第319話
土属性の世界樹の木がある都市イガルマにたどり着いてからの翌日はイガルマの市場や武器屋や防具屋などを周り、薬師ギルドで世界樹の迷宮で入手したであろう薬草や霊草などを購入して過ごしたハルトたちは、更に翌日に世界樹の迷宮の探索を行なった。
その前に冒険者ギルドの二階にある依頼ボードから三十階層以降のAランクの依頼を幾つか選ぶと、受け付けで受理して貰い冒険者ギルドを出て世界樹の迷宮へと向かう。
「それにしても、本当にデカいな世界樹の木は……。」
『おおきいねー、ハルトおにいちゃん。』
多くの冒険者たちが歩む世界樹の迷宮までの道のりから見上げる世界樹の木の大きさに心が動かされながら肩にプルンを乗せたハルトは進んでいく。
そして、世界樹の木の麓までたどり着くとそこには大きなダンジョンの入り口があった。
「ここが世界樹の迷宮か……。他のダンジョンの入り口よりも大きいな。」
『いっぱい、ひといるー。』
『世界樹の迷宮は世界の中で大きなダンジョンの一つですからね。入り口も四つありますよ。』
「(だから、東西南北で冒険者ギルドが分かれているのかもな。入り口は別でもダンジョンの中は同じなのか?)」
『同じですよ。規模が大きいですから一層一層の探索が大変です。頑張りましょうね。』
「頑張るか!」
『がんはるぞー!』
いきなり少し大きな声を出したことで周囲の冒険者に見られてしまったが、それを気にしないことにしてハルトたちは世界樹の迷宮の中へと歩みを進めて行った。
世界樹の迷宮の入り口を潜って行った先には、三メートルくらいあるだろう大きな岩がゴロゴロと立っている場所にハルトたちは出た。
「周囲にモンスターの気配はないな。(ナビィ、どうする?ヒスイたちを召喚しても大丈夫だと思うか?)」
『三十階層までは多くの冒険者が活動しているのは冒険者ギルドで聞いていますよね。そんな冒険者に見られるのはそこまで危険ではないでしょうが、五十階層まで進める冒険者の団体が相手だとキツいでしょうね。ハルトたちと同じくらいのレベルの者や格上の冒険者も居ますから。でも、召喚するべきでしょう。特にミルクに取ってはレベル上げに使える場所ですから。』
「そうか。なら、召喚しよう。トラブルになったらサポートは頼むぞ。」
『任せてください。それに襲われたら盗賊として始末してしまえば良いので、ゴーレムも出して全力でサポートしますよ!』
世界樹の迷宮の入り口から離れた場所まで移動すると、そこでハルトはヒスイ、コッコロ、ミルクの三匹の従魔を召喚した。
「冒険者も敵に回る可能性もあるから全員気を引き締めて探索をするぞ!」
『うん!てきはどろどろにしちゃうよ!』
『いーっぱいっ!モンスターもてきもきりさくよー!』
『私たちの敵は誰であろうと爆発させますよぉ。』
『僕も頑張るモー!』
『サポートは私に任せてください!』
そうして始まった世界樹の迷宮の探索を開始してから少しして、ハルトたちは世界樹の迷宮で初めてのモンスターとの遭遇をした。
「地面の中に隠れているな。ミルク、隠れて奇襲を狙っているアイツに逆に奇襲をしてやってくれ。」
『分かったモー。串刺しにしてやるモー!』
ミルクが魔力を練り上げ土属性魔法を発動すると、モンスターが隠れている土を突き上げるように鋭い土の槍が突き出される。
土の中に隠れていたトカゲ型のモンスターは「ギャッギャッ」と口から血を吐きながら鳴いていた。
「ミルク、トドメを刺しちゃって。」
『分かったモー!』
ぐったりしているが、敵意をこちらに向けるトカゲ型のモンスターにミルクは、土属性魔法で作り出した一抱えするほどのサイズの石の塊を作り出すと、トカゲ型のモンスターの頭部を狙って放った。
放たれた石の塊はトカゲ型のモンスターに命中すると、トカゲ型のモンスターの頭部が潰れて動かなくなった。
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