第327話
卵の投擲が無くなると、石皮イノシシは落とし穴からの脱出の為に身体を動かし始めた。
「はぁ!」
世界樹の棒に魔力を込めて石皮イノシシに振るうと、世界樹の棒の重さを重く変えた一撃が石皮イノシシの背骨を砕く。
次に行なわれたのはプルンの斬撃だ。そんな六つの剣による斬撃が石皮イノシシを襲う。
「プルン、退いてくれ!」
『わかったー!』
「ナビィ、切り傷から突きで心臓を攻撃する。どこから攻撃すれば良い!」
『あそこですよ、ハルト!』
「そこだな。はぁああ!」
石のように硬い毛皮を切り裂いたプルンを後方に下がらせると、ハルトは石皮イノシシに出来た切り傷の中からナビィに石皮イノシシの心臓のある方向を教えて貰うと、そこを狙って先端が尖るように変形させた世界樹の棒で突きを放った。
石皮イノシシは断末魔の叫び声をあげてジタバタしていた足の力が抜けて行き、石皮イノシシを倒したのが分かった。
「もう少し上手い戦い方があったな。」
『そうですね。次からは他の戦い方もしてみましょうか。二十階層まで石皮イノシシは現れますからね。』
アイテムボックスに先ほど倒したばかりの石皮イノシシを収納すると、全員でこの作られた落とし穴を埋めると、階段を目指して進んでいく。
それからも木登りリザード、ロックモンキー、石皮イノシシなどの十一階層から二十階層までの間に現れるモンスターを倒して進んで行き、二日間も時間を掛けて二日目の午前中に二十階層のボス部屋にたどり着いた。
「ボス部屋の前に冒険者が居ないな。今のうちにボス部屋に向かうか?」
『いえ、少し休んだ方が良いかと思います。今日はまだ小休止をしていませんからね。健康魔法も使って疲労を回復させてからの方が良いですよ。』
「そうか。みんなもそれで良いか?」
ハルトがヒスイたちに聞くと、ヒスイたちも少し休憩することを求めた為、ハルトは結界を張って自身も含めた全員に健康魔法を掛けてそれぞれに少しの食べ物と飲み物を用意していった。
この小休止の間でハルトたちは二十階層のボスモンスターの話をしていく。
二十階層のボスモンスターは鉄拳猿武と言う猿のモンスターが相手だ。
身長が二メートルほどあり、腕が鉄のガントレットのような物で覆われて武術を扱う猿型モンスター。それが鉄拳猿武だ。
『魔法は使いませんが武術の技量は高いですからね。一対一で戦った場合苦戦します。今回はハルトとプルンが前衛、コッコロとミルクが牽制を行ない、ヒスイが魔法で大きくダメージを与える一撃を与えてください。コッコロとミルクの護衛にはゴーレム一号機と二号機を使います。こんな感じでどうですか?』
「俺は良いぞ。みんなも構わないよな?」
『うん!』
『ぼくもー、それでいいよー!』
『分かりましたわぁ。』
『牽制を頑張りますモー!』
ナビィから鉄拳猿武とどんな風に戦いを行なうのかの話をしながら、ハルトたちは身体を休めて行った。
三十分ほど身体を休めたハルトたちはいよいよ二十階層のボス部屋へと足を運んだ。
ボス部屋は十一階層から二十階層までの今までと同じで、周囲がかなり密度のある木々が生えている状態だが、ボス部屋中央の広場は円形で脛くらいまでの草が生えているだけで木々は何も生えていない。
そんな円形の広場の中央に今回ハルトたちが戦うことになる鉄拳猿武が魔法陣から召喚される。
「休憩した時に話した通りだ!プルン、前に出るぞ!」
『いーっぱい!がんばるよー!』
ハルトとプルンが前に出てその後ろにゴーレム一号機と二号機が並び歩き、その更に後ろにヒスイ、コッコロ、ミルクが移動する。
その間にも鉄拳猿武はハルトたちを視認しながらも鉄拳猿武が扱う武術の構えなのか、その構えの体勢でハルトたちを待ち構えているのだった。
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