第323話

 アースドラゴンもどきが吐き出した土属性ブレスはハルトたちが作り出した属性魔法の壁や結界魔法の魔法障壁を破壊していく。


 水属性、光属性、風属性、土属性の魔法の壁を貫通すると、ハルトの張った魔法障壁を一枚ひびを入れて、アースドラゴンもどきの土属性ブレスは止まった。


 『範囲ブレスじゃなく収束させたブレスを吐くとは思いませんでした。』


 「俺だけだったら魔法障壁を破壊されていたかも知らないな。」


 『そうですね。あり得たと思います。全力でブレスを吐いて動けないほど消耗したアースドラゴンもどきを倒しましょう!』


 「みんな、一斉に攻撃だ!ここからは近接戦も行なうぞ!」


 そして、ハルトの指示でヒスイたちは動き出すと、アースドラゴンもどきへと向かって攻撃を再開した。


 息も絶え絶えになっているアースドラゴンもどきを遠距離攻撃を行ないながら、ハルトたちは囲むように移動して行く。


 そんな風に移動しながら攻撃を加えていると、アースドラゴンもどきは一番身体が大きく自身よりも弱いミルクを狙って来る。


 『こ、こっちに来たモー?!』


 「ミルク!逃げて囮になってくれ!」


 『わ、分かったモー!!』


 ミルクに囮になるように指示を出すと、ミルクは走り出す。


 アースドラゴンもどきはそんなミルクを追い掛けるように走り出すが消耗しているからか、その移動スピードは最初の頃よりも遅かった。


 ミルクを追い掛け回すアースドラゴンもどきに向かってヒスイとコッコロが遠距離攻撃を行なう中、ハルトとプルンはアースドラゴンもどきを追う。


 そして、コッコロの凍結卵がアースドラゴンもどきの足に命中して動きが止まった一瞬の隙にハルトは接近すると、世界樹の棒の重量を軽くしながら伸ばすと先端をハンマーヘッドに変えてアースドラゴンもどきへと振り下ろす。


 その振り下ろす際に先端のハンマーヘッドの重量を今できる最大重量に変えた一撃で、ボス部屋に鱗や骨がへし折れる音が響いた。


 ハルトの行なった一撃を受けて悲鳴を上げるアースドラゴンもどきに、プルンはアイテムボックスから取り出した六本の剣で首を切断しに掛かった。


 ピョンッとアースドラゴンもどきの体高よりも高く飛び上がり、風車のように剣を立てながら回転してアースドラゴンもどきの首に攻撃を加える。


 一回転、二回転とどんどんと回転速度を増した斬撃は少しずつ斬撃の傷口が大きくなって行き、アースドラゴンもどきの首を半ばまで切断する時、アースドラゴンもどきは断末魔の悲鳴を上げて首を両断されるのだった。


 アースドラゴンもどきとの戦闘が終わると、すぐにハルトはアースドラゴンもどきをアイテムボックスに収納する。


 「ブレス以外はそこまで厄介じゃなかったけど、もう少し簡単に倒したかったな。」


 『上手く戦えば、ハルトたちでもそれは可能だったでしょう。アースドラゴンもどきの魔法耐性が少し高かったようですからね。』


 アースドラゴンもどきの倒された場所で集まると、ハルトはヒスイたち従魔を健康魔法を掛けて労うと、出現した宝箱の前へと移動を開始した。


 「罠もないみたいだし開けるぞ。」


 『はやくはやく!』


 『なにがはいってるのかなー!』


 宝箱の蓋を開いて中を確認すると、宝箱の中には瓶に入った液体が入っていた。


 『これは魔力の回復量を一時的に上昇させるポーションですね。ランクもBランクと高いですし、今後のボス攻略に使えますよ!』


 「それなら良かった。これが俺が作れるようなランクのポーションなら残念だったからな。」


 宝箱のポーションをアイテムボックスに収納すると、ハルトたちは十一階層へと移動をするのだった。


 そして、移動した十一階層でハルトたちは今日寝る為の場所を階段の近くの場所に結界を張って作ると、そこで夕食の準備をナビィに任せて今日倒したモンスターたちの解体を従魔たちと共にして行った。

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