第318話
冒険者ギルドの二階にある資料室で世界樹の迷宮の資料を借りて、ハルトはナビィと一緒に確認していく。
「(五十階層までしかキチンとした資料がないな。五十階層以降の資料も一応あるけど曖昧な文書だし。)」
『大昔に世界樹の迷宮がスタンピードを起こしてから五十階層以降の攻略は、どの世界樹の迷宮でも数度しかないですからね。それに、五十階層以降の資料も真偽は不明です。』
「(五十階層以降の情報はそれほど信用性はないってことだな。)」
幾つもある資料だが、五十階層以降の資料は二つしかない。
『そうですね。その方が良いでしょう。私の方も一応の情報はありますが、それほど当てに出来る状態はないです。モンスターの情報は分かりますが、階段のある場所は分かりませんから。』
「(五十一階層からは地道に進んで行くしかないのか。それにしても五十階層のボスはそんなに強いのか?)」
十階層ずつにあるボス部屋のボスの情報の中で五十階層のボスの情報が書かれている資料を確認する。
資料にはアースドラゴンというモンスターの情報が書かれていた。
『強いですよ。アースドラゴンは竜種ですからね。その資料に書かれている通り、身体も大きく一撃一撃の攻撃はこの階層まで上がった冒険者でも受ければ瀕死になるでしょう。』
「(そこまで強いのか。これって大勢の強い冒険者たちが協力しないとどうにもならないんじゃないか?)」
資料でも最後にアースドラゴンを倒した際には二百人以上のAランク、Bランク冒険者が集まってようやく倒したことが書かれていた。
『大丈夫です。作戦は考えていますから。準備は大変ですが、アースドラゴンを倒せるはずです。』
「(ナビィがそう言うなら大丈夫だよな。まずはAランク冒険者になることを優先かな。)」
『そうですね。世界樹の迷宮ならAランクの依頼も多くあるでしょうから。資料の確認が終わったら、依頼ボードの確認もしておきましょう。』
それからハルトたちは資料室にある世界樹の迷宮の資料を片っ端から確認していき、資料室を出ると、今度は依頼ボードの確認に向かった。
「(Aランクの依頼は三十階層まで進まないといけないみたいだ。)」
『依頼はなるべくモンスターの素材集める依頼や狩猟依頼にするべきです。鉱物の採取依頼はありますけど、ゴーレムの作成に使えますから。』
「(そうだな。分かった。Aランクの採取依頼はミスリル鉱石の採取だし、それならゴーレムに使った方が良いもんな。)」
大体の依頼の確認を終えたハルトたちは太陽が傾き始めているのを確認すると、受け付けの受付嬢に教えて貰った従魔も泊まれる宿屋へと移動を開始した。
「ここが教えて貰った大樹の枝亭って宿屋か。思ったよりも大きいな。」
ハルトたちがたどり着いた宿屋は何室も泊まれる部屋があるだろうと外から見ただけで分かるほど大きな宿屋だった。
『早く入って部屋を取りましょう。大きな宿屋ですが、従魔を持つ冒険者もこの場所なら多くいるでしょうからね。部屋が空いていなくて泊まれない可能性もありますから。』
「(泊まる値段が高そうな宿屋だし、泊まる人数も多くないんじゃないか?)」
『それはあるかも知れませんね。ですが、Bランク冒険者も多くいますから、泊まれる冒険者も多くいますよ。さ、入っちゃいましょう。』
「そうだな。」
少し離れていた場所で宿屋の大樹の枝亭の扉を開けて中に入ると、ちょうど受け付けには宿屋の従業員だろうドワーフの女性が居て、受け付けを行なった。
まだ部屋は何部屋か空いている部屋があり、ハルトは今夜泊まれる部屋を借りることが出来た。
この日は大樹の枝亭の泊まる部屋に案内されると、ハルトたちは夕食の時間が来るまでの間、部屋で身体を休めながら召喚した従魔たちと資料で得た情報の話し合いをしながら過ごすのだった。
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