第345話

 『この鉱脈はミスリルですね!早速当たりを引きましたよ、ハルト!!』


 「ミスリルの鉱脈だったのか!?本当に当たりの鉱脈だな!!」


 よく光を当てて見ると、薄っすらと青いキラキラとした物が鉱脈の壁に見える。


 『早速採掘しましょう!』


 「ああ、そうだな!ヒスイ、来てくれ!」


 洞窟の壁を掘って開けた入り口で警戒しているヒスイたちの中からヒスイだけをハルトは呼ぶ。


 『ハルト、どうしたの?』


 「今から鉱脈を掘るから、落ちた鉱石を集めてくれないか?」


 『うん!わかった!』


 ヒスイの了承を得ると、ハルトは早速目の前のミスリル鉱石の鉱脈を石破壊のツルハシを使って掘り進めていく。


 一振り、一振りする毎にミスリル鉱石の鉱脈から鉱石がボロボロと零れ落ちるように鉱脈の壁から落ちる。


 それをヒスイがそのプルプルボディから触手を伸ばして一ヶ所にミスリル鉱石を集めていく。


 それからしばらくの間、ハルトがミスリル鉱石の鉱脈を掘り進めていると、ナビィからの念話が届く。


 『どうやらこちらに冒険者が来ています。ハルトが直接対処した方が良いかと。』


 「そうか、分かった。ヒスイはそこに隠れていてくれ。」


 『わかった!だれかにみられたらあぶないもんね!』


 一旦、ヒスイが一ヶ所に集めてくれたミスリル鉱石を、ハルトはアイテムボックスに収納すると、掘り進めた坑道の中からハルトは出る。


 「ミルク、お前もヒスイと同じように狙われる恐れがあるから、坑道の奥まで行って隠れていてくれ。」


 『分かったモー、ハルト様。静かに隠れておくモー。』


 ハルトと入れ違いにミルクが掘り進めた坑道の奥へと消えて行き、それから少ししてカンテラか何かを使って明かりを確保して進む冒険者パーティーとハルトたちは遭遇する。


 最初、見えて来た冒険者たちの様子はゴーレムたちに警戒し、いつでも戦闘を行なえるようにしていたようだが、ハルトのことを発見したからだろう、警戒のレベルを下げたようだ。


 「(ナビィ、あの冒険者たちはどれくらいの強さだ?)」


 『あの冒険者たちのほとんどは、ハルトたちより若干格下ですね。数人だけですけど、ハルトよりもレベルの高い者もいますよ。』


 二十人ほどの冒険者パーティーのほとんどが格下のようだが、それでも戦闘になったら脅威だろう。


 「俺たちはクラン大地の大槌のメンバーだ!!俺たちはこの先を通る!道を開けて欲しい!!」


 「分かった!今から道を開ける!!(プルン、コッコロ。先に坑道に入ってくれ。ナビィ、その後、四号機と五号機だ。一号機と二号機は俺と警戒をする。)」


 『分かりました。プルン、コッコロ。向かってください。』


 『なにかあったらいってねー!』


 『いつでも爆発をプレゼントしますわぁ。』


 プルンとコッコロが先に坑道に入ると、その後を続くように二機のゴーレムが進む。


 そして、坑道を守るように残りのゴーレムたちとハルトは立ち塞がる。


 冒険者パーティーも先ほどハルトに声を掛けて来た冒険者が先頭になってハルトたちの元までたどり着く。


 近くまで来ると、この冒険者がドワーフだと分かり、他の冒険者の多くもドワーフが多いようだ。


 「お前たちは先に進め。俺はコイツと少し話す。」


 「分かりました。我々は先に進みます。」


 女性のドワーフが、この集団の中で偉いのだろうドワーフの男性に返事をすると、女性のドワーフに続くように、続々とクラン大地の大槌のメンバーは進んで行く。


 「おう!悪いな。それでお前は少し良いか?儂はザンカだ!」


 「構わない。俺はハルトだ。だけど、何が聞きたいんだ?」


 「お前、この世界樹の迷宮だと新人だろう?この場所までたどり着く冒険者はそこまで多くはないからな。だから気になったんだよ。」


 「確かに世界樹の迷宮自体が初めてだけど、それが何かあるのか?」


 「いや、何もない。だけど、優秀な冒険者が現れたんだ。友好的な関係になっていた方が良いだろう?」


 「敵対するよりは良いな。」


 それからハルトは、このザンカと名乗るドワーフと世界樹の迷宮や他の冒険者クランの情報などの話をすることになる。

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