第349話

 ドリモールへとゴーレム三号機の振り下ろした改造インセクトキラーハンマーが直撃すると、ボス部屋の中に何かが折れヒビ割れる音が響いていく。


 『皆さん警戒してください!まだドリモールは死んではいません!!』


 ナビィからの念話が全員に届いたその瞬間、改造インセクトキラーハンマーの下敷きになっているだろう場所でギュイーーンと言う音がした。


 その音を聞いてハルトが思ったことは、ドリモールがその鼻先のドリルを回転させているのでは無いかと言うことだった。


 そして、それは当たっており、ドリモールのドリルが金属を削る音がボス部屋に響く。


 『ハルト!ゴーレム三号機を収納してください!ドリモールが壊す前に!!』


 「分かった!ゴーレム三号機を収納したら、全員で一斉にドリモールに攻撃してくれ!!」


 ハルトは大声でそう言うと、身体能力を強化するスキルをすべて限界まで発動させると、ゴーレム三号機へと全力で駆け出していく。


 そして、ゴーレム三号機の足元までたどり着くと、ヒビが入り始めている改造インセクトキラーハンマーと一緒にゴーレム三号機を収納する。


 すると、改造インセクトキラーハンマーと言う重しが無くなったドリモールは、勢い余って体勢を崩しながらハルトの方へと向かって来る。


 「(めちゃくちゃな動きだ。予測して避けるのが、これは大変だぞ!?)」


 そう思ったその時、ハルト以外のボス部屋に居る味方からの光景が体勢を崩して移動するドリモールへと命中していく。


 そのお陰でハルトの方へと向かっていたドリモールの軌道は逸れて行き、誰も居ないダンジョンの壁へと向かって行く。


 「みんな、助かった!!ありがとう。それでドリモールはどうなった?」


 『今、ダンジョンの壁を掘って地面に潜りました。ここからは私は感知に意識の半分を割きます。サポートが疎かになるので注意してください。』


 ナビィからサポートの質が落ちた状態で、ハルトたちは地中からのドリモールの奇襲に警戒する。


 『来ます!狙いはコッコロです!すぐにその場から逃げてください!!』


 『私なのねぇ。すぐに離れるわぁ。置き土産を置いてねぇ。』


 そう言うや否やコッコロは、先ほどまで居た場所に複数の卵爆弾を置いて飛行して空を飛んで、その場から距離を取って離れて行く。


 そしてコッコロに一足早く逃げられてしまったドリモールは、卵爆弾が設置された場所から勢い良く飛び出すと、ドリルの一部が卵爆弾に接触して爆発を起こした。


 卵爆弾の内訳は閃光爆音が三つ、雷撃が三つ、氷結が三つ、火力の高いのが一つの十個の卵爆弾がドリモールを襲う。


 このコッコロの置き土産にドリモールは気絶は免れたが、それでも意識が朦朧とした状態で、更に身体は麻痺と氷結で一部が氷で固まった状態になっている。


 『今が攻撃のチャンスです!速く遠距離攻撃してください!!接近はゴーレムに任せて!』


 ナビィからの念話が届くと、すぐに全員が回避を意識していた状態から攻撃に意識を変える。


 接近しての攻撃をゴーレムたちに任せたハルトたちは、未だにフラフラとしているドリモールに向けて魔法で攻撃を行なう。


 世界樹の棒をドリモールへと向けたハルトはゴーレムたちにも攻撃をさせる為に、ドリモールの動きを止めるのと同時にダメージを与える魔法のイメージで木属性魔法を発動する。


 回転するイメージを乗せた木の杭が、ドリモールの腹を突き上げるように地面から突き出ると、腹の毛皮を貫き体内にダメージを与える。


 それでもドリモールの防御力は高く途中で木の杭はへし折れてしまうが、ドリモールに濃縮した酸の塊や氷結を起こす卵爆弾がドリルに命中し、更に三メートルの土の手のひらがドリモールを握り潰そうとするのだった。

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