第355話

 それからハルトたちは拘束されて動けないドリモールを倒し終わると、消耗をほとんどしていないハルトたちはドリモールと爆発でドリモールの身体から取れたドリルをアイテムボックスへの収納し、更に爆発からハルトたちを守る為に出したゴーレム三号機を収納すると、ハルトたちは出現した宝箱へと向かった。


 「ドリモールは美味しかったか?」


 『美味しかったわぁ。特に爆弾で程よく焼けたお肉は最高だったわね。』


 「それは良かったな。さて、宝箱には何が入ってるかな?」


 『今回の探索ではボス部屋の宝箱は鉱石やインゴットだけでしたからね。出来れば、アースドラゴン戦に役立つアイテムがあれば良いですね。』


 数百年の間、未だに倒すことが出来ていない、土の世界樹の迷宮五十階層のボスであるアースドラゴンとの戦いで役に立つアイテムが入って入れば本当に良いなと思いながら、ハルトは宝箱の蓋を開いて中を確認する。


 「これは?」


 宝箱の中には大きな透明度の高い黄色の結晶が入っていた。


 『これはアースクリスタルですね。ダーククリスタルと同じで魔力を込めると、土属性の魔力に変換されるアイテムです。』


 「それなら土属性魔力の光線を放つ装置を作れるな。ゴーレム四号機と五号機を作り直そう。」


 『そうですね。それが良いと思います。』


 宝箱の中に入っているランクの高いアースクリスタルをアイテムボックスに収納すると、ハルトたちはいよいよ四十一階層へと向かって進んで行く。


 「ここが四十一階層か。見晴らしが良いけど、これはモンスターから発見されやすくなるぞ。」


 四十一階層は一面遮ぎる物が無い平原だ。生えている植物も背の高い植物は一つも無く高くても五十センチも無いだろう。


 『まだ距離が離れていますが、モンスターが居ます。近寄られる前に階段から少し離れた場所で結界を張りましょう。』


 「今はやることがあるからな。戦闘は避けたい。みんな、移動するぞ。」


 そうしてハルトたちは先ほど登って来た階段のある場所から少し離れた場所で結界を張った。


 四十一階層は全体的に平地な為、土属性魔法で整地をする必要はないが、それでも膝下まで生える草花や薬草もあるのでヒスイたちに採取も兼ねた草むしりをするように頼むと、ハルトは結界の隣にもう一つ結界を張ってそこでドリモールの解体を行なっていく。


 「なあ、ナビィ。」


 『何ですか?ハルト。』


 「このドリモールのドリルは、今のゴーレムたちのドリルと比べてどっちが上なんだ?」


 今回の戦闘では爆発が上手く作用したからか、ドリモールのドリルが前回のドリルよりも綺麗に取れた。


 その為、上手く加工すればゴーレム四号機や五号機のドリルと交換して使うことが出来そうだ。


 『今のゴーレム四号機と五号機のドリルは魔鉄にミスリルでコーティングしているだけですからね。ドリモールのドリルの方がああでしょう。』


 「やっぱりか。それならドリモールのドリルを加工して交換した方が良いと思うか?」


 『必要ありませんよ。ドリルは消耗品ですからね。ドリモールと違ってドリルを治すことが出来ないので、それなら今のままの方が良いです。』


 「そうか。それなら交換は必要ないな。」


 ドリモールを魔力腕を複数使って解体を終えたハルトは、草むしりを終えてそれぞれが鍛練を行なっているヒスイたちを一瞥すると、ハルトはゴーレム三号機を三号機が使う装備と一緒に点検していく。


 アイテムボックスから出したゴーレム三号機やその装備は、コッコロの卵爆弾のダメージがあり修理が必要な状態になっていた。


 「これくらいなら一時間も掛からないだろう。ナビィ、サポートは頼んだぞ。」


 『任せてください、ハルト。』


 ゴーレム三号機の修理を一時間足らずで終わらせると、いよいよゴーレム四号機と五号機の改修作業に入るのだった。


 

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