第322話

 二階層への階段が近付くに連れて遭遇する冒険者パーティーの数も増え始めて来た。


 「ここからは接触しないようにするのは出来ないな。攻撃されないだろうけど、いつ攻撃されても良いような警戒は怠るなよ。」


 ハルトは従魔たちにそう言うと、二階層へと続く階段のある場所へと向かった。


 やはり階段の近くに行けば行くほど出現するモンスターの数は減って行き、モンスターとの遭遇も少なくなる。


 そんな中、ハルトたちが階段のある開けた場所に出ると、そこに居た冒険者たちは最初警戒していたが、冒険者に絡まれることなくハルトたちは世界樹の迷宮二階層へと階段を登って行く。


 その後、ハルトたちは順調に階層を登って進んで行き、十階層のボス部屋の前までたどり着いた。


 ボス部屋の前では冒険者たちが多く居たが誰もボス部屋へと向かう気配がない。


 それが気になり近くに居た冒険者に聞いてみると、どうやらここに居る冒険者たちは、今日はこの場所で泊まるそうでボス部屋には向かわないそうだ。


 確かにナビィから聞いた時間的に野宿の準備をしても可笑しくは無い時間帯だが、ハルトたちはそのままボス部屋へと向かった。


 ボス部屋の中に入るまで冒険者たちの視線を浴びながらボス部屋の中へと入って行く。


 そして、ボス部屋の門が一人でに閉まると、ボス部屋の中央に魔法陣が現れた。


 魔法陣から出現したモンスターはアースドラゴンもどきと言うドラゴン系モンスターではなく爬虫類系のモンスターだ。


 『あのアースドラゴンもどきは40レベルです。油断せずに対処してください!』


 「分かった!みんな、ブレスには気を付けろよ。」


 茶色の鱗をしたアースドラゴンもどきに対してハルトは従魔たちに注意すると、アースドラゴンもどきとの戦闘が始まった。


 「グワァァァァァアッ!!!!!!!!」


 アースドラゴンもどきが咆哮を上げると、ドタドタとした動きでアースドラゴンもどきはハルトたちへと突っ込んで来る。


 「勢いを止める!その後に一斉に攻撃だ!」


 世界樹の棒に魔力を送り、ハルトは地面に世界樹の棒を突き刺して木属性魔法を発動した。


 アースドラゴンもどきの進行方向にある地面から木の根が生え出し、その木の根が絡まり合って木の根の壁が作り出される。


 更に、その木の根の壁に蔓や蔦が絡まり出して行き、アースドラゴンもどきの突撃を防ぐ壁が作り出された。


 アースドラゴンもどきは、いきなり作り出された木の根の壁に激突すると、木の根の壁は破壊される。


 だが、アースドラゴンもどきは木の根の壁を通り過ぎようとした途中で、木の根の壁から生えた蔓や蔦がアースドラゴンもどきに絡まり出してアースドラゴンもどきは拘束される。


 「今だ!攻撃開始ッ!」


 ハルトの合図で拘束されたアースドラゴンもどきへの攻撃が始まった。


 ハルトが放つ木属性魔法の攻撃やヒスイの水属性魔法の攻撃、プルンの魔力刃を飛ばした斬撃やコッコロの氷結と雷撃の卵、ミルクの土属性魔法の攻撃がアースドラゴンもどきに直撃する。


 次々に命中していく攻撃にアースドラゴンもどきは悲鳴をあげて苦しみ出す。


 「グルルルルルル!!ガァァァァアアアァ!!!!!!!!」


 だが、ドラゴン系モンスターではないが、それでもまだまだアースドラゴンもどきは戦闘は可能なようでハルトたちの攻撃が収まり出すと、ハルトたちに向かってブレスを吐き出した。


 『ブレスが来ます!』


 「みんな、魔法で壁を作り出せ!!」


 迫り来るアースドラゴンもどきが吐き出した土属性魔力のブレスに、ハルトの指示でそれぞれ防御の為の魔法を使い出した。


 ヒスイたちがそれぞれ魔法で壁を作り出す中、ハルトは結界魔法で幾十もの結界を多重にハルトたちの周りに防御結界を張り出した。

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