第353話

 そして、ハルトがAランク冒険者になる為の最後の試験が始まったが、それは思いの外早く済んだ。


 だが、それもナビィの手助けがあったからだ。


 面接自体はギルド長のガエルと答弁をするだけで済んだが、その後に貴族や王族への対応がどれほど可能なのか、それを実践することになり、これはナビィからのサポートが無ければ出来なかっただろう。


 「これで面接も終わりじゃ。ハルト、お前さんはこれからAランク冒険者じゃ。それを意識した行動を取ってくれ。」


 「はい。」


 それからハルトはギルド長室から出ると、受付嬢から受け付けカウンターでAランクになった際の説明がされる。様々な特典や注意事項、緊急の依頼などの説明をされた。


 『これで五年は依頼を受けなくても良くなりましたね。』


 「(そうだな。これで世界樹の迷宮の攻略の最後の準備が整った。早速、世界樹の迷宮に向かおう!)」


 ハルトは冒険者ギルドを出ると、今まで長く過ごした世界樹の迷宮へと向かうのだった。


 それからのハルトたちは世界樹の迷宮を攻略する為に休むことなく階層を登って行き、三十一階層にたどり着いた。


 その道中で倒さなければいけないボスモンスターとの戦闘がどうだったのかと言うと、一度戦ったこともあり、ボスモンスターの攻撃方法も分かっていた為、一度目よりも短時間で早く倒すことが出来た。


 そして、三十一階層に着いてからのハルトたちの行動は兎に角たくさんの鉱石を集めること、それとレベル上げをすることだ。


 未だに三十一階層から四十階層のモンスターのレベルは同格や格上のモンスターばかりで、レベル上げには最適だった。


 三ヶ月近くも経ち環境もあってか、四十階層までのモンスターもミルク以外は格上は居なくなり、かなりの量の鉱石も集まったハルトたちは四十一階層へと向かう為、ドリモールとの再戦をこれから行なう。


 今のハルトとミルクの鎧などの防具はミスリルやロックワイバーン、ドリモールの皮を使って作られている。


 他にもヒスイが使う為の魔法効果が上がる杖、プルンの使う剣をミスリルを使い強化して更にロックワイバーンの牙を使って牙剣・二の牙の更なる強化、コッコロには身体の動きの邪魔にならない皮の鎧をハルトはナビィにサポートをして貰いながら作るのだった。


 「みんな、行くぞ!準備は出来ているな!!」


 『うん!できてるよ!』


 『できてるー!!』


 『こちらも出来ていますわぁ。』


 『頑張ります!ハルト様!!』


 そして、準備万端なヒスイたち従魔を連れてハルトは四十階層ボスのドリモールとの戦闘に向かう。


 ハルトたちがボス部屋に入ると、独りでにボス部屋の扉は閉じて行き、ボス部屋の中央に魔法陣が出現すると、ボスモンスターのドリモールが召喚される。


 『召喚されましたね。拘束です!!』


 ドリモールが召喚されると、ナビィの指示を受けたハルトたちはドリモールの拘束の為に魔法を発動した。


 『次はコッコロ。』


 『分かってるわぁ。気絶しなさいなっ!』


 初めて戦ったように、召喚されたばかりのドリモールが拘束されると、次はドリモールを気絶させる為にコッコロが閃光爆音卵爆弾をドリモールの顔面に向かって投擲する。


 大きな音と共に眩い閃光が破裂した卵爆弾から発生すると、拘束から流れる為に暴れて騒いでいたドリモールを気絶させてしまう。


 『ここで一気に仕留めたいですが、それは難しいです。その為、まずはドリモールのドリルの破壊ですね。ドリモールのドリルをハルトとミルクが固定、次に固定されたドリルの根本にヒスイとプルンが濃縮した酸を散布、そしてコッコロの一番威力のある卵爆弾で爆破してください。』


 「分かった。みんな、その通りに行動するぞ!!」


 ハルトはヒスイたちそれぞれの返事を聞くと、ハルトたちは動き出した。

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