第351話

 『宝箱のアイテムを回収して、今日は休みましょう。格上との長時間の戦闘に疲れが出ていますからね。幾ら健康魔法で回復することが出来ても休息は大事です。』


 「俺だけじゃなくてみんな疲れているもんな。おーい、宝箱開けるぞ!」


 ハルトが全員に聞こえるように声を出すと、それに反応して宝箱の元へと全員が移動する。


 そして、ハルトが宝箱の蓋を開けると、その中に入っていたのは、十本のミスリルインゴットが入っていた。


 「ミスリルインゴットだな。それが十本も入ってたぞ。」


 『これだけあれば色々な物が疲れそうです。これは、ハルトとミルクの防具にでも使いましょう。』


 「ゴーレムには良いのか?」


 『今は防御を固める方が良いでしょうから。ゴーレムの改良にはミスリル鉱石からミスリルを抽出して、それから使えば良いですよ。』


 ハルトはミスリルインゴットをアイテムボックスに収納すると、四十階層のボス部屋から四十階層に戻るのだった。


 それからハルトたちは、ボス部屋の前で結界を張って休息を取ると、この日はドリモールの解体とゴーレムの修理だけを済ませて、ボス部屋の前で過ごしていく。


 そして、ハルトたちは世界樹の迷宮を出る為に一ヶ月掛けて一階層に戻ると、ヒスイとコッコロにミルクの三匹を送還させてプルンを肩に乗せたハルトは、世界樹の迷宮から冒険者ギルドへと向かった。


 「うわ、雪がすごいな!」


 『うっ!さむーい!!』


 世界樹の迷宮から外に出たハルトたちを待っていたのは積もった雪の壁だった。


 肩に乗せていたプルンは世界樹の迷宮内と外の温度差に寒がり、ハルトのローブの中へと入り込んでしまう。


 『ドワーフの国であるガンミーアでは、この時期は雪が降ってますよ。今年は思ったよりも積もっていますね。』


 「そうなんだ。でも、世界樹の木までの道は雪が取り除かれてるな。あの冒険者たちが雪掻きをしてるのか。」


 『世界樹の迷宮で稼げない冒険者が雪掻きの依頼を受けてるのではと思います。』


 「じゃあ、邪魔にならないように冒険者ギルドに向かおう。」


 さらさらとした粉雪が降っている中を、ハルトは進んで行く。


 そして、冒険者ギルドの隣にある解体場に入ると、そこで今回受けた依頼書と共に要らない素材をハルトは売却する。


 「(これでAランク試験を受けられる数の依頼を受けられたな。)」


 『これでAランク試験に合格すれば、いよいよ本格的に世界樹の迷宮の攻略が始められますね!』


 素材を売却した分のお金と達成の判子が押された依頼書を受け取ったハルトは、冒険者ギルドの二階にある受け付けへと向かった。


 午前中だと言うこともあり、そこまで人の居ない二階の受け付けでハルトは判子の押された依頼書と冒険者ギルドのギルドカードを受付嬢へと提出する。


 「これでAランク試験を受けられると思うんですけど、試験を受けられますか?」


 「そうですね。推薦状があれば可能です。流石に推薦状が無ければいけませんが、推薦状はありますか?」


 「あります。今出しますから、少し待ってください。」


 アイテムボックスからハルトはAランクへの推薦状を取り出して渡すと、受付嬢は推薦状を確認し始めた。


 「本物ですね。試験を受けられますよ。Aランク試験の受理しますか?」


 「じゃあ、お願いします。」


 「それではしますね。Aランク試験の内容を話します。」


 それからハルトは受付嬢からAランク試験の詳細を説明される。


 Aランク試験は、世界樹の迷宮四十階層ボスであるドリモールの狩猟、世界樹の迷宮にある薬草の採取、世界樹の迷宮にあるミスリル鉱石の採取、ギルド長との面接、パーティーでドリモールの狩猟の場合は戦闘試験もあると教えられる。


 その中の世界樹の迷宮四十階層ボスであるドリモールの狩猟、世界樹の迷宮にある薬草の採取、世界樹の迷宮にあるミスリル鉱石の採取、この三つは真偽の結晶も使って調べられるだろうが終わっている為、ハルトの試験は残りはギルド長の面接だけだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る