第330話
遠くでワイバーンが空を飛んでいるのが見える中で、ハルトたちは二十一階層の探索を開始した。
『皆さん、ここからは六十レベルを超えたモンスターも稀にですが出て来ます。気を付けて戦ってください…………早速来ましたね。』
そんなナビィが忠告をした次の瞬間にナビィの感知範囲にモンスターが入ったようだ。
「ナビィ、そのモンスターはこっちに来ているのか?」
『来ていますよ。速い動きです。この階層から現れるモンスターでここまで速い動きをするのは空を飛ぶワイバーン以外にラプトルリザードしかいません。ラプトルリザードは連携を得意とするモンスターです。攻撃は魔法は使いませんが爪には気を付けてください。』
この二十一階層から出現するモンスターはワイバーン、ラプトルリザード、アイアンアルマジロの三種類だ。
その内のアイアンアルマジロは敵対相手と遭遇するまで丸まって転がりながら移動せずにのっそり移動すると、冒険者ギルドの資料には書いていた。
その為、ナビィが言う通り空を見上げてもワイバーンが居らず、接近してくるモンスターの数が多いのなら残るのはラプトルリザードしかいないのだ。
ハルトはナビィからラプトルリザードが向かって来る方向を教えて貰い、ヒスイたちに指示を出してラプトルリザードの群れに仕掛ける罠を周囲に作り出す。
「罠に引っ掛かると思うか?」
『ラプトルリザード自体は賢いモンスターのようですからね。罠に気が付いても可笑しくはありません。あまり罠に期待はしない方が良いかも知れませんよ。』
「罠に引っ掛かればラッキーだと思うよ。もうそろそろ来るな。みんな、攻撃準備だ。接近されるまでに数を減らすぞ!!」
ヒスイたちの返事を聞きながら、ハルトたちに向かって接近して来るラプトルリザードの群れが視界に入って来た。
『全部で八匹ですか。それに隠れて接関して来るラプトルリザードが二匹いますよ。』
「俺の方でも感知できた。コッコロ、隠れて近付くラプトルリザードに卵爆弾を投擲しろ!」
『分かったわぁ。盛大に爆発しなさいなぁ!!!』
正面から接近する六匹のラプトルリザードとは別に岩の陰などを利用して隠れながら接近するラプトルリザードに対して、ハルトはコッコロに対処をするように指示を出した。
すると、コッコロはまだかなり距離がある二匹のラプトルリザードを狙って次々に卵爆弾を投擲して行った。
正面のラプトルリザードたちは、そんなコッコロの動きに反応して「グァアッグァアッ」と大きな鳴き声を上げる。
そのラプトルリザードの鳴き声が聞こえたからか、隠れて接近していたラプトルリザードは隠れるのを止めてハルトたちへと距離を一気に詰め寄ろうとするが、それは間に合わずコッコロの卵爆弾が次々にラプトルリザードの周囲に着弾する。
卵爆弾が着弾すると、二匹のラプトルリザードを巻き込んで盛大に爆発が起こった。
そんな盛大に起こった爆発は何故か爆発の大きさと比べて小さな爆発音だった。
何でこんなに爆発音が小さいのかと疑問に思ったが、そんなハルトの疑問を聞くことが出来る戦況ではなかった。
正面のラプトルリザードも爆発を見ており、そんな爆発を自分たちにもされる訳にはいかないと、接近するラプトルリザードの移動スピードが大きく上がったからだ。
「罠を起動するぞ!!」
事前に仕掛けた罠を起動するにはヒスイとプルンにミルクの協力が必要で、そんな罠をハルトたちは起動した。
罠が起動すると、ラプトルリザードたちの足場が沼地のように変化し、更にその泥から泥の手がラプトルリザードを掴んで沼地に沈め込もうとする。
「よし、成功だ!ヒスイ、プルン。ラプトルリザードに水を掛けてやれ!ミルクは魔法の意地を頼む!コッコロはあの爆発で生きているラプトルリザードにトドメを刺してくれ!」
ハルトはそれぞれに指示を出すと、自身も雷属性魔法の発動準備を始めるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます