


 そして、五十階層の探索をした後にハルトたちは階層の中で、階段とボス部屋から離れている位置に到着する。


 『この階層でじっくりとスキルとレベルを上げましょう。空気中の魔力濃度も濃いですし、上がりやすいですからね。』


 「どこまで上げれば良いんだ?」


 『100レベルまでですね。本当に大変ですよ。死ぬ可能性があることもしないといけませんから。』


 「今まで以上に死なない生きる覚悟が必要になるほどのことをするのか。」


 『はい。でも、それをするのはこの場所に慣れてからですけどね。拠点を作りましょう。』


 幾十もの様々な効果の結界を張ると、まず最初にしたのは結界内に生える植物の採取を行なうことだ。


 ヒスイたちも協力して魔法も使い行なうことで、それほど時間を掛けずに植物採取は終わる。


 それが終わると、長く過ごすから良い場所を作ろうと時間を掛けて地面を固めて過ごしやすいように生産、修行、生活の三つの場所を作り出し、拠点は完成した。


 そして、それからのハルトたちは、この拠点を中心にしてスキルやレベルを上げてをしながら過ごして行った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る