第352話

 アイテムボックスからハルトはAランク試験に提示されていた薬草、ミスリル鉱石、ドリモールの素材の一部を取り出して受け付けカウンターに置く。


 「さっき聞いた三つの素材ですけど、これで良いんですか?」


 「少し待っていて貰っても良いですか?真偽の結晶を取りに向かうので、少し失礼します。」


 「はい。」


 受付嬢が真偽の結晶を取りに向かうのを見送る間、冒険者ギルドでは暖房が備わっている為暖かく、懐からプルンを受け付けに置いてプニプニしていると、受付嬢が真偽の結晶を持って戻って来た。


 「お待たせしました。早速確認するので真偽の結晶に触れて質問に答えてください。」


 「分かりました。」


 ハルトは受け付けカウンターに置かれた真偽の結晶に触れると、受付嬢が質問を始めた。


 「Aランク試験の薬草、ミスリル鉱石は自身で採取した物ですか?」


 「はい。」


 ハルトが質問に答えると、ハルトが触れている真偽の結晶が青く光を放った。


 「この二つはハルトさんが採取した物のようですね。では次です。このドリモールの素材は自身で倒して入手した物ですか?」


 「そうです。」


 次の受付嬢の質問にハルトは答えると、真偽の結晶はもう一度青い光を放つ。


 「それはパーティーやクランのメンバーもドリモールとの戦闘には居ましたか?」


 「いいえ。」


 そう答え、真偽の結晶は青く光る。


 「従魔のスライムが居るようですが、ハルトさんは従魔と倒したと言うことですか?」


 「そうです。俺と従魔たちでドリモールを倒しました。」


 この質問でもハルトが答えると、真偽の結晶は青い光を放った。


 「質問は以上です。お疲れさまでした。この三つの素材は一旦こちらで預かります。」


 「そうですか。分かりました。試験が終わったら、その素材は返して貰えるのですか?」


 「もちろんです。それで最後の試験であるギルド長の面接ですが、もしかしたら今すぐに出来るかも知れません。少しお待ちいただけますか?」


 「お願いします。(それなら早い方が良いな。後に回したくないし。)」


 「では、私は少し先を外します。」


 受付嬢の女性は頭を下げて、受け付けカウンターからギルド長の居るギルド長室へと向かうのを見送り、ハルトは受け付けから離れて二階にある椅子に座って待つことにする。


 これで残りはギルド長との面接だけになった。だが、このギルド長との面接が厄介に思う。


 「(はぁ、面接か……モンスターと戦うよりも面倒くさいな。)」


 『我慢ですよ、ハルト。ギルド長との面接が終われば、いよいよAランク冒険者です。制限も結構なくなります。』


 「(そうだな。頑張ろう。)」


 『ハルトおにいちゃん!がんばってー!』


 ハルトにプニプニされているプルンも応援してくれていると、受付嬢がこちらに来るのが見えた。


 「ハルトさん。ギルド長が今なら良いそうです!それと従魔は送還しておいてくださいね。」


 「分かりました(プルン、また後でな。)」


 プルンを送還すると、ハルトは受付嬢の後ろに付いてギルド長室へ向かった。


 「失礼します。ハルトさんを連れて来ました。」


 「入ってくれ。」


 ギルド長室の扉を受付嬢は叩くと、ギルド長室に入る許可が出ると、ハルトと受付嬢の二人は中に入る。


 そこにはヒゲモジャなドワーフが居た。ギルド長はドワーフの国だと言うのもあり、ドワーフが冒険者ギルドのギルド長をしているのだろう。


 「儂はギルド長のガエルじゃ。それにしても随分と若いがお前さん、人間か?」


 もしかして長命種だと疑われているのか?この歳でAランク冒険者になる試験を受けるのは、それほど意外のようだ。


 「はい、そうです。」


 「ふむ、そうか。エルフが人間の姿に偽装しているのかと疑ったぞ。それにしても、その歳でドリモールを倒すとはな。すごいことじゃぞ!」


 「仲間の従魔もいましたから。」


 「ほう、お前さんの従魔も気になるが、早速面接を始めようかの。」


 「はい、お願いします。」

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