第320話

 倒したトカゲ型のモンスターをアイテムボックスに収納すると、ハルトたちは移動を開始した。


 「あれは土被りトカゲだよな?」


 『鑑定結果でもそうでしたよ。冒険者ギルドの資料通りでしたね。』


 「あとはロックトータスとウォーキングリーフだな。この階層で現れるモンスターは。」


 冒険者ギルドの資料室で確認した一階層から十階層までに現れるモンスターは土被りトカゲ、ロックトータス、ウォーキングリーフの三種類が現れる。


 『どのモンスターも隠れてからの奇襲攻撃に注意が必要なモンスターですが、今のハルトたちの感知能力なら問題ないモンスターですね。』


 「それでも注意は必要だけどな。次も土被りトカゲみたいだな。三匹だ。次はヒスイが拘束してくれ。」


 話しながら進んでいると、ハルトの感知系スキルで土の中に反応があることが分かり、ハルトはヒスイに隠れている土被りトカゲの拘束を指示する。


 『わかった!んん……それ!』


 ハルトからの指示を聞いたヒスイは、アイテムボックスから砂珠の杖を取り出すと、土被りトカゲが隠れている三箇所の地面を土属性魔法で固める。


 そんな固めた地面を操作して動かし、拘束の抵抗しているのか揺れ動く土の塊から土被りトカゲの頭部だけを露出させた。


 『できたよ!』


 「よくやったぞ、ヒスイ。ミルク、拘束されている土被りトカゲを倒してくれ。」


 『分かったモー。』


 離れている二匹の土被りトカゲを土属性魔法で頭部を潰し、残りの比較的に近くに隠れていた土被りトカゲを身体能力を強化するスキルで強化した突進で拘束の土塊と一緒に吹き飛ばす。


 やはり拘束されている状態での一撃ならミルクとレベル的に同格に近いモンスターでも倒しやすいのだろう。


 土被りトカゲたちをアイテムボックスに収納し、再度世界樹の迷宮探索を再開してハルトたちは進んでいると、向かっていた進行方向から冒険者パーティーがこちらに向かって来ているのが確認できた。


 「警戒だけはしておけよ。いきなり攻撃はされないだろうけど接触しないように少し逸れるぞ。」


 そう従魔たちに告げると、ハルトたちはこちらに向かって来る冒険者パーティーと距離を取るように移動していく。


 「これって相手も警戒してるのか?」


 『そうですね。あの冒険者たちから感じる魔力が高まっています。』


 「怪しまれたか?」


 『その可能性はあります。視認後にハルトたちは道に逸れましたから。』


 そうすると、ハルトたちは冒険者パーティーと接触せずに済んだ。だが、こちらが警戒するように相手の冒険者たちも警戒してしまったようだ。


 それから冒険者たちから感じ取れる魔力の高まりが収まるまでの間、ハルトたちは冒険者たちも警戒しながら世界樹の迷宮を進んで行った。


 『あの岩に注意してください。ロックトータスです。』


 「あれがロックトータスなのか。……うん、確かに魔力を感じ取れるな。」


 ナビィが教えてくれた通りに立ち止まり注意しながら岩を感知していると、岩から魔力が感じ取れた。


 ミルク以外の従魔たちもロックトータスの魔力を感じ取れたようだ。


 『つぎはーぼくのばんー!』


 「ロックトータスもミルクに倒して貰うから拘束を頼むぞ、プルン。」


 『わかってるー!いってくるねー!』


 プルンは飛び出すと、ロックトータスが擬態している岩へと接近していく。


 すると、ロックトータスは接近して来たプルンに反応して擬態を解くと、プルンに噛み付いて来ようとする。


 『おそいよー!』


 ピョンッとジャンプすると、プルンはロックトータスの頭部に飛び乗った。


 ロックトータスはそんなプルンに驚き伸ばした首を引っ込めようとするが、そんなロックトータスの首が甲羅の中に仕舞われないように、プルンは自身の縮小していた体積を戻してロックトータスの頭を仕舞えないようにした。

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