第347話

 オンパバットたちとの戦闘後もハルトたちの鉱脈探しは続いて行き、次にハルトたちが遭遇したモンスターは鉄裂きモグラだった。


 オーアイーターと一緒で地中からの攻撃を得意とする鉄裂きモグラたちからの奇襲を、ハルトたちは対処する。


 今回の鉄裂きモグラの数が二匹で地面からの奇襲だと言うこともあり、ハルトが木属性魔法で攻撃を行ないつつ、地中から地面の上に引き摺り出した。


 「今だ。鉄裂きモグラが動けない内に倒してしまえ!!」


 「『僕が先陣を切る』モーー!!!!!」


 ハルトがそう言うや否やミルクが自身の鎧の上から土属性魔法で作った装甲を纏い突撃する。


 ミルクに出遅れる形でヒスイたちも鉄裂きモグラへと向かって行く。


 手足に木属性魔法で生み出した木の根による拘束に動けない鉄裂きモグラの一匹に、ミルクは頭を下げて突撃し、鉄裂きモグラの頭部へと突進の勢いで威力の増した頭突きを食らわせる。


 体重、スピード、硬さの三つがより頭突きの威力を上昇させた一撃に、爪の切れ味はすごいが、そこまで頭部の防御力は高くない鉄裂きモグラの頭蓋骨を破壊して、鉄裂きモグラは頭が潰れて死亡する。


 『うぅ、少し頭がクラクラするモー。』


 頭突きの反動を受けてフラフラと身体を動かすミルクの隣を通り過ぎて行き、ヒスイたちの中で一番最初に残りの鉄裂きモグラに攻撃したのはヒスイだった。


 伸ばした触手に魔鉄の装甲をアイテムボックスから取り出して身に付け振り下ろした一撃は、鉄裂きモグラの頭部に命中すると、頭部の皮をズタズタに引き裂き、頭蓋骨にヒビを入れる。


 二匹目に攻撃をしたのはコッコロだった。


 プルンよりも速く前に出る為に、翼を広げて風属性魔法も使い高速で飛行して鉄裂きモグラまで移動する。


 ヒスイからの攻撃に悲鳴をあげる鉄裂きモグラの頭部に鉤爪を使い固定したコッコロからの突く攻撃だ。


 魔力の込められた嘴から繰り出される突く攻撃は、ヒビ割れた鉄裂きモグラの頭蓋骨では耐えられずに割れてしまう。


 そして、コッコロが割れた頭蓋骨の先にある脳味噌を啄んで捕食すると、鉄裂きモグラは痙攣を起こして動かなくなる。


 『むぅー!ぼくもたたかいたかったのにー!!まにあわなかったよー!』


 『ふふ、プルンが遅いから悪かったのよぉ。私のように魔法を使った移動方法も身に付けると良いわぁ。』


 ハルトとゴーレムたちも鉄裂きモグラを倒したみんなの元へと移動すると、鉄裂きモグラをアイテムボックスに仕舞い、ダンジョン探索を再開して行くのだった。


 そんなダンジョン探索を三十一階層から四十階層まで一階層を進むのに採掘にも時間を使った為、二日掛けて進んだハルトたちが今どこにいるのかと言うと、四十階層のボス部屋の前で拠点を作り、翌朝のボス戦に備えて休憩をしているところだ。


 「それにしても依頼の素材はすべて集まったし、これならAランク試験を受けられるな。」


 『オーアイーターの解体で思いもしない量の金属素材が手に入りましたからね。さて、明日戦うボスモンスターの対策でも練りましょう。』


 「そうだな。」


 そして、ナビィから四十階層のボスモンスターであるドリモールと言うモンスターの説明から始まった。


 ドリモールは鼻先がドリル状になっているモンスターで、地中を高速で移動して鼻先のドリルで獲物を殺して捕食するモグラ系のモンスターだ。


 攻撃方法はただ一つだけ、突撃からのドリルのみだ。だが、その一撃は同レベルのドラゴン系モンスターの防御力でも耐えられずに貫通してしまうほどの攻撃力を持つ。


 そんなドリモールの対策をナビィから聞くと、兎に角ドリモールからの攻撃は回避一択のみ、そして回避後に地面にドリモールが潜る前に攻撃を与えるのと、拘束をして動けなくする方法の二つだけがハルトたちでも可能な方法らしい。


 それからもハルトは、ナビィだけじゃなくヒスイたちからも話を聞いたりして、この日は身体を休めて翌日に備えるのだった。

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