第321話

 突如大きくなったプルンにロックトータスは首を引っ込めることが出来なくなり悶えると、頭だけしか出していなかったが手足や尻尾を甲羅から出してプルンを振り落とそうと動き出した。


 『きっちゃうよー!えーいっ!』


 大きくなった身体から一部を伸ばすと、プルンはその伸ばした触手の先端に自身のアイテムボックススキルから剣を取り出して、ロックトータスの手足を切断する。


 「グギァアアアアァァァァ!!!!!」


 手足を切断されたロックトータスは痛みに叫び声を出すと、切り落とされた手足の断面から血が噴き出ていく。


 『おわったよー!うごけなくしたー!』


 ロックトータスの頭部から首に掛けて伸し掛かっていたプルンは身体の大きさを小さく縮小させると、ピョンッと飛び上がりハルトたちの元へと戻って来た。


 「ミルク、補助するからトドメだ!」


 『やってやるモー!』


 ミルクに防御力の上がるように魔法を、ロックトータスには防御力が下がるように魔法をハルトは掛ける。


 ロックトータスへとミルクは突撃の体勢を取ると、そのまま勢いよくロックトータスへと向かって突き進む。


 ロックトータスも痛みに叫びもがいていたが、勢いよく接近して来るミルクに気が付き痛みを堪えたように首を引っ込めようとする。


 『ハルト。』


 「分かってる。」


 ロックトータスの首が甲羅に隠れないようにハルトは世界樹の棒を地面に突き刺して魔法を発動した。


 発動した木属性魔法の拘束はロックトータスの首の下にある地面から生え出した木の根に絡まって行き、ロックトータスは首を甲羅に仕舞うことが出来なくなる。


 そんな所にミルクの突撃による頭突きがロックトータスの頭部に直撃する。


 すると、辺りには硬い物が破壊される音が響き、その後すぐに何かが潰れるグチャッとした音がした。


 突撃からの頭突きが決まり魔法で弱体化したロックトータスを倒したミルクの元にハルトたちは向かう。


 『固かったモー。ちょっと頭が痛いモー。』


 「弱体化してもそんなに固かったのか。なら、回復しておいた方が良いな。次は防御力の弱体化を強めるか。」


 痛そうな声を念話で出しているミルクの頭部に健康魔法を発動して癒していく。


 「これで良し。痛みは引いたか?」


 『治ったモー!ありがとう、ハルト様!』


 痛みが収まり顔をハルトに擦り付けるミルクを一撫でしてハルトたちは世界樹の迷宮の先を進む。


 進んだ先でも現れる土被りトカゲやロックトータスを拘束してミルクが倒して行き、二階層への階段も近くなって来た時、根っこを足の代わりにして歩いている草の塊を発見した。


 「ウォーキングリーフだな。強化するぞ、ミルク。コッコロはその間に拘束をしてくれ。」


 『爆発させたいけど分かったわぁ。』


 ミルクに攻撃力と防御力を魔法で強化すると、その間にコッコロが卵をスキルを使い作り出すとウォーキングリーフに向かって投擲した。


 卵は真っ直ぐとストレートのように投擲されてウォーキングリーフの根っこ付近に命中する。


 すると、卵の投擲が直撃した場所は卵が割れると同時に氷結して凍り付いていく。


 『ハルト。ウォーキングリーフの拘束できたわぁ。』


 「よくやったぞ。コッコロ。ミルク、突撃だ!」


 『分かったモー!行くモー!!』


 凍り付き身動きの取れないウォーキングリーフへとミルクは突撃し、凍り付いたウォーキングリーフの根っこが粉々に散らばって行き、ウォーキングリーフの葉っぱはミルクに踏み付けられていく。


 ウォーキングリーフのモンスター素材はポーションの素材にも使えるが、それは他の薬草と比べても同じくらいしか変わらない。


 その為、ウォーキングリーフからは葉っぱと根っこの付け根に絡み付いている魔石だけを解体してアイテムボックスに仕舞っていった。

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