第317話
土属性の世界樹の木がある都市イガルマの門にたどり着いたハルトは、事前にプルン以外の従魔は送還して門まで続く列に並んだ。
(これって世界樹の迷宮がある影響なのか?一時間くらい列に並んでいる気がするんだけど。)
『そうですよ。それに世界樹の木が落とした葉や枝が上から落ちて来るのでそう言ったことも影響はあると思います。』
世界樹の木は大きく、世界樹の木の麓近くには建物などの人工物はなく一定の範囲を囲む城壁があるが、世界樹の枝葉は城壁を超えている部分もあって運が良ければ落下した世界樹の素材が手に入るのだろう。
それを目当てにしている商人や冒険者、旅人が居るのだとナビィから話を聞いた。
それからプルンを抱いてぷにぷにしながら過ごして、最終的に列に並んでから三時間くらいでようやく門までたどり着いた。
「ギルドカードの提示をお願いします。」
「はい。これで良いですか?」
冒険者ギルドのギルドカードをアイテムボックスから取り出し、門兵に見せて確認して貰う。
「大丈夫です。東冒険者ギルドは門から真っ直ぐに進めばありますよ。」
「分かりました。ありがとうございます。」
門兵にお礼を言うと、ハルトはそのまま門を潜り抜けて真っ直ぐに冒険者ギルドを目指して進んで行く。
(それにしても東冒険者ギルドって言うんだな?可笑しくないか?)
『イガルマは大きいですからね。東西南北それぞれに冒険者ギルドがあるのでしょう。』
(そう言えば、ブルフリングの王都でも冒険者ギルドは多数あったな。山から見た時に世界樹の木を中心に十字の道が出来てたし、その近くに冒険者ギルドがあるのかもな。)
ハルトたちは大通りを進んで行き、道中にある武器屋などの店や飲食店などの確認をしながら世界樹の木を囲んでいた城壁の近くにある冒険者ギルドを発見した。
(あれが東冒険者ギルドだな。かなり大きなギルドだな。迷宮都市クンブランカにあった冒険者ギルドよりも大きくないか?)
『それだけ冒険者の数も多いのでしょう。』
四階建ての冒険者ギルドを見上げていたハルトは、見上げるのを止めて冒険者ギルドの中に入って行った。
(やっぱり中も広いな。冒険者が並んでいるし、列はあそこだな。)
『ハルト、違いますよ。そこはCランクまでの冒険者が利用する列のようです。Bランク冒険者は二階のようですよ。』
ナビィに言われた方を見ると、Bランク冒険者専用やAランク冒険者専用の受け付けは二階にあると階段の上にある看板に書いてあった。
(二階に上級冒険者の受け付けがあるんだな。じゃあ、そっちに行くか。)
ナビィが言わなければ気付かなかったと思いながらハルトは二階に上がって行く。
そんなハルトを見てなのか、一階の列に並んでいた冒険者の何人かが「そっちは上級冒険者専用だぞ。」などと言われる声が聞こえた。
(あれって俺に言ってるんだよな?)
『そうでしょうね。それと、善意で言っている者もいるでしょうが、ハルトの歳でBランク冒険者に上がっていることを妬む者もいますから注意は必要な可能性があります。』
(本当に面倒くさいよな。そう言う奴は。Bランク以上の冒険者はそれほどいないな。受け付けで待たなくて良さそうだ。)
二階の受け付けでは、冒険者の列は出来ているが、それでも一階の冒険者の列と比べると雲泥の差だった。
ハルトは受け付けで、これからイガルマの世界樹の迷宮で活動することを伝えて、世界樹の迷宮で活動する際のルールをドワーフの受付嬢から教えて貰った。
「他のダンジョンと同じ感じで構わないってことですね。」
「そうです。ですが、世界樹の木まで続く道を逸れないでくださいね。例え世界樹の素材があってもですよ。捕まりますから。」
「分かりました。それと資料室を借りても大丈夫ですか?」
「大丈夫です。資料室は二階のあちらにありますよ。」
それからハルトは受付嬢の女性に従魔も泊まれる宿屋やオススメの店を教えて貰うと、資料室に向かい世界樹の迷宮の資料を探して行くのだった。
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